本日の一品

定番イヤホン「TripleFi 10」用の交換ケーブル「HPC-UE」

イヤホンの「TripleFi 10」に交換ケーブル「HPC-UE」を装着

 ポータブルオーディオプレーヤーが広く普及し、最近はスマートフォンでオーディオプレーヤー並みに音楽が聞けるとあって、イヤホンやヘッドホンも実にさまざまなモデルが登場している。そんな中、ハイエンドモデルを中心に「リケーブル」という楽しみ方が広がりつつある。

 イヤホンやヘッドホンのケーブルが断線してしまい、片方だけ音が出なくなった、などという経験は誰しも一度はあるのではないだろうか。買い直したり、修理に出すのは何かと面倒だが、1万円を超えるようなモデルやプロ向けを謳うモデルにおいては、ケーブル部分だけを簡単に交換できるモデルが登場している。その中でも比較的以前からケーブル交換可能なモデルなのが、Ultimate Earsの「TripleFi 10」(旧称Triple.fi 10 Pro)だ。最近ではShureのイヤホンのハイエンドモデルでも、ケーブルが交換可能になっている。

 本来は断線時に簡単に交換できるというのがメリットなのだが、サードパーティからはこのケーブル交換の仕組みを利用した、より品質の高い交換ケーブルがラインナップされるようになった。今回紹介するオヤイデ電気の「HPC-UE」は、「TripleFi 10」に対応する交換ケーブルだ。

 国内で販売されているUltimate Earsの現行ラインナップは、刷新が進み、ケーブルを交換できるのは現在のハイエンドモデルである「TripleFi 10」のみ。次期ハイエンドモデルで、ケーブルの交換が可能な「UE 900」は国内導入が待たれている状況だ。この「TripleFi 10」だが、2007年から5年以上にわたって販売されているロングセラーモデルで、発売当時の価格は4万9800円だったが、現在は1万9800円と、ポテンシャルやスペックからすれば、なかなかお得な価格帯にまで値下がりしている。

 「TripleFi 10」そのものの傾向はすでに評価が出尽くしているが、バランスド・アーマチュアユニットを3基搭載し、パンチの効いた深い低音、キレのある高音、相対的に“真ん中”あたりが控えめという印象だ。また、ドライで分析的な音ではなく、音楽的な楽しい音といったところだろうか。例えばShureのハイエンドモデル「E535」などと比較すると、発売年次が古い分だけ見劣りする要素はあるが、個性的なキャラクターなのは確か。傾向を分かった上で使えば、しっかりと応えてくれる。

 ケーブルを「HPC-UE」に交換すると、全体的にクリアになり、音の輪郭のようなものがしっかりと描かれる印象だ。控えめだったボーカルやピアノの領域も分かりやすくなり、より音楽的に楽しみやすくなる感覚もある。導体(信号ケーブル)は高品質な銅を使用したPCOCC-Aで、音質に定評のある線材だ。一方、ケーブル自体は純正品と比べて重く、太くなる。柔らかいとまではいかないものの、形状保持性のある曲がり方はユニークで、クセは付きにくい。

 前述のように「TripleFi 10」はロングセラーモデルなので、断線時の交換用ケーブルとして検討するのはもちろん、すでに使い倒しているユーザーにとっても、ケーブルの交換で新たな発見が得られるかもしれないのは興味深いところではないだろうか。筆者は「TripleFi 10」が日本で販売される前に入手したので、5年以上はこのイヤホンを使っている。すでに筆者的な“一軍”からは退いているのだが、こうしたケーブルの交換で“余生”を楽しんでいる。

ケーブルは内部が銀色で、最外装のシースは透明。ステレオミニプラグはロジウムメッキが施されている
ケーブル自体に形状保持性があり、形状記憶のためのワイヤーは省かれている
製品名製造元購入価格
HPC-UEオヤイデ6300円

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