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ファーウェイ、次の「P」も日本に投入へ

上半期の業績発表会で表明、防水・FeliCaも引き続き検討

 中国のファーウェイ コンシューマー事業部は、グルーバルでの2017年上半期の業績を発表した。売上は前年同期比36.2%増の1054億元(約1兆7416億円)。スマートフォンの出荷数は、前年同期比20.6%増の7301万台だった。

 スマートフォンの出荷数の伸びよりも売上の伸びがさらに大きいのは、ハイエンドモデルの出荷が増加したことによるもの。日本を含む海外の主要な20以上の市場では、PシリーズとMateシリーズの出荷数が前年同期比で2倍を超えるなどしており、ハイエンドモデルに注力したことが売上の大幅な増加につながった。

 同社は上半期の業績発表会を中国・深センで開催。同時にビデオ会議形式で各国メディアからの質問を受け付け、同社コンシューマー事業部 CEOの余承東(リチャード・ユー)氏が回答した。

ファーウェイ コンシューマー事業部 CEOの余承東(リチャード・ユー)氏

 リチャード・ユー氏は、ユーザーのテレビの視聴時間が減る代わりに、スマートフォンをオンラインで利用する時間が増加していることや、スマートフォンがデジタルカメラの代わりとして利用されていること、ゲームや動画、モバイル決済、健康関連のアプリが人気といった、スマートフォンユーザーの6つの傾向を紹介。その上で、こうした利用動向や需要に対して、技術革新、品質、販売チャネル、サービスの4つの分野に注力することで応えていくとした。

 特に、バッテリー駆動時間が競合他社の製品よりも長いことや、高いスペックの急速充電が可能な点などは、使い勝手やユーザー体験を支える部分として繰り返し言及された。

 またスマートウォッチやノートPCなども手がけ、自動車関連の技術やスマートホームにも取り組んでいることは、「フルシナリオのスマートライフを提供したい」との想いから開発・提供されているとし、さらに、ノートPCのCPUについては、今後、スマートフォン向けに開発し搭載しているCPUやGPUを、同社のWindows PCでも導入していきたいという意向も明らかにされている。

 ファーウェイはグルーバル市場ではさまざまなモデルを展開しているが、このうちフラッグシップシリーズに位置付けられるのは、写真とファッションがテーマの「P」シリーズ、技術とビジネスがテーマの「Mate」シリーズ、デジタルエンターテイメントがテーマの「nova」シリーズの3つ。

 2017年上半期は、「Mate9」が850万台以上、「P10/P10 Plus」は各国で3~5月に発売されてから600万台以上、「nova」の最新モデルも1カ月で100万台以上が出荷された。またグローバルではファーウェイ・ブランドとは別のオンライン販売用ブランドに位置付けられている「honor」ブランドの最新モデル「honor9」も、すでに100万台以上を販売した。こうした結果、500ドル以上のハイエンドスマートフォンの市場シェアは2倍になっているという。

 同氏は、スマートフォンの販売が飽和気味の国の市場でも、買い替え需要は続くとして、グローバルでハイエンドモデルにシフトしていく姿勢を明確にしている。

大画面でも片手で持ちやすい? 次の「P」も日本に投入へ

 リチャード・ユー氏は、今後開発されるスマートフォンについても、いくつか言及している。

 端末に関しては、日本のメディアからの質問に答える中で、防水やFeliCaへの対応を引き続き検討していることに言及。通信キャリアが販売する端末が大きな割合を占め、iPhoneのシェアも高い日本市場は障壁が高いとした上で、イノベーションでもって攻略していく構え。Appleやサムスン電子よりもラインナップが多いことも武器にしていく。

 同氏は、日本市場への取り組みは「長期的なもので非常に重要」とした上で、「日本でマーケットリーダーになりたい。スマートデバイスのメインプレイヤーになりたい」と意気込みを語ると、さらに今後のモデル展開にも言及する。

 「来年から販売するモデルは、さらにハイエンドで、日本市場にも投入する。ライバルよりちょっといいではダメ。かなり良い、はるか上をいく必要がある。日本では電車で通勤し、片手で利用することも多い。(新モデルは)ディスプレイを大きくしても片手で持てるコンパクトなボディになる。来年の『P』を待っていてください」とリチャード・ユー氏は語り、キャリアとの連携も今以上に進めていく考えを明らかにしている。

AIを端末に搭載する「インテリジェントフォン」を計画

 もうひとつはAIへの取り組みで、同社はAI用のSoCを開発する方針。これをクライアントにあたる端末側(スマートフォン)に搭載することで、「将来的に、端末はさらに強化される。AIが個人的なアシスタントのようになる」と方針を表明する。

 ローカルにAIを搭載する「インテリジェントフォン」は、自分で考え、話すことができ、計算力を持ち、端末の処理速度も飛躍的に向上するとし、「2025年ぐらいまでにそうなる。AIをスマートフォンに搭載する最初の会社になりたい。AIの時代が来る」と意気込みを語っている。

部品レベルでは切っても切れない日本市場、ユー氏の熱いコメントも

 この日、各国のメディアからの質問が国・地域単位で順番に行われるという進行だったが、各国と比較しても日本からは多くのメディアが詰めかけたとあって、質問が一通り終わっても、リチャード・ユー氏は「まだ1つぐらいは質問を受けられる」と質問を促し、最終的に2回ほど質問の時間を延長。それが終わると今度は、同氏から「最後に言いたいことがある」と切り出した。

日本のメディアは会議室から中国・深センの発表会に参加できた

 「まず、私は大学を出てファーウェイに入社し、その頃から『日本人とドイツ人に学べ』と教わってきた。どちらも、真面目で勤勉で、品質を非常に重視する。当社は日本に敬意を払っている。私達は、学べるところがたくさんある。次に、ファーウェイの製品には日本製の部材や部品がたくさん入っている。ディスプレイ、バッテリー、カメラ、センサー……日本製のコンポーネントをたくさん入れてグローバルで販売している。日本市場はパートナーで、(取引のある)たくさんの企業がいる。また部品や素材でも技術革新を牽引している」と、リチャード・ユー氏は日本の技術や部品への想いを力強く語る。最後には、メディアでさまざまに取り上げられたことにも謝意を示すなど、異例ともいえる日本市場への熱いコメントが聞かれたのが印象的だった。