アート付箋とジョークスティッカーでオフィス遊園地化計画

ウェブショップでは街の文具屋さんには置いていない海外の楽しいステーショナリーを見つけることができる

　“付箋紙”という三文字は、筆者の個人的感覚ではどことなく古くて、硬くて愛嬌のない漢字の集まりに見えてしまう。なので、昨今、ステーショナリーの中でも手軽な価格で登場してきた“アート的な“付箋紙や”ジョーク満載の”メッセージスティッカーは、一言でくくって「付箋紙のようなモノ」とは呼びたくない商品だ。

　実際に、プライベートはもちろん、ビジネス環境でも十分使えそうな付箋紙やメッセージ用のスティッカーは世界のステーショナリー市場でも大きな需要が見込める商品群だ。しかし、売上単価が極めて低いのが残念な商品セグメントなのだ。

　昨今の日本国内の文具市場は、我も我もと、スマホ連携を目指してしまうほんの少し残念な傾向があるが、そういう中でもテクノロジーだけには頼らず、下請け企業の開発力などを当てにせず、アイデアを絞って自社の持つ個性的なセンスで楽しいステーショナリーを考え出し発売している国内の小さな企業や輸入販売会社が登場してきている。

　今回、ご紹介する筆者が勝手に命名した“アート付箋”や“ジョーク・スティッカー”等はそのほんの一例だ。しかし、これらの企画開発・製造企業の多くが日本国内の企業ではなく、海外の新進企業に多いことは残念なことだ。

　常に持ち運ぶことを大前提に、ファンシーでアーティスティックな個性的付箋紙をパッケージングから使い勝手までこだわったのは、米国GotYoGifts社のオシャレで使うことが楽しくなる新しい商品だ。“付箋紙”という陳腐化したネーミングを考え直しても良いと思わせてしまう。

　韓国製の“ERROR STICKY_NOTE_SET”は、一人一台のコンピュータ化が完了したオフィスで、ディスプレイの表面上に貼り付けることを大前提に考えられたジョーク商品だ。

　そして、昨今、オフィスや自宅のデスク上に絶対にあるモノの代表選手は、パソコンのキーボードだ。不在の人のキーボードをメッセージを残す極めて目立つスペースだと考え、キートップの隙間に差し込む動物の立ち姿をアレンジしたメイドインジャパン“HI MOJIMOJI社”のメッセージペーパーも有りそうでなかった斬新アイディアだ。

　使い方は、一般的な付箋紙と全く同じ基本コンセプトのスティッキーメモだが、誰もが知っているタイプライターや、少しレトロなポラロイド・インスタント・カメラから飛び出してくるタイプ用紙や写真の印画紙を、ちょっと角度を付けて折り曲げるだけで、斬新なメモスペースに変化する。

　中国や、今後伸びるアフリカ諸国と比べて人件費の高い日本では、今後は“発想力”の差が大きなビジネスの差に繋がることが多くなってくる。最大1億人少々しか購買者の居ない国内でのステーショナリービジネスを考えるなら、先行企業を押し負かすバトル市場に参入するのではなく、アイデア出しの鍛錬をして、センス良い新市場開発を試みてみるのはいかがだろうか？　海外製のアイデア満載のたった一枚の付箋紙は、我々にいろいろな事を教えてくれる。

米国GotYoGifts社のファンシーな付箋は日本国内でも知名度を上げてきた

韓国製のERROR STICKY_NOTE_SETはWindows採用の日本のオフィスでは活躍しそうだ

ジョークでこういう使い方をしてみた

新時代の付箋は、オフィス遊園地化戦略の尖兵だ