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au、6店舗目の直営店「au SAPPORO」オープン

 au(KDDI)は6月23日、北海道・札幌に直営店「au SAPPORO」をオープンし、営業開始を前に店舗内を報道陣に公開した。

 auでは2010年から各代理店などが運営するauショップとは別に、KDDIが直接、運営する直営店を展開しており、すでに愛知・名古屋の「au NAGOYA」、東京・新宿の「au SHINJUKU」、大阪の「au OSAKA」、福岡の「au FUKUOKA」、福岡・博多の「au HAKATA」が営業しているが、今回オープンする「au SAPPORO」は6店舗目となる。

木目調のパネルでデザインされたショップのエントランス。大きく掲示されているauのロゴはこの部分のみ

 au SAPPOROはJR札幌駅の駅ビル「パセオ」の地下1階に位置し、今年4月にオープンした「au HAKATA」に続く中規模直営店。auスマートフォンや携帯電話、タブレット、各種アクセサリー、周辺機器などが購入できるほか、au WALLET Marketで販売される食品や電気製品など、物販のスペースも確保された新しいタイプの店舗となっている。商品についても通信関連の商品と他の商品を混在させる形で展示されており、一見して、携帯電話ショップのように見えないことから、幅広いユーザー層にアプローチできるようにしている。

JR札幌駅の駅ビル「パセオ」の地下1Fにau SAPPOROは位置する
オープン前から駅構内の各所にインフォメーションが掲示されていた

 店内のデザインは北海道出身の大坪輝史氏が代表を務める株式会社6D(ロクディ)が担当し、温かみのある木目調の什器や清潔感のある白を基調としたデザインを採用することにより、auの北海道の情報発信の拠点らしい空間演出を意識しているという。ちなみに、木目調の什器などは木材こそ、北海道産ではないものの、製造の多くは北海道の企業が担当しているそうだ。

店内は木目調の什器を使い、ホワイトを基調としたデザインで温かみのある印象
現在、販売中のモデルを中心に、自由に端末を試すことができる
タブレットを使った体験コーナーも用意される
他の直営店同様、専任のスタッフが対応する

 また、au SAPPOROのオープニングキャンペーンとして、au SAPPOROでの成約(新規・機種変更)したユーザーには、「『ショコラティエ マサール』のチョコ菓子詰合せ」、または「au WALLET Market」での買い物に利用できる「Marketコイン」1500円分のいずれか1点がプレゼントされる。それぞれ先着100名までのプレゼントで、なくなり次第、終了する。来店プレゼントとして、「au SAPPORO×北海道日本ハムファイターズミニタオル」、または「au SAPPOROオリジナルポータブルうちわ」のいずれかもお一人様1点プレゼントされる。

タブレットを使い、au WALLET Marketの商品などを注文することも可能
今回のオープンに合わせ、ショップスタッフの制服が新たにデザインされた
店内を奧に進むと、購入や契約の手続きをするためのカウンターが4つ用意されている
メインのカウンターの脇にはパーティションで区切られた2つのカウンターがある。保険やローンなどを契約する顧客のプライバシーに配慮した設計
スマートフォンの関連アクセサリーも豊富に取り揃えている
au +1 collectionのアクセサリーも販売される

 さらに、au SAPPOROオープニングキャンペーンとして、6月23日から7月31日の間に、auスマホ新規・MNPを契約した人を対象に、北海道日本ハムファイターズの西川遥輝選手と中島卓也選手の直筆サイン入りレプリカユニフォームとボールが抽選で4名(2選手×2セット)にプレゼントされる。

店舗情報
店舗名称au SAPPORO
所在地札幌市北区北6条西2丁目 パセオB1F
URLhttp://au-sapporo.kddi.com/
アクセスJR札幌駅直結
営業時間10:00~21:00(パセオの営業時間に準じる)
店舗面積約155平方メートル
運営KDDI株式会社
店内のデザインを担当した株式会社6Dの大坪輝史氏
オープニングセールでは北海道日本ハムファイターズの西川選手と中島選手のサイン入りレプリカユニフォームとボールが抽選でプレゼントされる

auはどうして直営店を運営するのか

au直営店の取り組みについて説明するKDDIコンシューマ本部の横山克也副本部長

 au SAPPOROのオープン前の内覧に先駆け、メディア向けの説明会が行われ、KDDI株式会社 理事 コンシューマ営業本部の横山克也 副本部長から直営店の取り組みなどについて、説明された。

 auの直営構想は東京・原宿に開設したKDDI DESIGNING STUDIO(2014年11月16日に閉店)と、愛知県名古屋市にあるau NAGOYAが始まり。当初はブランド力を高め、情報発信の拠点として展開されていたが、直接、ユーザーとの接点を持つことの重要性が高まり、その役割が変わってきたという。2014年のau SHINJUKU開設以降は、ユーザーの興味が「モノ」から「コト」へ変化してきたことを受け、それまでの情報発信拠点からライフスタイルを提案する方向に転換し、auをもっと身近に感じられる店舗を目指しているそうだ。

 こうした方針変更を具現化したのが今年4月に福岡・博多にオープンしたau HAKATAで、通信以外に領域を拡大し、通信関連とau WALLET Market取扱品などを含む通信以外の商品で、店舗を分割するようにレイアウトされている。店舗面積も約50坪と他の直営店よりもコンパクトで、初の中規模店舗となっている。

