本日の一品

超薄型クレカサイズでプログラマブルなゲーム機「Arduboy」

本体が白くて特徴のあるキー配列は某社の某ゲーム機を彷彿とさせるが、はるかに小さなArduboy。きわめて可愛い存在だ

 筆者は子供の頃から小さくて精密なモノが大好きだ。これはおそらく、日本人に限らず世界中の一定数の人に共通の要素だろう。ただ、総人口に対する比率は一定比だと考えているので、きっと日本より米国の方がその手のガジェット好きはより多く、その層も筆者のようなnovice(ノービス:初心者)から達人(熟練者)までの振れ幅も広いのだと思う。

 筆者は今から20年以上昔、1995年頃に「ChipCard」というPCカード型(名刺サイズ)のPDAの商品企画に少しだけ関わったことがあった。こゲーム機を遊ぶために使ったり、達人にとっては自作のゲームを動かすプラットフォームにもなるという、幅広いユーザー層を狙った製品だった。

ゲーム専用機ではないが多くのフリーゲームも登場した22年前の「ChipCard」(下)。「Arduboy」(左)も「Tetris MicroCard」もほぼ同じサイズだ。人類誕生から手のサイズが変わっていないのだから当然だ

 今回紹介するカード型のガジェット「Arduboy」(アルデュボーイ)も同じコンセプトの製品だ。Arduboyは、組み込み型マイコンの「Arduino」を搭載したガジェットだ。Arduboyをベースにテトリスゲーム専用機に仕立てた「Tetris MicroCard」も存在する。

 Arduboyと Tetris MicroCardは、同じプラットフォームの製品だが、前者はポートレイト(縦型)でユーザーによるプログラミングができることが最大の特徴。後者は、専用ゲームの操作性を優先したランドスケープ(横型)でノンプログラミング環境が特徴だ。

「Arduboy」(左)と「Tetris MicroCard」。Arduboyはユーザー有志が制作したゲームアプリを遊んだり、C++プログラミングでゲームを作ったりできる
「Tetris MicroCard」(右)はテトリスに特化したゲーム機であるので、使うときはランドスケープ(横型)だ

 筆者が最初に購入したのは、Tetris MicroCardだった。そのコンパクトさゆえ、ポケットに入れて毎日のように遊んでいたが、そのうちテトリスにも飽きて、他のゲームもやってみたくなった。Arduboyであれば、ユーザーが配布するゲームソフトを導入して遊ぶことができる。

 プログラミングできるハードウェアと開発環境があれば、ユーザーが作ったフリーウェアが登場してくることは何十年も昔のポケコンやマイコン時代からの長い歴史が証明している。ネットを1分ほどクローリングしてみたら、Arduboy用のフリーゲームソフトの紹介や、パソコンからのUSBケーブル経由の転送のしかたなどが、先人の手により事細かに解説されていた。

有志作成のArduboy対応ゲームアプリは、ケーブル接続したパソコンから転送する

 今や小学生もプログラミングが当たり前の時代だが、筆者は昔の8/16ビットマイコン時代に趣味でFM-7やPC98でBASICやマシン語に少し触れた程度。理解できるかどうか心配だったが、やってみるとアプリの転送くらいなら意外と簡単だった。ArduboyをmicroUSBケーブルでパソコンと接続し、専用ソフトウェア「Arduino IDE(Integrated Development Environment:統合開発環境)」を使ってプレイしたいゲームアプリを転送する。たったそれだけだ。

統合開発環境の「Arduino IDE」。お馴染みの”Hello World!"も用意されている

 Arduboyを秋葉原で買ってきたその日のうちに、アプリのアップロード転送環境を導入し、約10個ほどの無料のゲームアプリを入れ替わり立ち代わりアップロードして遊んでみた。しかし結局、購入した時に最初からArduboyにプリロードされていた「MYSTIC BALOON」に戻ってしまった。よくあることだ。

 残念ながら、筆者には、自分でゲームのアイデアを考え、C++でプログラミングすることは、能力や適性の問題で、未来永劫、確実に無理そうだ。多少もったいないが、今後も評判のゲームがネット上に登場してくるのを気長に待つ他力創発の世界にたたずんでいようと思っている。

数多くのゲームアプリのダウンロード、解凍、転送を繰り返して遊んでみた
筆者の場合、最初にArduboyにプリセットされていた「MYSTIC BALOON」が一番楽しかったので、再転送してひとまず終えた。
製品名販売元購入価格
ArduboyArduboy6000円