フリクションボールを消す方法の最終進化形? 「電子ケシゴム」キット
今や、女子高生からお年寄りまで、擦るだけで文字や絵が消えてなくなるフリクションボールは文具ファンの枠を超えて広く一般的にも人気商品だ。しかし字画の多い漢字の国の日本生まれのフリクションボールは、ボールの直径が1mm以上の太字(ボールド)のリフィルがないので筆者にとっては、今のところちょっと残念なボールペンなのだ。
ご存じのように、ペン後端にあるケシゴムのようなラバーで、フリクションボールで描いた文字や図を擦るだけで簡単に消すことができる。これは、フリクションボールに採用している特殊なインクが、紙の表面を擦る際に生じる摩擦熱によって摂氏60度を超えると化学変化を起こし、インクが透明になってしまう性質を利用したものだ。
広い面積を効率良く消去するために、パイロット社も一般的なケシゴムイメージの“フリクションシリーズ専用消去ラバー”を別売している。温度を摂氏60度以上にさえすればインキは透明になるので、ケシゴムの応用発展系はいくつか思いつく。ネット上でも多くの人が既に実践している“電動ケシゴム”のケシゴム先端部分をフリクションボール用の交換用消去ラバーに替える、などがその一例だ。
言うなれば、パイロット社が別売している大型の消去ラバーは、伝統的なケシゴムイメージをそのまま引き継いだ第一世代の“人力ソリューション”だ。そして、フリクション専用消去ラバーを採用した電動ケシゴム(改)は、モーターの回転で人力から一歩進んだ第二世代の“メカニカル・ソリューション”だ。
そして、本日ご紹介する一品は、文具好きなら知らない人のいない「文具王」が「エレキット」とコラボして出来上がった第三世代の「電子消しゴム」だ。たった7箇所をハンダ付けしただけの簡単なキットとして、エレキットから提供される。温度が摂氏60度以上になると透明になるインキで描かれた文字や絵をスムースに消すには、電動ケシゴムと同じく、文字サイズの先端を持った道具の先の温度を摂氏60度以上に定常的に保てるハードウエアを開発すれば良いのだ。
キットで提供され、今ならポリスイッチもプレゼントされる | 完成した電子ケシゴム、あとは単4電池を入れて、スイッチを押すだけ |
文具王のアドバイスで、エレキットでは、簡単なスイッチを押している間だけ電源がオンになる、スイッチ付の電池ボックスキット(モデル番号:AP-170)を基本部品として提供している。しかし、この電池ボックスキットだけでは電子ケシゴムにはならないが、現在は、このキットの購入者には、最適(ホールド電流 約900mA)のポリスイッチがオマケで付属する。
ポリスイッチは、ヒューズと同じ渦電流保護素子だがヒューズと違い、何度でも再利用可能な点が電子ケシゴムにピッタリだ。キットの組み立ては、単4電池ボックスとスイッチ、ポリスイッチの3つのパーツを専用基板にはんだづけするだけだ。
そして、操作方法は至って簡単。単4乾電池をセットした電子ケシゴムのスイッチを指先で押すと、押している間だけ電流がポリスイッチに流れ、すぐにポリスイッチ素子は温度が摂氏60度以上に上昇する、あとはポリスイッチの先端部分を消去したい紙の上の文字や絵の上をなぞるだけだ。
横幅5mmのポリスイッチは、紙との接触面を少し斜めにしたりすることで、より小さな文字や線も簡単に消し去ることが可能だ。筆者も、最近は第二世代のメカニカル・ソリューションから第三世代のICテクノロジーの「電子ケシゴム」にバージョンアップした。
本来は文字や図を消す目的で企画された電子ケシゴムだが、一部のFAX等に使用されている感熱紙を使えば、お絵かきペンにもなるのが面白い。フリクションボール愛好家なら一つは作って持っておきたい電子道具の逸品だ。
ズラリ列んだフリクションボール対応ケシゴム。人力、メカ、電子と発展した | 電子ケシゴム(下)は音も振動も無く、フリクションボールで描いた文字や線がただしずかに消えてゆく……シュールだ |
商品名 | 実売価格 | 購入場所 |
スイッチ付単4×1電池ボックス(AP-170) 組み立てキット | 840円 | エレキット公式直販サイト |
2012/10/16 06:00