 今回、札幌にオープンしたau SAPPOROも中規模店だが、au HAKATAと違い、通信、物販、IoT商材などが混在するレイアウトを採用し、店内も木材を利用した什器などで構成することで、これまでのauショップや直営店とは少し異なった趣のデザインを目指したという。

au WALLET Marketで扱われている飲料や食品なども展示され、その場で購入できる

 auがこうした直営店の取り組みを行う背景には、auが取り扱う商材がスマートフォンや携帯電話に加え、食品や日用品、電気、生命保険、損害保険、ローンなど、多様なものに拡がり、通信事業だけでなく、ユーザーのライフスタイルをデザインする企業へ進もうとしていることが挙げられる。

 また、先般のauの夏モデル発表会でも明らかにされたように、auはユーザーがスマートフォンに興味を持ち、購入し、利用し、サポートを受けるという一連の流れを「カスタマージャーニー」と位置付け、この流れの再点検に取り組んでいる。au直営店で得られた知見やノウハウを他の直営店やauショップにも展開することで、ユーザーが気持ち良く使ってもらえる環境を目指すという。ちなみに、今回のau SAPPOROではau WALLET Marketの商品を店頭販売するトライアルを行い、au SHINJUKUで好評を得ていた商材を展開するという。さらに、au WALLETカードの利便性を向上させるため、近く店頭にau WALLETカードに現金チャージする端末を設置する予定にしているそうだ。

北海道エリアにおけるauの展開

北海道でのauの展開などについて説明するKDDIコンシューマ北海道支社 コンシューマ営業部長の矢島彰氏

 続いて、KDDI 北海道支社の矢島彰 コンシューマ営業部長からは、北海道エリアの状況とau SAPPOROの特徴などについて、説明が行われた。

 今回、直営店がオープンする札幌は道庁所在地ということもあり、北海道全体への影響も大きく、au SAPPOROからの情報発信に力を入れるだけでなく、ここで得られたノウハウを道内のauショップにも展開し、auの活性化につなげていきたいとした。

 まず、立地についてはJR札幌駅に直結する商業施設内に開設される。この札幌駅の駅ビルにはNTTドコモ、ソフトバンク、ワイモバイルが店舗を構える一方、これまでauは店舗を構えていなかった。今回のau SAPPOROのオープンにより、auユーザーの利便性を向上させるだけでなく、駅を利用する幅広い客層にアプローチできる体制を整えられるという。

 店舗については、前述の通り、auの通信関連商品と他の商品が混在する構成になっており、6つ用意されているカウンターも通路側からは見えないレイアウトになっている。また、6つのカウンターの内、2つは保険やローンなど、よりプライバシーを重視する商材を扱うことに配慮し、パーティションで区切られ、来店中の他のお客さんからも見えないようになっている。

 また、auの北海道内での位置付けについては、シェアはauが35%、NTTドコモが44%、ソフトバンク21%で、全国的に見てもトップ争いができるほど、auが高いシェアを持つという。こうしたシェアを獲得できた背景には、地元の北海道日本ハムファイターズのオフィシャルスポンサーとして、地域に根ざした活動を展開してきたことがある。本拠地の札幌ドームへの広告だけでなく、auショップ店頭でのプロモーション、年1回のauスペシャルデーでの始球式への参加など、多角的にイベントなども行ってきているそうだ。前述の通り、今回のau SAPPOROのオープンに合わせ、キャンペーンなども実施される。

近隣の関連店舗との関係性

 説明会では質疑応答が行われ、auの直営店が展開することへの影響や今後の店舗展開などについて、質問が及んだ。

 まず、もっとも気になる近隣のauショップや家電量販店との関係性についてだが、どちらも特にモメているといったことはないそうだ。ちなみに、au SHINJUKU開店時も近隣のauショップへの影響が心配されたが、実はau SHINJUKUの開店以降、近隣のauショップの来客数が増えており、むしろ相乗効果が期待できるとしている。auショップとしてはau直営店で得られた知見やノウハウをauショップにフィードバックして欲しいとの声もあるそう。家電量販店については携帯電話やスマートフォンを販売してきた実績がある一方で、auが取り組んでいるライフデザインの商材がないため、そこを補完する意味でもauの直営店が展開されることについての理解を示しているという。

 このタイミングでau SAPPOROがオープンした理由については、単純に物件が見つかったタイミングがこの時期だったということで、特に何か理由があるわけではないという。実際には、他の地域も同時進行的に物件を探しており、準備ができた地域から順次、開店をしていきたいとしている。

 また、今回のau SAPPOROのように中規模の直営店が増え、そこで得られたノウハウをauショップに還元していくということになると、将来的にauショップが今回のau SAPPOROのような直営店と同じようなスタイルを目指すことになるのかという問いについては、「中長期的には直営店のように、いろいろな商材をauショップで売って欲しいが、地域によって、商材も変わるだろうし、求められる販売店の姿や役割もある。面積で区別するのか、エリアで考えるのかは、今後、もう少し様子を見ながら検討していきたい」とした。

 今回、オープンしたau SAPPOROをはじめとする直営店は、これまでの携帯電話ショップにはない雰囲気を持ち、来客のパターンなども変化が見えている。ここで得られたノウハウがどのように地域のauショップに還元され、活かされていくのかも注目されるところだ。