本日の一品

芯が折れにくいシャーペンバトルはまだまだ続くのか?「DelGuard」編

デルガードのコピーは「もう、折れない。」だ

 今から数年前にプラチナ万年筆が発表した、落下の衝撃や過度の筆圧から芯折れを防ぐシャープペンシル「オ・レーヌ」という商品があった。プラチナ万年筆はこの「オ・レーヌ」の耐芯構造を強化、改良した新モデル「オ・レーヌ シールド」を昨年6月に発表した。

 ステーショナリーの世界もICTの世界と同じで、商品の成長には必ずライバルが必要だ。昨年、「オ・レーヌ シールド」の発表を受けて、各社が用意していたかのように、ぺんてるの「オレンズ」(orenz)、ゼブラの「デルガード」(DelGuard)の二つが登場し、芯折れのないシャープペンシルの世界はにわかに活気づいてきた。

 先月にご紹介した「オレンズ」に続いて今回はゼブラの「デルガード」をご紹介したい。デルガードは、おそらく「出るガード」というのが語源だと思われるが、発想そのものはオレンズと同様で、シャープペンシルの細い芯に急激な横からの力が加わっても芯が折れることが無いように芯をパイプ状のプロテクターで保護する仕組みだ。

芯を出さないで書いてください、という意表を付くコピーのオレンズ

 オレンズは芯が0.2mmととてつもなく細いが、常に芯先を”鋼鉄のパイプ”で保護することにより、芯を出さずに筆記できる。実際には、繰り出した芯が筆記することによってじょじょに短くなってくると、その長さに合わせて鋼鉄のパイプも奥に引いてゆくという、シンプルな構造になっている。極めて滑らかな鋼鉄製のパイプの先端が、紙面の凹凸に合わせて素早く上下することで実現している仕組みなのだ。

無理やり鋼鉄のガード(パイプ)を指先で押し上げて芯を出した時のオレンズ
普段の筆記時はこんな風に鋼鉄のガードパイプが0.2mmの極細芯をガードする

 一方、デルガードはより”メカニカルな構造”であり、芯を折ろうとする、横や斜めからの力が働くと、そのエネルギーを内部で感知する仕組みが働き、芯を保護するガードが内部からせり出してきて芯折れを防ぐ仕組みだ。これはウダウダした解説や写真よりも動画を見れば一目瞭然だろう。

この動画を見ると一目瞭然だ

 筆者が実際に”オレンズ”と”デルガード”の両方を購入して1週間ほど使ってみた印象では、実際に芯先が折れにくいのは、直径0.2mmという驚異的な芯を採用したオレンズだった。オレンズの芯先は常時鋼鉄製のパイプに全身を保護されているので当然と言えば当然だ。

デルガードは通常このように芯先が普通に出て筆記を行う

 一方、0.5mmという一般的な芯を採用したデルガードの方は、芯先は従来のシャープペンシルと同様にある程度は繰り出されていて、不規則な力が斜め上や側面から加わった段階で、それを感知してデルガードが出てくる仕組みだ。それゆえ、悪意を持って瞬発的に不規則な力を加えたり、不必要に長く芯先を繰り出してしまうと、残念ながら間違いなく折れてしまう。

芯先が普通に出た状態で筆記しているデルガードだが……力が加わると……
デルガードが後ろから迫り出してきて、芯先が折れるのをガードする仕組み

 しかし、思考しながら筆記するという本来のシャープペンシルの世界で扱うなら、芯先が折れる心配はまず不要だろう。故意に邪(よこしま)な力を加えてやろうと、力を込めて紙面を芯先で圧迫すると、それを検知して迫り出してくるデルガードの動きがやけに魅力的で愛らしく感じてしまう。つい筆記を中断して考え事をする時など、思わず紙面を芯先で押している自分に気がついてしまう。ゼブラの「DelGuard」、メカニカルな動きが好きな筆者には最高の一本だ。

一番細い0.2mm径のオレンズ(左端)と0.5mm径のデルガード(左から2番目)
製品名販売元購入価格
デルガード(DelGuard)ゼブラ400円

ゼロ・ハリ