本日の一品

充電不要で効果抜群、iPhone専用ノイズキャンセリングイヤホン「RAYZ」

RAYZ Plus

 オンキヨー&パイオニアイノベーションズの「RAYZ」は、ノイズキャンセリング機能を搭載するLightning接続のインイヤー型ヘッドホンだ。見た目は普通のリモコンマイク付きイヤホンそのものだが、iOS機器に挿すだけで、ノイズキャンセリングイヤホンとして動作してくれる。

 一般的なノイズキャンセリングイヤホンは電池や充電が必要だったりするが、RAYZの電源はLightning端子経由でiOSデバイス側から供給されるので不要だ。

 RAYZには、通常モデルの「RAYZ」(1万2000円)と給電端子付きの「RAYZ Plus」(1万6000円)と2つのラインナップがあり、後者ならばiOSデバイスを充電しながら利用できる。そこそこの価格差はあるが、飛行機の中など長時間の移動で使うならば、RAYZ Plusがオススメだ。

 あまりにコンパクトなのでノイズキャンセリングも簡易的な機能かと思ってしまいそうだが、その性能はちゃんとしている。航空機に登場して試したところ、「ゴー」という航空機特有の騒音は、「サー」とちょっと耳に付く空調音程度にまで低減されたのだ。音楽を聴くのなら、そこまで音量を上げずとも、機内であることを忘れて楽しめる。

 普段乗る鉄道やバスでもノイズキャンセリングの恩恵を受けられる。騒音が減って、より小さな音量で楽しめる。自宅やオフィスでも、空調や付近の工事などの騒音が低減されるので、集中したいときなどに便利だ。これらは他のノイズキャンセリングイヤホンと同じメリットかもしれないが、Lightning直結のRAYZでは、iPhoneに繋げておけば電話やメッセージ通知を聞き逃すこともない。

イヤホン部

 RAYZは9.2ミリのダイナミックドライバ搭載で、低音まで分厚い、ダイナミックドライバーらしい性格を持っている。音楽にも向いているが、映画やゲームの効果音にも大迫力で鳴ってくれるので、映画やゲームも楽しむことがあるiPhoneやiPad、iPod touchのイヤホンとしては最適だ。

 またRAYZは48kHz/24bitのハイレゾ対応のDACを搭載している。残念ながら筆者はハイレゾ音源を聞き分けられるほどの耳は持ち合わせていないので、その威力を表現しづらいが、少なくとも音の解像感に物足りなさを感じることはない。

各種設定は専用アプリから。この専用アプリが入ってないiOS機器でも、挿すだけで使える

 ノイズキャンセルとは逆に、周囲の音を聴かせる「HearThur」という機能や、イコライザー機能、耳穴内の反響音を使ったキャリブレーション機能などもある。これらの機能は専用アプリで設定し、その設定内容はRAYZ内に保存され、アプリがなくても機能する。

 専用アプリにはRAYZのファームウェアアップデート機能もある。発売前のサンプル段階で数回のファームウェアアップデートが配信されており、今後の新機能追加もアナウンスされていたりする。ちょっとしたIoT製品のような感じだ。

4つ並んでいるリモコンのボタンは触ればわかる形状で、慣れれば手探りで操作できるようになる

 リモコンには再生ボタン、音量ボタンに加え、独自のスマートボタンがある。スマートボタンには単押し、長押し、2回押しのそれぞれに機能をカスタマイズ可能だ。ノイズキャンセリングとHearThurのオン/オフは頻繁に切り替えるので、単押しや2回押しに割り当てると便利だ。マイクも内蔵しているので、通話にも利用できる。

通常はこのように、コードを下に垂らす

 利用する際、もしコードを耳たぶの上から後ろに回すと、リモコンから左右に分かれるケーブルが短くて使いづらい。またリモコン部を後ろに回すと後頭部中央に位置してしまい、使いづらくなるし通話にも役立たないだろう。

 ちなみにややマニアックだが、イヤーチップを他社(コンプライ)のものに交換したところ、これもなかなか良いと感じた。筆者の耳穴はやや大きく、RAYZ付属の最大サイズのイヤーチップよりコンプライの方が装着感が良いのだ。しっかり耳穴に固定されるので遮音性だけでなく音質も向上したと感じた。ちなみにRAYZは、コンプライだと400番のサイズがフィットするようだ。パイオニアが正式サポートしている使い方ではないが、こだわる人は試す価値のある組み合わせである。RAYZはキャリブレーション機能があるので、イヤーチップを交換しても最適化してくれるというのも頼もしい。

コンプライのTs-400を装着した状態

 1万円台のイヤホンというと、あまりこだわりがない人にはやや高く感じられるかもしれない。しかしLightning接続でハイレゾ対応のノイズキャンセリングイヤホンと考えると、RAYZはコストパフォーマンスに優れた製品だ。単体のハイレゾDAC製品や単体のノイズキャンセリングヘッドホン製品と比べても、コントロールボックス(リモコン部)は圧倒的に小さく、充電も不要で、普通のイヤホンのように使えるという大きなアドバンテージがある。

Lightning接続なのでiPhone 7でも使えるが、iOSデバイス以外で使えない

 一方でLightning接続ならではの欠点もある。RAYZ Plusならば同時にiPhoneの充電ができるが、ほかのLightningデバイスを併用できない。たとえばピクセラ製のLightning接続TVチューナー「PIX-DT360N」は、RAYZ Plusの充電用Lightning端子に挿しても動かなかった。ほかにもHDMI出力アダプターなどは併用できないようだ。

 当たり前だが、iOS機器以外に使えないのもRAYZの弱点と言えば弱点である。パソコンや機内エンタメ、ゲーム機など流用できないので、筆者は海外出張では別のノイズキャンセリングイヤホンも持ち運んだ。ノイズキャンセリングイヤホンの1本くらい、それほど大きな荷物にはならないが、それでも無駄を感じるところではある。

 総じて「RAYZ」はiPhoneユーザーにとって、かなり「買い」なデバイスだと思う。とくに飛行機などでの長距離移動が多い人や騒音に煩わされずに仕事や勉強をしたい人には強くオススメしたい。

製品名提供元価格
RAYZオンキヨー&パイオニアイノベーションズ1万2000円
RAYZ Plusオンキヨー&パイオニアイノベーションズ1万6000円