高倍率ズームと手ブレ補正対応の単3形電池対応デジタルカメラ


単3形電池対応の「PowerShot SX150IS」。丸みを帯びたボディは一般的なコンパクトデジカメより一回り大きい

 単3形電池に対応したデジタルカメラというと、どうもエントリーユーザー向けというイメージがあるらしい。確かに簡単操作を売りにしたものが多く、こだわり派のユーザーからは敬遠されることも少なくないようである。ところがキヤノンの「PowerShot SX150IS」は少し異なる。電源に単3電池を使用する手ごろな価格の製品ながら、上位機種に引けを取らない機能を満載しているのである。

 「SX150IS」は、電池と併せて約300gと意外に重量がある。丸みを帯びたボディも幅が113.3mm、高さ73.2mm。最近の基準でいえばコンパクトとは呼びづらい。しかし、3インチの液晶ディスプレイをはじめとして、高倍率ズームレンズやレンズシフト式イメージスタビライザー(手ブレ補正)といったメカニズムを内蔵していることを考えれば納得できる。ボタンやダイヤルなどは右サイドに集中しており、右手だけで操作できないことはないが、やはり両手で構えたほうか扱いやすく、安定感がある。

 機能の充実ぶりはエントリークラスのモデルとは思えない。手軽なオート撮影モードや各シチュエーションに合わせたプリセット撮影モードだけでなく、プログラムAE、シャッタースピード優先AE、絞り優先AE、さらにはマニュアルまで選択でき、たいていのシーンに対応できる。多彩なフォーカスモードと顔認識機能を搭載しているので、笑顔やウィンクに反応して自動的にシャッターを切るといったことも可能だ。

 レンズのズームレンジは35mmフィルム換算で28mm~336mm。デジタルズーム機能やデジタルテレコンバータ機能と組み合わせれば簡単に高倍率が楽しめる。また、接写性能にも優れていて、最短撮影距離は1cm。数km先を狙った望遠撮影からレンズに触れそうになるほど近寄ったマクロ撮影まで、これ一台でこなせてしまうのだ。

 画質はコンパクトデジタルカメラとして平均的なレベルといっていいだろう。画像サイズが5種類、データ圧縮率が2種類と選択の幅が狭いのが少々残念ではあるが、普段のスナップ撮影や旅行先での記念撮影、また画像素材集めなどには十分以上。もちろんハイビジョン動画の撮影も可能だ。この価格帯のデジタルカメラとしてはトップクラスのハイコストパフォーマンスといえるのではないだろうか。

 機能や価格だけでなく、電源に単3形電池を採用しているという点にも注目したい。単3形の電池は手に入れやすく、電池を他の機器と共用できるというメリットがある。実質的にバッテリー切れを気にする必要がなくなるのだ。正式には単3形アルカリ乾電池、またはキヤノン製単3形ニッケル水素電池を使用するよう指定されているが、筆者は以前から使っている単3形エネループを流用することにした。指定の製品ではないのでトラブルがあった場合は自己責任となるが、今のところ問題は起きていない。当面はエネループをメインに、必要に応じてコンビニなどで乾電池を調達するというスタイルを考えている。


手ブレを抑えるイメージスタビライザーを搭載した12倍ズームレンズ。最短撮影距離1cmと、接写性能も優れている撮影モードを切り替えるダイヤル。マニュアルモードに対応しており、好みのシャッタースピードや絞り値を設定できる
背面の3インチ液晶ディスプレイ。フォーカスチェッカーやスライドショーなど、多彩な表示、再生機能を備えているボディ上面の盛り上がった部分にはストロボが収納されている。必要に応じて指で引き起こす方式だ
電池収納部の横にSDカードスロットがある。SD、SDHC、SDXCのほか無線LANを利用するEye-Fiカードに対応するUSBケーブル、ストラップ、電池のほか、デジタルカメラユーティリティー「ZoomBrowser EX」が付属する
撮影サンプル(リンク先は1200×1600ドット)。約4.5Km離れた場所から光学ズームを広角にして撮影。35mmフィルムに換算すると焦点距離は28mmになる撮影サンプル(リンク先は1200×1600ドット)。同じ場所から光学ズームの最大倍率で撮影。イメージスタビライザーの効果か、手ブレが気にならない

 

製品名製造元購入価格
PowerShot SX150ISキヤノン1万2998円

 

 

(サイトウシゲキ)

2012/4/12 06:00