メモリー増設や分解にぜひ使いたい、トルクドライバー


ミツトモ製作所の「精密マイクロ ドライバーセット」

 ノートパソコンを使っている人なら、メモリー増設などでネジを緩めて裏蓋を開ける機会が一度や二度はあったことだろう。そんなユーザー側で開けることが許されているところでも、設計上はネジを締める強さが規定されている。

 それに気が付いて以来、気になっていたアイテムがトルクドライバーである。トルクドライバーとは、設定した値以上の力(トルク)を加えると空回りして、必要以上のトルクをかけずに済むドライバー。締めすぎによるトラブルのほか、ねじ山を力で潰してしまったりすることを防ぐことができる。

 そして、たまたま見ていた工具を扱う通販サイトで、約3000円で購入できるトルクドライバーを見つけてしまい、すぐ購入してしまったのが、今回紹介する「トルクドライバーセット」だ。

 届いて、何かに使ってみようと思ったのだが、何のネジを締め付けるにも、肝心のネジの締め付けトルクの適正値がわからない。少し悩んだが、持っているノートパソコンのひとつ、ThinkPadシリーズは保守マニュアルが公開され、締め付けトルクまで記載されていることを思い出した。

 早速ネットで公開されているThinkPadの保守マニュアルを見てみると、手持ちのThinkPadのメモリー増設のフタの締め付けトルクは0.185N・m(ニュートンメートル)。購入したトルクドライバーセットの設定値は0.02N・m~0.18N・mなので微妙に範囲外。そこで最大値で締めてみることにした。

 驚いたことに、適正値よりも若干低いトルク(ドライバーでは最大値)に設定して締めても、今まで普通のドライバーで締めていた力より強い力が必要で、今までが緩すぎたことが判明した。さらに、手持ちのThinkPadはHDDの増設のためのネジが別にあるのだが、こちらはもっと強いトルクが指定されていた。

 トルクドライバーを使わなければ、緩かったことも気付かず、将来的にはグラついて故障や動作不良の原因になりかねなかったかもしれない。実際はそこまでシビアではないにせよ、トルクドライバーを使ってみてノートパソコンの利用に安心感が出たのは間違いない。

 トルクドライバーの使い道はノートパソコンのほかにも、さまざまな電子機器や、メガネなどでも使える。今後、もし分解するときは締め付けトルクの値を調べておいて、なるべく正確なネジ締めをしようと思っている。

ダイヤルを回してトルクの値を設定。設定値以上の力が加わると途中部分が空回りして締め付け過ぎを防止する精密ドライバーのような回転部分があり、ここを手のひらにつけ、親指と人指し指でグリップを回していく
先端は15種類付属している。プラスドライバーのほか、一部の精密機器で使われているヘクスローブ(トルクス)や六角レンチ、マイナスドライバーもあるノートパソコンのメモリー増設などのフタは、強すぎてねじ山を潰したり、弱すぎて緩んで外れてしまわないよう、設計上のトルク値でネジを締めてあげたいものだ
ノートパソコン、ThinkPadの保守マニュアルにはフタの締め付けトルクが明記されている

 

製品名製造元購入価格
精密マイクロ トルクドライバーセットミツトモ製作所3024円

 

(江須田)

2011/9/12 06:00