「SH005」「SH006」開発者インタビュー

コンパクト防水モデルとWi-Fi WIN対応モデル


 auより1月末からシャープ製の「SH005」が発売になったが、続いて2月には同じくシャープの「AQUOS SHOT SH006」が発売される。

 SH005は7色の多色展開をするカラフルなスタンダードモデルだ。カラフルなだけでなく、コンパクトなボディに基本機能を詰め込みつつ防水仕様としている、なかなか気合いの入ったモデルでもある。

 一方のAQUOS SHOT SH006は、Wi-Fi WIN対応のハイエンドモデルだ。12メガのCCDやタッチパネルディスプレイなど、シャープのハイエンドモデルの特徴を引き継ぎつつ、無線LAN機能を搭載し、自宅の無線LANや公衆無線LANに接続して大容量のコンテンツを楽しめる。

 今回はこの2機種について、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部の中田尋経氏と同社オンリーワン商品企画推進本部 総合デザインセンター UIデザイン室 主事の伊藤愛氏にお話を伺った。

コンパクト・カラフル・防水で基本機能充実のスタンダードモデルSH005

――まずSH005のご紹介をお願いします。

SH005

中田氏
 「7色のカラーバリエーションから選べて、防水仕様、実用的で使っていて楽しい」をテーマに、auさん初の7色展開で好みの色を選べる楽しみを提供するとともに、必要な機能をコンパクトなボディに収めました。綺麗な曲面を持ったコンパクトボディに5メガカメラを搭載しているほか、シークレットフォルダ機能やFMトランスミッター機能、Blu-rayレコーダー連携機能などにも対応しています。

 メール機能としてはデコレーションメールの絵文字素材を合計3000種類プリインストールしているほか、手書きのイラストなどを撮影してオリジナルの絵文字を作れる機能にも対応しています。

――多彩なカラーバリエーションとコンパクトでスリムな形状が目を引きますね。

シャープの伊藤氏
曲面の多い形状をしている

伊藤氏
 SH005は機能面で充実したものでありつつ、auさんらしいファッション性の高いものを、ということで検討しました。特徴的なのは、やはり7色のカラーバリエーション展開です。狙った色を表現するのに試行錯誤しました。

 ディスプレイ背面は曲面ですが、側面は角を落とすことにより、スリムなボディながら手にフィットしやすい形状としました。

 全体のデザインはギフトパッケージをモチーフにしています。高級ギフトのパッケージのように、まず閉じている状態で見て感動を、そして開いたときにもまた感動があるように、端末を開くとカラー構成が逆になり、カーソル部分を金属質に見せることでアクセントを付けています。さらに内蔵する待受画像もカラーバリエーションにマッチしたものを入れています。ぱっと見て楽しい、開けて楽しい、電源を入れて楽しい、3段階でケータイのデザインの美しさを感じていただけるようにしました。

 メニューデザインなども、それぞれのボディーカラーをモチーフとして、それぞれのカラーに合った「遠景」を入れています。たとえばホワイトならば雪景色、ピンクは夕焼けといったものをモチーフに、大人っぽいイラストを出しています。ポップなカラーでもカワイイという印象だけではなく、大人っぽいイラストで幅広い年代のお客さまに使っていただきたいと考えました。

――多色展開にあたり、この7色に決定された理由は?

中田氏
 今回は開発当初から「7色で行こう」というテーマを決めていました。色数を決めた後、どういった色をそろえれば楽しく見えるか、ということを考えました。ポップなだけではターゲットが若い層に偏ってしまいます。若い方はもちろん、性別年齢を問わず幅広く受け入れてもらえるように考えました。

内側のカラーも各色でまったく異なっている

伊藤氏
 色の組み合わせは非常に苦労していています。たとえばグリーンとブルーも個性的すぎるというような意見もあり、いろいろと試しましたが、7色の中にこれがあるのは組み合わせとして綺麗に収まっている、ということで採用しました。

中田氏
 一方で7色を並べるだけではなく、それぞれ単体で持っていても楽しめるように、と心がけました。ストライプなどの柄は落ち着きがなくなるので、すべてツートーンで、カラフルかつ落ち着きがある、というようにしています。

――このコンパクトなボディが防水対応で、しかも基本機能をしっかり載せているのはスゴイですね。

中田氏
 苦労しました。防水端末は昨年のSportio water beatやSH002でもやっていましたが、SH002は回転2軸でサイズが大きく、コンパクト志向のユーザーには敬遠されました。しかしその点、SH005ではコンパクトに収めています。薄さを追求する一方で文字が打ちにくくなったりしないようにも心がけました。

 スペック面では、長期にわたってお使いいただくために、カメラについては5メガは必要だと考えました。このサイズのケータイとしては最高級の画質で、ブログなどに利用するには十分となっています。このほかにもシャープの特徴機能であるFMトランスミッターなどの機能はすべて盛り込みたい、ということで、この大きさに収めることはかなり苦労しました。

――今となってはEZ・FM対応というのも珍しいですね。

中田氏
 チップとアンテナを載せないといけないので、搭載するのが大変な部分です。しかし、市場では好評をいただいている機能であり、「SHならFM対応」と評価されている部分なので、外すことなく載せています。

 また、歩数計も搭載しています。さりげない機能ですが、じわじわと評価をいただいているポイントです。オムロンのアクティブエンジンを搭載しているので、かなり高性能な歩数計機能として利用できます。

