アクロディアと大唐電信の中国ビジネスとは


 携帯電話で着せ替えコンテンツの利用を可能にする技術「VIVID UI」を提供しているアクロディアは、中国の通信機器メーカー、大唐電信と提携し、中国市場に参入する。大唐電信 総裁、理事長兼CEOのCao Bin氏の来日に伴い、アクロディアと大唐電信の両社にインタビューの機会を得たので、両社の中国ビジネスについて伺った。

大唐電信 総裁のCao Bin氏(左)とアクロディア 代表取締役社長の堤 純也氏(右)

 アクロディアの「VIVID UI」は、携帯電話で着せ替えコンテンツの利用を可能にした技術で、現在の日本市場でのシェアは85%以上に上る。一方の大唐電信は、中国内で活動している通信機器メーカーで、最近では中国独自の3G方式である「TD-SCDMA」を独シーメンスと共同策定し、2002年には屋外実験に成功。製品はチャイナモバイルを通じて提供している。

 大唐電信 総裁のCao Bin氏は、アクロディアについて「すぐれた技術と実績を持ち、NTTドコモなどキャリアとの長い技術提携の実績もある」と技術力を評価し提携に至ったと説明。「我々は技術的に影響力のある企業で、アクロディアとの提携により今回の技術もはやく広められるだろう」と市場への影響力にも自信を見せた。

 ショートメッセージ・サービスが非常に多く使われている点が中国市場の特徴となっているが、3G携帯電話が普及の兆しを見せていることで、巨大な中国市場における本格的なコンテンツ市場の形成にも期待がかかる。なお、中国の携帯電話市場は2008年の時点で6億1935万4800件、普及率は46.37%となっており、3Gの普及でコンテンツ市場と合わせて市場全体のさらなる拡大が見込まれている。

 同氏は「これから流行るものが分かれば大もうけできる」と冗談を交えながら市場予測の難しさを語るが、「着せ替えコンテンツは中国で提供されておらず、今回の提携には期待している」と述べ、中国市場では新規となる着せ替えコンテンツ市場の創出に期待を寄せた。

 着せ替えコンテンツとして展開されるその内容については、「ケースバイケース」と語り、世界的に話題のものから、中国国内を意識したものまで、提携パートナーと協力しながら提供していく方針が明らかにされた。

 アクロディア 代表取締役社長の堤 純也氏は、「中国での事業は現地のパートナーが重要。影響力のある大唐電信と提携でき、今後が非常に楽しみ」と期待を語ったほか、「現在、韓国の企業とも話し合いをしている。着せ替えコンテンツはアジアで親しまれるコンテンツといえ、各国の文化に合わせて調整しながら提供していきたい」と中国市場にとどまらない事業方針を示した。

 大唐電信 総裁のCao Bin氏は、インタビュー当日に開催されていた「WIRELESS JAPAN 2009」の展示会場を訪れたとのことで、「着信メロディ、動画、ゲームなどさまざまなコンテンツが日本では進んでおり、勉強すべき点がたくさんある」と感想を述べた。また、「我々は技術屋だが、技術中心ではなく市場や消費者中心に考えなければいけない」と語り、着せ替えコンテンツをきっかけにユーザー中心のサービスを拡大していく方針を明らかにした。

 

(太田 亮三)

2009/7/23 11:00