本日の一品
スマホ時代になぜか続々と登場する乾電池式のモバイルバッテリー
2017年8月7日 06:00
スマートフォンが主流になった現在、オン・ザ・ウェイでバッテリーショートを起こしたときの対応策の一番手はモバイルバッテリーだ。それゆえ、当初は単なるマニアのガジェットだったモバイルバッテリーは、実用度の高い商品になっている。
多くのモバイルショップに行けば、ポケットに入る小さなものから、家族全員のスマホを全部充電してもまだまだ余る大容量の“ディザスター対応モノ”までそのラインナップはきわめて豊富だ。一方、ガラケー(フィーチャーフォン)時代には数多くあったが、スマホ時代になって、その姿をほとんど消したものに、市販のアルカリ乾電池を利用するモバイルバッテリーがあった。理由はいろいろあるのかもしれないが、一番の問題はバッテリー容量の違いではないだろうか。
ガラケーでは、昨今でもバッテリー容量がせいぜい1000mAhがいいところ。一方、スマホはその3倍の3000mAhを超えてもそれほど珍しいことではない。スマホのバッテリー容量の急激な拡大に応じて、予備として持ち歩くモバイルバッテリーの容量も、最低でもスマホを75%以上、できるならスマホを2回は充電できるくらいのパワーが求められ、モバイルバッテリーの容量は数千mAhを超え、容量に応じて体積も重量も増加の一途を辿ったというのがストーリーだろう。
しかし、子供からお年寄りまでスマホのユーザー層が広がると、モバイルバッテリーとは無縁の人も居るだろうし、モバイルバッテリーの容量は「ただ大きければ良いわけではない」と考える人も増加してくるだろう。海外では以前から乾電池を使うユニークなモバイルバッテリーが多く存在している。筆者はモバイルバッテリー市場の多様化の中で、今また超小型超軽量のモバイルバッテリーや、乾電池式のモバイルバッテリーにフォーカスが当たり、新しいマーケットが育てば楽しいと思っている。
今回、ご紹介するアルカリ乾電池を2本使用するモバイルバッテリーは「ニッパー」という商品名で販売しているお店が多い。オリジナル商品かコピー商品なのか定かではないが、それ以外の名前でも同様の製品が売られているケースもある。筆者は2カ所ほどで購入してみたが、外観的には区別がつかなかった。構造はきわめてシンプルだ。ラバーベルトの両端に各々プラスティック製のキューブ型のブロックが付いていて、普段はマグネットの力で両者がくっつき、一辺17mmくらいの立方体になっている。
両方のブロックを2つに引き離すと、外側にはアルカリ乾電池のプラス極、マイナス極をくっつける大小2個の半円形の金属マグネットが付けられているのが見える。引き離した内面側は、一方にはmicroUSBプラグ、もう一方にはそのプラグを収納する凹みが用意されている。外側にある大きな半円形に1本目の乾電池のマイナス側をくっつけ、もう一方の小さな半円形のマグネットに2つ目のアルカリ乾電池のプラス側をくっつけ、2つのブロックで2本の乾電池を挟む形になれば、設定は終了だ。
あとは充電したいスマホのmicroUSBポートに「ニッパー」のプラグを挿入するだけだ。アルカリ乾電池は何処でも買えるのが最大の利点なので、事前に自宅や職場で充電作業を終えたリチウムイオン電池のモバイルバッテリーを忘れず持ち歩くより手間いらずだ。普段は10gほどのニッパー本体だけを持ち歩き、アルカリ乾電池は充電が必要になった時に近くのコンビニで購入すればよい。
ところで、アルカリ乾電池2個でスマートフォンを充電した場合の充電効率はどんなものだろう。筆者の所有しているスマホでは唯一「Blackberry Priv」だけがmicroUSBポートを備えていたので、Blackberry Privでニッパーによる実際の充電を検証してみた。
2本のアルカリ乾電池は、充電開始からほぼ40分くらいで残量がなくなった。バッテリー残量70%で充電を開始し、約36分後には93%まで充電された。この時点の充電パワーだとあと4分で満充電になるはずだったが、アルカリ乾電池の急激な減衰で、2分後には、充電量が92%と1%減り、満充電までの必要時間も35分と増えてしまった。その時点でニッパーを取り外し、充電作業を休止した。
今回のケースだけを見れば、3410mAhのバッテリー容量を持つBlackberry Privに対するアルカリ乾電池2本による充電は今回の22~23%辺りが限界だろう。ニッパーは、アルカリ乾電池2本の直列3.0Vを昇圧回路で5.0Vにアップして行っているものと思われる。充電終了直後のアルカリ乾電池に触れてみたが、高温になっていて驚いた。
また実際に満充電までは至っていないが、microUSBプラグからLightningプラグへの変換プラグを取り付けることで、筆者のiPhone 7 Plusにも充電できそうであった。使うか使わないか分からないモバイルバッテリーを常時持ち歩くより、超軽いニッパーだけを持って、もしもの場合にどこでも入手可能な単3乾電池でスマホに充電できるのは素晴らしい。
製品名 | 購入先 | 購入価格 |
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超小型モバイルバッテリー「ニッパー」 | 秋葉原 | 500円 |