【CEATEC JAPAN 2012】
NEC、食事や建物、チラシなどの内容判別が可能な画像認識技術


NECのブース

 多数のメーカーが節電を目的とした電力の“見える化”に関わるソリューションを展示していた今年のCEATEC。NECも同様のソリューションやスマートフォン・タブレットアプリを紹介していたが、スマートフォン絡みで最も注目されていたのは、高度な画像認識を可能にするサービス「GAJIRU」(ガジル)だった。

 「GAJIRU」では、専用のスマートフォンアプリやクラウドサーバーなどを組み合わせることで、さまざまな物体の画像認識を可能にする。たとえば“ミートソーススパゲティ”をスマートフォンのカメラで撮影すると、アプリ側で画像をサーバーに送信。データを受け取ったサーバーでは、あらかじめネット上から収集しておいた膨大な食事画像と送信された画像とを照合し、それが“ミートソーススパゲティ”であると認識する。その認識結果をアプリ側が受信して、“ミートソーススパゲティ”の作り方レシピを表示したり、含まれるカロリーを表示したりできる。

「GAJIRU(ガジル)」デモンストレーションカメラ撮影するだけで、ミートソーススパゲティを正確に認識できる
建物や自動車など、パターンが少ないものはカメラでかざすだけで認識

 建物や自動車などもカメラに写すだけで、それらの名前が瞬時にカメラ映像の中に表示される。建物については賃貸物件情報サイトなどと連携することで、その建物のどこが空き室か、といったこともわかるようになる。自動車についても、中古車情報サイトなどとの連携が考えられるだろう。

マンションの空き室情報を参照する、といったことも可能に

 テレビ映像内の人物やオブジェの情報もリアルタイムでカメラ映像の中で確認できる。デモでは、テレビ映像をスマートフォンのカメラに写すと、武井咲が登場するCMでは登場人物の名前を吹き出しで表示。そのタイミングで端末をシェイクすると、武井咲の詳しいプロフィールがわかるWebページなどにジャンプする。さらに、ワインのラベル部分をカメラに写すことですぐに通販サイトにアクセスして同じ商品を購入できたり、クイズが書かれたチラシをカメラに写せば、写した内容によって正解・不正解を判定したりと、幅広い応用が可能となっている。

テレビ映像の武井咲も認識プロフィールデータにジャンプできる
ワインのラベルや、チラシのようなものまで認識OK

 判定するためのデータが少なければスマートフォンのアプリ側にデータを持ち、食事などの膨大なパターンが想定されるものであればサーバー側にデータを格納して通信で認識結果を取得することになるが、このデモでミニチュアの自動車を認識するために用意した元画像は1台あたり計100枚程度とのことで、大量のデータと繊細なチューニングが必要になるものと考えられる。食事の認識についても、あくまでもそれに似た画像をサーバー側で検索して判定する仕組みのため、量を認識してカロリー表示に反映するといったことは今のところできないようだ。

 なお、「GAJIRU」については、すでに食事の認識機能に関して他社から採用に向けた打診があったほか、操作マニュアルなどへの応用についても自動車メーカーを交えた検討が進んでいるという。

 このほか、モバイル端末関連では、6台の「MEDIAS TAB N-06D」と12台の「MEDIAS TAB UL N-08D」を自由に試せる“スマートデバイス体験コーナー”を設置。各種セキュリティ機能が充実したタブレット端末「LifeTouch L」のビジネス向けモデルや、すでにサービスを開始しているBIGLOBE LTE対応モバイルルータ「Aterm MR01LN」、WiMAXルータ「Aterm WM3600R」なども紹介されている。




(日沼諭史)

2012/10/3 11:00