ケータイカメラ・コンデジにPLフィルターを! 「Jelly Lens」


購入したJelly Lensシリーズ。左から魚眼、PL、クローズアップレンズ(フィルター)
001DL (Dell Streak)にPLフィルターをつけてみた。筐体にちんまり付く感じ。ストラップのひとつとしてケータイにつけるには悪くなさそうだ

 一眼カメラではよく使われる「フィルター」。ケータイのカメラやコンパクトデジカメ向けには、普通は売られていない。これを付ければ、余計な映り込みを抑えたり、被写体の肌つやをよくしたり、絵作りにとても役立つ便利なアイテムであるにも関わらず、フィルターが売られていない理由は簡単で、ケータイやコンデジのレンズにはフィルターをつけるような仕組みもなくレンズ径もまちまちで作りようも、つけようもないからだ。

 しかし筆者は、中国製品を現地から安く買える通販サイト「Deal Extreme」で、コンデジやケータイ向けのPLフィルター「Jelly Lens」シリーズを探し出した。このJelly Lensは、シリーズNo.1の魚眼から、光をきらめくような絵にするクロススクリーン、光をなめらかにするデュードフィルター、クローズアップレンズ、それに今回探したPLフィルターなどがシリーズ化されているのだ。そこで、喜び勇んで「PLフィルター」とついでに「クローズアップレンズ」「魚眼レンズ」を注文した、というわけである。

 価格はそれぞれ2ドル前後で、例えば私が購入した時、PLフィルターは割と高価な部類だが、それでも1個あたり米ドルで2ドル56セント、1ドル80円で換算すると約205円程度だった。

 さて、手元に届いたこのレンズの、フィルターをカメラに取り付ける仕組みだが、かなり無理やりと言っていいものだった。実をいえば手元に届くまで筆者にも分かっていなかったのだが、レンズの片方にゼリーというか、ゲル状の物質が付いていて、これでケータイやデジカメのレンズにペタリ、と貼り付けて使用する。だから商品名が「Jelly」レンズなわけだ。

 質感については、レンズは軽いプラスチック製で、筐体も安っぽいプラスチック製、これにケータイストラップヒモとフタが付いていて、おもちゃかノベルティという感じだ。被写体を求めてどこかに行くというような「本格的な写真撮影」には向いていないだろうとは思うが、ストラップとしてケータイにつけておいて「ああ、ここでこんなフィルターで撮れたらいいだろうな」という時に、ペタリと付けてみる、というような軽い感覚で使うべきものだろう。

 ちなみにPLフィルターとは、正確にはPolarized Light Filterといって、簡単にいうと偏光レンズの一種だ。要するに、特定の規則的な方向にのみ振動する光だけを透過するフィルターの働きをする。展示会のパネルで、アクリルカバーがかかって光が反射しているような場合や、ショーケース内の展示物撮影のようなガラス越しの撮影で光の写りこみを防止できるフィルターで、一眼レフカメラなどではよく使われるフィルターのひとつだ。

 デジタルでこれを処理しようとした場合、どこが写りこみや不要な反射か、などを判別するには非常に膨大な計算量が必要になるので、ケータイやデジカメの画像処理で搭載されるのは当分先の話となってしまうだろう。

 また、クローズアップフィルターは、マクロレンズといえばいいのか、非常に接近したものをピンボケせずに細部まで写すレンズの組み合わせだ。特にケータイのピント固定レンズではマクロ撮影は難しいが、これをつければ非常に細部まで撮影することができる。

 現在のデジカメやケータイでは、クロススクリーンや、美肌、落書きなどは簡単に、内部で画像処理して作れてしまうが、上記のようなソフトウェア処理では難しいフィルターというのが、筆者が選んだ理由だ。

 実際、撮影してみたのが以下の写真の通りだが、使い勝手としては、まぁ、なんというか値段相応だ。写真は日本通信の「IDEOS」で撮影したものだが、レンズ枠が写ってしまうものの、レンズなしと比較するとPLフィルターでは空の青みがかち、木の葉の乱反射が防がれており、ちゃんとPLフィルターとして機能していることはわかる。また、クローズアップレンズによるマクロ撮影は、たとえば、壱千円札を写してみるとケータイ単体ではぼんやりとしか写らなかった接近写真が肖像画の人物名「野口英世」がはっきりと撮影できたのは感動ものだった。

IDEOSにて撮影、フィルターなしの風景IDEOSにて撮影、PLフィルターを付けて撮影した風景。レンズ枠が写ってしまうものの、空の青み、木の葉の乱反射が防がれており、PLフィルターとして機能していることはわかる
千円札。肖像画下部分に誰の肖像であるかが書かれている001DLで近接撮影。ぼやけてしまって、はっきりは写っていない001DLにクローズアップレンズを付けて近接撮影。「野口英世」とはっきり読み取れる

 

 性能的には、まぁ確かに価格相応だし、また弱点もいろいろ存在する。先に述べたケータイによってはレンズの枠が写ってしまうことはそのひとつで、特に筆者の環境ではIDEOSのカメラは広角に作られているようで、かなり枠が写真に写ってしまう。他にも、粘着ゲルの粘着力は弱く、少なくとも筆者の入手したレンズではケータイにつけて写真を写そうと思ってもすぐ落ちる。

 PLフィルターに関してこれは致命的で、せっかく偏光方向を調整できるのに、ゲルの粘着力が弱いせいで、調整つまみをいじるたびに落下してしまう。筆者の場合背面カバーがはじめから数種類添付されている「IDEOS」を使うつもりなので、もういっそのことカバーをひとつPL専用にして接着剤でこのPLフィルターを外れないようにしてしまおうかと思っているくらいだ。

 ただ、こうした品質面は価格相応ではあるが、ちょっと変な面白いシリーズなのではないかと思う。特にPLとクローズアップはケータイカメラの新しい可能性を見出すことができると思うので、試してみてほしい。なに、中国からの送料込みでも、コンビニでおにぎりとジュースを買うより安いのだから。

 

製品名製造元購入価格
Jelly Lens--約2ドル

 

(大和 哲)

2011/9/13 06:00