本日の一品
経年変化が「味」となる――蝋引き紙のA4ファイル
(2014/2/4 06:00)
ステーショナリー大好きの筆者は、A4サイズの書類を収納するクリアファイルも、めぼしいものを見つけると必ず買ってしまう。単価が安く、多くの人が実用品として利用できるクリアファイルは、企業ノベルティのほか、観光地や美術館、博物館などあらゆる場所でオリジナルグッズとして販売されている。
筆者の自宅引き出しには、そうして増えた未使用クリファイルがギッシリと詰まっているのに、またしても目新しいモノを買ってしまった。
世界の市場には、クリアファイルはもの凄くたくさんの種類があるようだが、ある視点で分類してみるとそれほど多くはない。使用率の高いA4サイズに絞って考えるなら、企業の社内備品系、クールデザイン系、ジョーク系、ノベルティ系、マルチコンパートメント系、異素材系、そして企業の機密管理に多くの目が集まった頃のセキュリティ系などで、ほぼ全体の90%以上を占めるだろう。
今回、筆者がお馴染みのビレッジバンガードで発見したのは、今まで見たことのなかった“蝋引き紙”(ワックスペーパー)を素材にして作られた2色の「Wax Paper File」だ。ワックスペーパーを一言で言うなら、ごく普通の薄紙に均等に蝋を染み込ませ、耐水性・耐湿性をもたせた特殊紙だ。
ワックスペーパーは、趣味でブックカバーや栞などを作っている人がいるように、誰でも家庭で比較的簡単に作ることが可能だ。A4サイズのコピー用紙と削ったロウソク、アイロン、クッキングペーパーなどがあれば簡単にできてしまう。しかし、染色など仕上げを凝るとけっこう奥の深い趣味なのだ。そんなワックスペーパーを使ったクリアじゃないファイルを一目見て気に入って買ってしまった。
ファイルの主たる素材は、きわめて薄い紙素材なのだろうが、タップリと蝋が染み込んでいるので、指先で触った感じは紙とは全く違う感触だ。もちろんクリアファイルのつるつるした手触りとも異なる。
単なる化学製品である一般的なクリアファイルと異なり、ワックスペーパーで作られたファイルは、染み込んでいる蝋の性格上、直射日光の当たるところなど摂氏50度を超えるような場所には保管できない。また、糊で貼り付けたり、セロハンテープで貼り付けるのもなかなか難しい素材だ。
それゆえ、Wax Paper Fileはクリアファイルなら熱で圧着してある底辺部分を糸で縫い付けてあるのだ。実際に書類を入れてしばらく使ってみたが操作系は特に問題なく、書類があからさまに透けて見える程でもなく、持ち主なら内容が十分判別出来る合格圏だ。
なにより鞄に入れて何度か持ち歩くことで、ワックスペーパーが折れ曲がったり押さえこまれたりした箇所が変化して独特の「味」を出してくれる。これは使えば使うほどくたびれてくるクリアファイルとは大違いだ。長く使えて、使えば使うほど味が出てくるファイルは化学製品にはまずあり得ない。Wax Paper Fileは経年変化を楽しみに毎日使える一品だ。
製品名 | 販売元 | 購入場所 | 価格 |
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Wax Paper File (蝋引き紙で作ったファイル、3枚セット) | かみの工作所 | ビレッジヴァンガード御茶ノ水 | 945円 |