Skypeを使った新しい結婚式のかたち

 KDDI総研 田名部浩美
(株)KDDI総研 調査2部市場分析グループ。主に国内の市場調査を担当。愛犬は5歳になるポメラニアンの男の子。愛犬と過ごす時間が何よりのリラックスタイムとなっている。


 スマートフォンの普及とともに、更なる利用者拡大が予想されるインターネット電話のSkype。筆者も海外にいる友人とスマートフォンのSkypeアプリを使って通話したことがある。手軽さと料金を気にせず話せるのも魅力である。

 そんなSkypeを使った知人の結婚式でのエピソードをご紹介しよう。某通信会社に勤務する新郎は、自身の業務を活かし何かできないかと考え、思いついたのが海外にいる友人をSkypeでつなぎ、ライブ中継をすることだった。従来は、式に出席できない方がビデオレターなどでお祝いメッセージを送り、会場で上映するのが一般的。私もこれまで多くの結婚式に出席してきたが、Skypeを使った中継は見たことがない。

 今回、Skypeでつなぐ対地は香港、デンマークのコペンハーゲン、サウジアラビアのジェッダ。会場はホテルの最上階のレストラン。Skypeビデオ会議の映像が途切れる心配があったため、NTTのBフレッツ臨時回線が引かれた。その他事前準備として、新郎の同僚がPCやプロジェクター、カメラや音響機器などの接続構成を決めたり、ホテル側の業者と音響機器への音声のつなぎやプロジェクターの設置場所などの確認作業を行った。

 彼は当日の設営と画面切り替えも担当した。現地の友人とはメールとSkypeを使って、アカウントの確認や当日の段取りについて調整を行ったそうだが、海外駐在員で日常的にSkypeを利用していたこともあって、使用方法等についての説明も特に不要で、順調に進んだそうである。

 式当日、ライブ映像はプロジェクターで投影し、3カ国のリレー形式で中継が行われた。デンマークの友人はバイキングの格好など、現地の友人達は各国の民族衣装で登場し、会場を盛り上げた。参列者や式場の方もこのようなライブ中継は見たことがなく、総じて好評だったそうである。

 なお、海外は平日で友人達は皆仕事だったそうで、時差のため早起きしたり、会社の会議室を借りるなどして対応してくれたそうである。ちなみに、香港との時差はマイナス1時間、サウジアラビアはマイナス6時間、デンマークとはマイナス7時間である。

 旧来からあるビデオレターは、ビデオカメラに向かって一方的に語りかけ、新郎新婦の晴れ姿や披露宴の様子も全く分からない。以前、遠方のため結婚式に出席することができず、後で写真を眺めながら残念そうに話していた祖母のことを思い出したが、このSkype中継を使っていればそのような思いをしなくても済んだかもしれない。今後身近で結婚式がある際には、筆者もSkype中継を試してみたいと思う。

2011/11/30 10:00