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「イケてる面白いサービスを出していく」mineoが差別化戦略を解説

 ケイ・オプティコムは、MVNOサービス「mineo」(マイネオ)において、9月以降に実施するキャンペーンや新サービを紹介する発表会を開催した。

 30日には都内で記者向けに発表会が開催され、ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏が登壇し解説を行った。なお、キャンペーンとプレミアムコースの有料トライアルについては別記事も参照していただきたい。

 上田氏は7月から現職で、mineoを率いる立場を前任の津田和佳氏から引き継いだ形。ファンイベントには登壇していたものの、記者発表会での登壇は初めてということもあり、自己紹介のほか、改めて上田氏が考える「mineoのありたい姿」といったものも紹介された。

ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏

「マイネ王」から差別化や新サービスの施策が生まれる

 発表会は、戦略の解説と、9月からの大型キャンペーンの2つに大別され紹介された。mineoの加入者数は現在36万回線で、2016年度内に55万回線を目標にしている。また、明確な目標ではないものの、「2017年度末で100万回線」に向かって施策を打っていくとしている。

 コミュニティサービスの「マイネ王」については、競合他社との差別化や、既存ユーザーの解約率低下といったさまざまな面で効果が出始めているとし、ユーザーと向き合い、面白いサービスを一緒に作っていきたいという同社の姿勢を体現するサービスとして成長していると位置づける。

 mineoのユーザーのうち、「マイネ王」の会員になっているのは直近では39%と、4割近くに上る。コミュニティの活性化により、ユーザーと事業者側の距離を縮めたり、ニーズやその発掘、解約防止、紹介などによる新規ユーザーの獲得といったさまざまな方面の効果を紹介している。

プレミアムコースで再度トライアル、お昼休みでも10Mbpsを目指す

 そのマイネ王などに代表されるユーザーコミュニティとの共創第1弾としているのが、混雑時でも通信速度が低下しにくいように、帯域の確保を図った「プレミアムコース」。今回新たに有料トライアルが実施されることが発表された。

 すでに抽選で一部ユーザーにトライアルが実施され、ここでのアンケート調査では、通信速度に対する満足度は高い結果となっている。「本当は9月1日から正式サービスを予定していた」(上田氏)というが、トライアル中、ドコモ網を使うDプランの通常の帯域の速度が想定よりも遅かったことなどから、対策を行い、改めてトライアルが実施されることになった。

 加えて、プレミアムコースの料金についても、前述のアンケートで6割が「月額500~1000円が妥当」と回答されたことを受け、800円という追加料金に設定して、価格についても具体的な需要を探ることになった。

 同社ではプレミアムコースにおいて、MVNOでも影響が顕著な正午からのお昼休みの混雑時に、通常なら実行速度が1Mbpsなどに低下してしまう通信速度が10Mbpsぐらいになるよう、帯域や収容人数を調整していくとしている。

 上田氏は、「格安スマホでも、安いのにいい。安かろう良かろうの、“良安スマホ”を実感していただきたい」と、プレミアムコースで提供する新たな価値を訴えた。

au版iPhone 5s/5cが正式対応、マジョリティ獲得のための端末戦略

 プレミアムコースなどを差別化戦略と位置づける一方、端末に関連した施策は、マジョリティ獲得のための戦略と位置づける。

 上田氏は、サービスを利用するための端末(スマートフォン)を新たに購入するのか、すでに持っているものを流用するのかといった割合は、今後流動化すると見ている。現在は新規で端末を購入するユーザーが6割以上だが、同社は既存端末を流用する場合や中古端末の購入、新規の全方位で施策を実施する。

 ユーザーがすでに持っている、既存端末を使用するケースでは、新たにau版iPhone 5s/5cが対応、8月30日から正式に対象端末としてサポートしている。

 中古端末については、オンラインで中古端末の販売を手がける「ムスビー」と相互に連携を実施し、mineoを契約するユーザーに中古端末の紹介を行っていく。

 新規に購入する端末については、すでに発表されているMVNO向けの新モデル3機種が9月1日に発売される。

 端末補償サービスについても拡充を行う。既存端末を使う場合と中古端末については、mineoのSIMカードで最初に通信を行った端末を「持ち込み端末」とした上で、「安心保証サービス」(仮称)を12月から提供する予定。料金は月額数百円になる見込み。mineoにて新規に購入する端末向けには9月から安心保証サービスを提供する。

大須に「mineoショップ 名古屋」も

 大規模ではないものの、店舗戦略も行う。すでに、渋谷センター街に実店舗「mineo 渋谷」をオープンすることが発表されている(2017年2月オープン予定)ほか、大阪ではすでに「mineo大阪」運営しているが、渋谷に先駆けて9月5日には名古屋・大須に「mineoショップ 名古屋」がオープンすることが発表された。こちらは直営店ではなく委託・専売店とのことだが、これにより大阪、渋谷、名古屋の体制で店舗が展開されることになった。直営や専売店はひとまずこの3店舗で運営していくとしている。

 なお、mineoサポート店として取り扱いや初期設定をサポートする店舗はすでに全国に展開しており、SIMカード端末の即日渡しを行う店舗も2016年度中に全国100店舗以上に拡大される予定になっている。

 このほか9月1日からは、「安心バックアップ」(月額500円)、「安心フィルタリング」(月額350円)、「dマーケット」の取次販売も提供される。

 上田氏は「プレミアムコースのようなイケてるサービスをどんどん世の中に出していきたい。通信品質に気を配りながら、面白いサービスを世の中に出していきたい」と意気込みを語っている。

「マイネ王」は「真剣に向き合っている」

 質疑応答の時間に、「マイネ王」を中心にポジティブな流れができている要因を聞かれると、上田氏は「ユーザーと真剣に向き合っているから。事業者は、都合の悪いことは隠そうとかそういう気持ちが働くものだが、そうではなく、愚直な、真摯な活動が評価されているのではないか」とした。

 同日午前にIIJが発表したHLR/HSSの連携による独自サービスの可能性について聞かれると、上田氏は「ほかの会社や海外の事例を含めて、検討中。こういうことがしたい、という内容が出てきたら改めて発表する」と回答するにとどまり、具体的な可能性には触れなかった。

 また、IIJがau回線を利用したMVNOサービスを提供すると発表している点を聞かれると、「あちらはauのVoLTE端末を対象にしている。mineoはそれ以外も対象で、完全なバッティングではない。とはいえ、今後はVoLTE端末も増え、(競合する場面は)徐々に広がっていくだろう。auのMVNOの注目度が上がり、市場が広がるのは歓迎」とし、競争しながらも市場が拡大していくことに期待を寄せた。