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KDDI田中社長が語ったau HOME、Google アシスタントとの連携

 KDDIは、auの2017年夏モデルの発表会を開催した。5月30日に都内で開催された発表会には、KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が登壇し、夏のラインナップのほか、この日明らかにした新たなIoTサービス「au HOME」について解説した。

 田中氏は冒頭に、今年は「やってみよう」をテーマに、年初からさまざまな事柄に取り組んできた様子を語った上で、「スマホもいきわたって、ドキドキするものがなくなってきているよね、という思いをずっと持ってきた。新たな取り組みを紹介したい」と、この日の発表を開始した。

全9機種のラインナップ

 プレゼンテーションではすぐに、夏のラインナップとして合計9機種が披露され、すべての機種について感想やコンセプトを混じえながら紹介された。

 すでに発表されていた「Galaxy S8 SCV36」「Galaxy S8+ SCV35」は、「手に持っていただくと、意外と小さいと感じられる。画面のベゼルがほぼなくて、全画面ディスプレイになっていると感じられる。カメラも暗いところで撮れる」と語り、予約したユーザーにはVRヘッドセットの「Gear VR」を全員にプレゼントすることもアピールした。

 「HTC U11 HTV33」については、「これまでHTCと言えばauだったが、ソフトバンクからも出た(笑)。ハイレゾも一押しで、イヤホンは耳の形に合わせて自動的にコントロールされる」とコメント。VRデバイス「LINK」については、ルームスケールVRに対応していることや、au直営店で体験利用ができるようにすることが紹介された。

 「AQUOS R SHV39」もすでにメーカー自身や他キャリアから発表されているが、auは振り向く充電台の「ロボクル」をパッケージに同梱するのが特徴で、「けっこう面白い。もう一つの新たな、簡単なロボットみたいなもの」と感想を語っている。

 「Xperia XZs SOV35」は夏モデル第1弾としてすでに発売されているが、特徴はカメラ機能であるとし、スーパースローモーション撮影が可能なカメラで「ゴルフ好きの方はぜひ撮ってみては。ソニーのカメラ技術が凝縮されたスマホ」とした。発表会の展示会場にはゴルフの試打を行う様子を撮影できるブースも用意されていた。

 「auオンリー」という触れ込みで紹介されたのは、京セラ製の「TORQUE G03 KYV41」。「説明するのは難しい」と、ハイスペックな耐衝撃性能の説明はさじを投げ気味だったが、マリンウェアなどのブランドであるヘリーハンセンとのコラボモデルを紹介し、夏のレジャーシーズンにも最適なスマートフォンであるとした。

 「Qua phone QX」については、auオリジナルブランドであり、今回はフィーチャーフォンからの乗り換えユーザーをターゲットにした機能や、こだわり抜いたという操作性、改善点が盛り込まれていることを紹介した。

 スマートフォンのラインナップを紹介し終えると、田中氏はここで5月29日に日本語版の提供がアナウンスされたGoogleの「Google アシスタント」を「昨日のニュースのおさらい」として紹介。利用できる機種はOS以外にあまり制限はないサービスだが、auの夏のラインナップはすべて対応すると表明し、「音声認識はこんなもん、と思っている人がいるかもしれないが、一段と進化している」とアピール。さまざまな分野の情報について、自然な会話で情報が提示されることを紹介した。

 フィーチャーフォン2機種については、シニア層を中心に調べてみると要望が多かったという、送られてきた写真を大きく見たいという要望に応える機能「テレビde写真」を紹介した。どちらの機種でも利用できるが、「かんたんケータイ」には専用のボタンが設けられる。

キャリアがトータルで安価に提供「au HOME」

 スマートフォンの紹介を終えると、田中氏はスマートフォンのラインナップとは別に「もうひとつの柱」があるとし、「家での生活体験を高めたい。IoTテクノロジーを使って、家の中の生活を豊かにしたい」と語り、「au HOME」を披露した。

 「通信事業者であるauがやるからには、トータルでやらなければいけない。でも、高価では意味がない」と語った田中氏は、「au HOME」がまず、手軽に、安価に始められることを紹介する。

 続けて、「是非とも認識していただきたいのは、どんどんと、新しいIoT機器を出していくということ。スモールスタートだが、それでもこんなことができるということ」と、7月下旬の当初にラインナップするセンサーやカメラの利用シーンを具体的な例で解説。いずれも見守りや安心といったテーマに応えるものになっていた。