――機能面ではカメラとタッチ以外の部分はSH003に近いのでしょうか。

中田氏
 カメラの画素数やタッチパネルの有無の差はありますが、基本機能でSH003に搭載していたものは対応しています。SH003は回転2軸とカメラなどで、サイズは若干大きくなっていましたので、そこをコンパクトにし、さらに防水仕様としました。

――充電については、Sportio water beat同様に卓上ホルダには対応しないのですね。

中田氏
 ここは最後の最後まで議論したところですが、サイズの問題から対応していません。リサーチしたところ、卓上ホルダを買われる人が想定より少なかったこともあり、今回は見送りました。ただ、充電のたびに端子カバーを開け閉めするのは、耐久性の問題はともかく異物が挟まる可能性があります。充電方法については今後の課題として取り組んでいきます。

Wi-Fi WIN対応のハイエンドモデル、AQUOS SHOT SH006

――続いてAQUOS SHOT SH006のご紹介をお願いします。

SH006

中田氏
 SH006は、すでに発売中でご好評をいただいているSH003をベースに、さらに使い勝手を向上させ、Wi-Fiに対応させました。

 SH003との違いとしては、一目でわかりますが、まずデザインが変わっています。SH003の背面はヘアライン調のシンプルなデザインでしたが、SH006はWi-Fi対応ということでガジェット志向よりに少しサイバー調にデザインしています。

 横から見たときには、上半分が明るいテーマカラーに、下半分がベースカラーになっています。ホワイトとシルバーはツヤを出してサイバー感を演出しています。ブルーは高級車のようなイメージの光沢感を出しています。

 SH006の背面ディスプレイは約1.4型の有機ELで、大きな時計表示はもちろん、アドレス帳に登録があれば着信時に相手の名前も表示できます。さらに本体内のスケジュールカレンダーと連動した1カ月カレンダー表示も可能です。

――機能面では、SH003と比較してWi-Fiが加わりましたが。

シャープの中田氏

中田氏
 Wi-Fiは自宅の無線LANアクセスポイントに簡単に繋いでいただけるよう、AOSSやNECの簡易設定機能などにも対応しています。もちろん、手動設定も可能です。

 Wi-Fiは自動設定にしておくと、家の外から自宅に帰ってくると自動で接続する、といった使い方が可能です。もちろんWi-Fi接続中も、着信やCメールなどが可能です。

――公衆無線LANだとパスワード入力などが必要ですが、それも可能ですか?

中田氏
 対応しています。「ホットスポット」「BBモバイルポイント」「LiveDoor Wireless」などの代表的なアクセスポイントで確認がとれています。

――無線LANの周波数はBluetoothと同じ2.4GHzですが、同時に利用できますか?

中田氏
 同時に利用できます。SH006ではWi-FiとBluetoothの干渉を最低限に抑える機能を強化しており、同時使用性を高めています。このためBluetoothヘッドセットで通話中に無線LAN経由でメール受信通知があっても、音声などが途切れることはありません。

――EメールやEZwebもWi-Fi経由で通信しているのでしょうか?

中田氏
 Wi-Fi WINは必ずKDDIさんの網に入ります。最後の出口がCDMAかWi-Fiかの違いですね。

――Wi-Fiを使った独自機能みたいなものはあるのでしょうか。

中田氏
 Wi-Fiを活かした機能として、アウトラインフォントのダウンロードに対応しました。普通のEZwebはダウンロードできるファイルサイズに制限があるのですが、Wi-Fiではこの制限が緩和されているため、サイズの大きいフォントファイルのダウンロードが可能になりました。

 SH006は従来通りの3種類のプリセットフォントに加え、データフォルダにダウンロードフォント専用のフォルダがあり、そこにあらかじめ「SHスリムタッチ」と「LC楷書」の2書体をプリインストールしています。これらはいったん消してしまっても、メーカーサイト「SH@ez」から再ダウンロードが可能です。現状でダウンロード提供するのは2書体のみですが、今後は「SHクリスタルタッチ」などシャープが持っているアウトラインフォントをメーカーサイトで提供するように準備中です。

――Wi-Fi以外にはSH003と違いはないのでしょうか。

カメラのUI

中田氏
 UIなどが変わっています。たとえばカメラのタッチUIを見ると、SH003ではフラッシュアイコンをタップするとフラッシュをどうするかを選択するメニューが表示されていました。SH006ではここを改善し、フラッシュアイコンを押すとそのままフラッシュ設定が切り替わるようにしました。このようにサブメニュー構成などを含め、細かいところで改善しています。

 ソフトウェアは全般的に新しいバージョンになっています。たとえばメール作成について、従来ではテキストとデコレーションメールが別々の新規作成メニューになっていましたが、これが統合されました。

 このほかにもアドレス帳のインクリメンタルサーチの速度を向上させ、キーの取りこぼしがないようにしました。ブラウザでもリンクをダイレクトタッチできるようになりました。実は細かいところで改善を施しています。

伊藤氏
 内蔵コンテンツも当然SH003とは異なります。メニューデザインなどはカラーバリエーションごとに別々のテーマを設けました。たとえばグリーンではあえてLEDディスプレイ調のデザインを採用し、サイバー感を演出しています。白とブルーは対になっていて、3D表現のメニューで高級感や清潔感を演出しています。

――なぜSH003をベースにされたのでしょうか?

中田氏
 SH006は、ハイエンドをターゲットに企画しました。シャープのauさん向け端末は、現状、高画質カメラ・タッチパネル・回転2軸のAQUOS SHOTが最高級のスタイルなので、その路線にあるSH003をベースにしています。

――本日はお忙しい中、ありがとうございました。




(白根 雅彦)

2010/2/9 14:45