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建設現場にiPad導入で1日1時間のムダ削減~現場の“働き方改革”目指すMetaMoJi「eYACHO」
2017年3月2日 18:38
MetaMoJiは、建設現場向けのノート・コラボレーションツール「eYACHO」の新バージョン(Ver.3)の提供を、3月3日に開始する。記者向けの説明会では大林組の担当者から、実際の建設現場での活用事例が紹介された。
「eYACHO」は、建設現場で使われる、作業記録ノート「野帳」をタブレット端末に置き換えるために開発されたiPadアプリ。建設会社の大林組がMetaMoJiに開発を持ちかけ、現場で求められる機能を取り入れた製品となり、2015年に提供を開始した。
1時間かかる日報作成が現場で完了
大林組では従業員5000名にiPadを配布し、eYACHOを活用している。説明会では現場での活用法を、大林組の首都高東品川JV 工事長の横田慎晶氏が紹介した。
横田氏のチームが担当する工事は、首都高速羽田1号線の一部区間を更新する大規模なもの。記入するべき帳票は、膨大な量だ。
橋脚の杭1本ごとに、どのような施工をしたかを記録する文書だけで、300本分が必要となる。従来は事務所に戻ってExcelで作成していたが、その作業だけで毎日1時間かかっていたという。
こういった提携文書の作業を、現場で空き時間に行うようになった。「eYACHO」は、テンプレートを作成し、作業メンバー間で共有する機能がある。
日報のフォーマットをPDFで取り込み、フォームを配置する。フォームには、プルダウンリストやカレンダー入力、数字入力、手書き入力などが用意されており、専門のIT技術者がいなくても、使いやすいテンプレートを作成できるようになっているという。
作成したノートはクラウドストレージに保存されるため、「現場で入力して、事務所に『印刷しておいて』と連絡するだけ」(横田氏)と、大幅な業務改善につながったと語った。
【お詫びと訂正 2017/03/03 12:15】
初出時、登壇された方の所属に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
新バージョンではコラボレーションツールに進化
「eYACHO」の新バージョンでは、シェア機能が追加された。これは、複数人が同じノートにリアルタイムに書き込み、全員のノートに反映するという機能。別アプリとして提供されている「MetaMoJi Share」の機能が取り込まれた格好だ。
シェア機能では、参加メンバー全員が同じノートを見ながら、同時に書き込みができる。書いて数秒で消えるレイザーポインターや、書き込みできるペン、写真の貼り付けなどに対応する。
説明会では徳島のMetaMoJiの開発スタッフと中継で繋いで実演されたが、徳島のスタッフがiPadに書き込んでから数秒後には反映されていた。
工事現場では急な設計変更などがあった場合に、現場作業者と事務所のスタッフが電話しながら、同じ図面に書き込むことで、声だけでは伝えづらい内容を確実に伝達できる。
そのほか、新機能としてリコー「THETA」で撮影した全天球写真を表示できるようになった。これにより、日報などで報告する際に、撮影するべき部分の撮影漏れを防げるようになった。
また、Windows 10アプリも5月に提供される。タフネスタイプのタブレットが求められる現場のほか、マウス操作とキーボード入力にも対応することで、テンプレート作成をしやすくなる。iPad版とも互換性があるため、事務所のスタッフはWindowsで、現場の作業者はiPadでといった併用も可能。
「eYACHO」の価格は1年間有効の5ライセンスで10万円~。追加は1ライセンスあたり5万円で、初期導入費として別途25万円が必要となる。
なお、「eYACHO」から建設現場向けのコンテンツ(スタンプなど)を省いた「GEMBA Note」も法人向け/個人向けに提供されている