 さらに田中氏は、「もっともっとやっていきたい」と、秋に投入する予定のコンセント型のスマートプラグ、赤外線マルチリモコンも紹介した。スマートプラグは正確な電気の消費量がわかるほか、赤外線マルチリモコンでは大半の家電製品のコントロールが可能になる。

 「au HOME」に対応するIoT機器の今後の展開では、在圏センサーなど、現在検討している段階の機器もスライドでいくつか紹介し、「こういった機器はIoTが普及すると、どんどん出てくる。ユーザーは機器を追加するだけで、サービスの拡張が行える」と、機器のラインナップを積極的に拡大させていく方針を示している。

 利用料についても、月額490円で、IoT機器の利用台数に関係なく安価に始められることを強調。IoT機器は、おすすめデバイスをセットにして分割購入できるようにもしている。

 なお、「au HOME」に対応するIoT機器「au HOME デバイス」は、auがトータルにサポートする点や品質の担保などの面から、基本的にはauがパートナーと共同開発した製品をauが販売するという形をとる。販売経路は「au WALLET Market」とし、訪問サポートやアフターサポートの充実も紹介された。

「au HOME」が「Google アシスタント」と連携へ

 発表会ではここで、スペシャルゲストとして米GoogleからDirector of Product Management Google AssistantのSteve Cheng(スティーブ・チェン)氏が登場した。チェン氏は、auとGoogleのこれまでの取り組みを振り返った上で、「Google アシスタント」については「どこもで使える」「シンプルで分かりやすいUI」「知りたいことに答えるパーソナルな存在」という基本コンセプトを紹介。auの端末のラインナップでももちろん使えるとしたほか、SDKの公開などでサードパーティの参加を推進していく取り組み「Actions on Google」も日本語への対応を行っていく方針を明らかにした。

 田中氏は最後に、「これから初めていきたい」、ここまで説明してきた「au HOME」が「Google アシスタント」とも連携する方針を打ち出し、端末やインフラとは別に位置づけている「auライフデザイン戦略」の中核になるのが「au HOME」であるとした。

「auひかり」以外にも拡大する方針、スマートスピーカーは「ノーコメント」

 質疑応答や田中社長への囲み取材でも、「au HOME」や「Google アシスタント」との連携に質問が集中した。田中氏は、「Google アシスタント」と連携することによる、音声入力による操作は「キーになる」とし、「大化けするのでは。ビッグデータと連携して新た価値を提供できる」とする。

 「au HOME」と「Google アシスタント」が連携を開始する時期については、「夏が終わってから?」と田中氏。成功の秘訣については「留守番電話でも、録音を促すメッセージが聞こえると切ることが多い。機械的で自然じゃないことが関係しているのではないか。Google アシスタントはかなり自然な受け答えが可能。日本でもブレイクするのではないか」と、「Google アシスタント」の普及・拡大に期待を抱いている様子を隠さない。

 「au HOME」が当初は「auひかり」のユーザー限定になっている点について、拡大するかどうか聞かれると「します。その都度お知らせする。auひかりだけだと市場も制限されるので」と回答、時期を見て拡大していく方針を明らかにしている。

 Googleは、「Google アシスタント」を簡単に利用できるようにするスマートスピーカー「Google Home」を北米などで提供しているが、囲み取材で田中氏は、auが自社でスマートスピーカーを提供するかどうか聞かれると、「ノーコメント」。スマートスピーカーの「Google Home」と「au HOME」の連携についても「ノーコメント」とした。

 囲み取材ではAppleの「HomeKit」などへの対応も聞かれたが、「(au HOMEでの連携は)特に何も考えてはいない」とした。

料金関連「久々にガツンといく」

 料金関連では、NTTドコモが「シンプルプラン」「docomo with」など新たな施策を打ち出しており、これに対抗策があるのかが聞かれた。田中氏は「auでも、久々にガツンといこうと思う。もう少しお待ちを」と回答。

 囲み取材では内容について聞かれるも「すこし頑張ろうかなって」と具体的な言及は避け、「それって(例年、新型のiPhoneが発表される)9月ですか?」と直球の質問には「話題を変えませんか?(笑)」とはぐらかしていた。

 発表会ではこのほか、CMに出演している有村架純、菜々緒が、この夏のキャンペーンなどで披露される浴衣姿で登場。浴衣の思い出などを振り返り、CMの新展開に期待を語った。

左から有村架純、菜々緒、田中社長
新CM。“えこひいき”の内容もまだ秘密とのこと
ヨーヨー釣りでお祭り気分