懸念の方向キーが大幅改善したXbox 360のコントローラー


Xbox 360 ワイヤレスコントローラー SE

 十字キーといえば、ファミコン以降は家庭用ゲーム機のコントローラーの要だったが、プレイステーションが2つのアナログスティックを搭載し、NINTENDO 64がスティック型の方向キーを導入したことで格下げが決定的になり、キャラクター操作ではなくメニュー操作など、今やサブ系統の操作のためのキーに落ちぶれてしまった。ニンテンドー3DS LLでもその小さな十字キーのサイズが存在感を物語ってしまっている。

 当初は耐久性を考慮し、スティックに代わるものとして、ゲーム&ウォッチに初めて搭載されたという十字キー。コントローラーの左右に堂々と十字キーをダブル搭載したバーチャルボーイのコントローラーという絶頂期をはるか昔に(一瞬で)通過してしまった今、平成生まれの世代が「十字キーっていらなくね?」と掲示板に書き込んでいてもおかしくはない時代だ。

 時は流れコントローラーはボタンを押すものはなく振り回すものになったが、しかし十字キーは小さくなったり場所を追いやられたりしても、しぶとく生き残っている。米国産のXbox 360でも例外ではなく、十字キー(方向キー)を一応、ちゃんと、搭載しているのだが、問題はその実装だった。

 誤解のないように予め説明しておくと、Xbox 360のコントローラーはよくできている。360ではないXbox時代はアメリカ人サイズなどと日本では言われていたが、現在はそうしたサイズの問題もなく、操作性も含めてよくできているコントローラーだ。特に、「RT」「LT」はトリガーボタンとしてストロークの長いボタンだが、拳銃のトリガーのように細長いので、シューティングゲームなどでは雰囲気も出る。接続は無線が基本だが、USB接続の有線版(パソコン向け)もラインナップされており、パソコンでゲームをプレイするユーザーにも人気だ。

 唯一にして最大の課題は、方向キー(十字キー)が誤操作しやすいことだ。上や右の判定が非常にシビアで、上に入力したつもりが右に入力されてしまう、といったことが頻繁に起こるのである。方向キーをアナログパッドのように8方向の操作で使うなら問題にはならないのだが、例えばメニュー操作など、上下左右の4方向しかない場面でも誤操作が起こるので非常にストレスがたまるのである。ゲームソフト側の調整で対応もされていそうだが、パソコンなどで利用するとこうしたシビアな操作感が顕著に現れる。筆者は、保証対象外になるのを承知でUSB接続板のコントローラーを分解し、基板上の方向キーの接点に油性マーカーで絶縁部分を作って、操作感を調整したほどである。

 そうした方向キーの感度の高さを問題視しているのはどうやら世界共通だったらしく、最近になってこの方向キーに「全方向モード」と「4方向モード」を切り替えできるというバージョンが登場した。それが「Xbox 360 ワイヤレスコントローラー SE」である。当初は限定版としてツヤツヤでピカピカのボディカラーが販売されていたが、指紋が気になりそうだったので、通常版カラーを購入した。

 結論から言うと「4方向モード」にした方向キーでも誤操作は起こるのだが、その頻度は大幅に減った。方向キーの感度に悩んでいたユーザーは待望といっていいできだと思う。方向キーを90度回転させるという切り替え操作は、指先を引っ掛ける部分が少なくちょっとやりにくいが、頻繁に変えるものでもないので問題にはならないだろう。方向キーの高さなどはこれまでと同じなので、操作自体に違和感を覚えることはない。

 外観もこれまでのXbox 360コントローラーとだいたい同じ、と言いたいところだが、実はこの限定版ではない通常版の「ワイヤレスコントローラー SE」、「A」「B」「X」「Y」の各ボタンが色ではなく、白やグレーなど階調表現の着色になっているところが新しい。モノトーンに仕上がったことでデザイン面でのゲーム機っぽさも薄れているようだ。A、B、X、Yの各ボタンの色は、サードパーティ製コントローラーでも指定の色を付けることが徹底されていた印象なので、オプションで販売している製品とはいえ、純正コントローラーでこうした配色をやめたのは驚きに値する。

 もっとも、ゲームプレイ中の画面に「 <Y>で注目 」といったように表示が出る場合、画面上のボタンのマークには色が付いていることがほとんど。Xbox 360のコントローラーに慣れてないと、色でボタンを探そうとしてしまい、一瞬迷ってしまうことになる。そうした意味ではXbox 360のヘビーユーザー向けと言えるのかもしれない。


従来と同じ、全方向モードの方向キーカチリと90度回転させると「4方向モード」になる。キー自体の高さは同じ。操作中に回転してしまうことはない
全体的にモノトーンでまとめられているA、B、X、Yに色が付いてない。カッコイイのだが、慣れてないと少し迷うことも

 

製品名製造元購入価格
Xbox 360 ワイヤレスコントローラー SE プレイ&チャージ パックマイクロソフト5072円

 

 

(太田 亮三)

2012/10/15 06:00