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IIJがIoTサービスを一体化して企業向けに提供へ、自動化や信頼性など強みを活かす

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、IoTのサービスに必要なデバイスからクラウド環境までを一体化し企業に提供する「IIJ IoTサービス」を11月より開始する。まずはトライアルと位置づける内容で開始し、2017年以降はエンタープライズ向けに本格的な提供を行っていく。同サービスの発表に伴い、同社のIoT市場に対する戦略も発表されている。

「IIJ IoTサービス」の概要とメニュー

 IIJではこれまでも、個別のサービスとしてクラウドサービスやデバイス管理、IoT向けの通信サービスなどを提供してきたが、新サービスではIoTサービスの構築に必要なこれらすべてが一体化され、提供される。ゲートウェイデバイスも独自開発モデルを含めてラインナップする。価格は未定だが、1拠点あたり月額1000円という試算が明らかにされている。

 クラウドと連携する自動化システムも組み込まれており、11月から提供されるトライアルでは、届いたゲートウェイデバイスを「コンセントに挿すように」つなぐだけで、試行やゲートウェイデバイスに繋いだセンサーデータの可視化がWebUIで可能。今後のエンタープライズ領域での本格展開にあたっては、数千~数万といった膨大な数のセンサー情報の管理を自動化する機能も提供される。

 IIJでは、大規模なアウトソーシングに偏重したクラウドコンピューティングへの取り組みが、企業のIoTへの機動的な取り組みを阻害してきたとの認識にたっており、今回のサービスはSIerありきのクラウド基盤の構築を不要にするものとも位置づけている。

 ゲートウェイデバイスなどの通信機能では、モバイル通信もサポートされ、「IIJmio」などでの設備投資を活用して、速度制限無し、上り0.2円/MB、下り0.6円/MB(夜間は下り0.2円/MB)という価格で提供が開始される見込み。

 直近では、デバイスの認定制度や、エコシステム構築のためのパートナープラグラムの提供が検討されている。

 IoT市場の拡大を見据えた、同社の戦略も19日に開催された発表会で明らかにされた。同社は、IoTの戦略には「破壊的なイノベーション」が必要とし、デバイスやクラウドを一体管理できることや、セキュリティや高信頼性といった同社の特徴に加えて、「自律分散型クラウドデータセンター」で一極集中型のクラウド基盤を“デバイス側”の近くに分散させていく方針を示した。これにより、医療やテレマティクスを含めた、将来のIoTの世界に必要な超低レイテンシーの世界を実現していくという。

IIJ 代表取締役会長 CEOの鈴木幸一氏
IIJ クラウド本部 副本部長の染谷直氏
IIJ クラウド本部 ビッグデータソリューション課長の岡田晋介氏