本日の一品

台北・誠品書店で買ったメガネボールペン

 パソコンと同じく、コモディティ化の進み過ぎた商品は価格下落の一途を辿るのが普通だ。しかし、その一方で、付加価値アップにより限られた市場で生き延びるアイディアが時々登場してくるので、なかなか目が離せない。

 ボールペンも、リフィルに使用するインク素材の革新や多色化、超太字や超細字等の筆記バリエーション、操作系ユーザーインターフェイスの革新や斬新なデザインの取り込みなど、その積極的な市場展開は、多くの文具好きを日々生み出している。

 先日、台北市内に何箇所かお店を構える“誠品書店”内の「賽先生科學工廠」(Mr.Sai Science Toy Factory)で見つけた「メガネボールペン」はきわめて安価ながら、なかなかの秀作だ。

一見してごく普通の老眼鏡のようなイメージだ
メガネのツルがボールペンになっているとは……

 「メガネボールペン」は、常に身につけておきたい筆記具としてのボールペンを、必要な人には極めて大事な眼鏡とインテグレーションしたガジェット系ボールペンだ。

 実際の眼鏡にはレンズは入っておらず実用にはならないが、今後の設計次第では100均で売られている老眼鏡程度には十分作り上げることは可能だろう。メガネボールペンをジャケットのポケットにいつも忍ばせておけばきわめてナチュラルでオシャレな存在になることは間違いない。

 大まかな仕組みは、メガネの2本のつるの部分がボールペンの軸になっているというきわめて単純明快な構造だ。デザインのキモはメガネのツルの根本にあたるヒンジ部分だ。フレキシブルにツルの開閉を行うヒンジ部分にちょうどボールペンのキャップに当たる部分が上手く作り込まれている。

 ボールペン本体の軸部分は、そのツルの根本のキャップ部分に挿入することで、一見して普通のメガネに見えてしまう。なによりコスト最優先で企画・開発されたようで、ボールペンのリフィルも左右2本ともまったく同じ、ごくありふれた黒インクの細字だ。

 一方を赤のリフィルに変更するとか、太字と細字のペアとか、一方をマーカーにするとか、余分なコストがわずかでもかかる部分は切り捨てている。しかし、今後そうした展開も考えやすい、素晴らしいデザインコンセプトの製品だろう。

 ボールペンとメガネというありきたりの商品同士のインテグレーションは今までありそうでそれほどはなかった。今後、頭を悩ませてメガネボールペンを超える楽しい商品をいろいろ考えてみたくなった。

ツルを指先で引っ張ると抜けてボールペンが現れる
2本とも細字のボールペンというのでは、奇抜なアイディアがもったいない
ジャケットのポケットに引っ掛けておいてもなかなか様になる
自宅にいっぱいストックしているBICボールペンなら軸の太さのサイズはピッタリだった。軸がブラックカラーのモデルを手配したくなった。
製品名販売場所価格
メガネボールペン誠品書店(台北市)約100円

ゼロ・ハリ