本日の一品

AirPodsの使い勝手を加速する一品!?

AirPodsケースは、アップル社の基本デザインポリシーには反しそうだが、落下時の衝撃防止に欲しい一般的なユーザーは多いかもしれない

 メーカーサイドで商品企画をやっている人間で、自社の商品を企画開発する時に、その商品がそのままの形でユーザーの下で使われることを想定する人と、何らかの変更が加えられてより便利に使われることもあるだろう、と考える人の比率はどんなものだろうか。

 過去、某メーカーで商品企画や戦略を長くやっていた筆者は明確に後者に属する人種だ。商品企画をやっている人とプロダクトデザインをやっている人はその考え方も多少違うかもしれない。

 昔、乾電池で動作する「ThinkPad 220」というモバイルPCの商品企画をやっていた時には、ユーザーに最初からケースに入れて使ってもらいたいと考え、本体にケースを取り付けるためのフックなどをエンジニアに仕込んでもらった。そのうち、フックを上手く活用するケースも作ってしまおう……ということになって、ついに専用の“海苔巻きケース”と呼ばれる大きなお世話ケースまで作ってしまった。こういう“軽いノリ”が本当の商品企画なのかどうか、今でも判断は難しい。

 常にそういう観点から見ると、極めて面白いのがアップル社の製品だ。筆者は1980年代からのアップルユーザーではあるが、アップル社は大昔から”素のまま”が最高に美しいというコンセプトを目指して商品を企画するある種のナルシシズム的プロダクトだ。そこがまたディープなファンが多く、一方反発するユーザーの多い理由だろう。

筆者が当初から愛用しているApple Pencil用の回転落下防止とキャップ紛失防止のシリコンラバー製の周辺アクセサリー(Apple Pencilより左)

 筆者は、現在、iPad Pro(12.9インチ)とApple Pencil、iPhone 7 PlusとAirPodsを愛用している。アップル教の人の所有するApple Pencilは重心の偏心構造設計が功を奏してテーブルの端っこで制動が効いて停止するのかもしれないが、筆者は信心不足で二度も落下させてしまった。それゆえ、コロコロ転がって、いつテーブルから落ちるか不安の塊だったApple Pencilには、早くから回転防止とコネクターカバーにもなる不細工なシリコンラバー製のパーツを併用しているが、テーブルから高価なApple Pencilが落下して破損するよりマシだと思っている。しかし、シリコンラバーというモノはボールペンのホールド部分に取り付けてあるものから、スマホのカバーに至るまで、家庭に存在する殆ど全ての塵や埃を吸い寄せてしまうという悪印象が強い。

塵や埃を寄せ付けない新しい表面処理のシリコンラバー製AirPodsケース

 そんな経験から、AirPods用のシリコンケースが発売になったということを聞いてもそれほど感動も興味も無かった。しかし、知人から今回のシリコンケースは殆ど埃が付着しない……と聞いて早速注文してみた。何色かあるうち、筆者の購入したモノは黒のシリコンラバーケースだ。一般的に、黒系の色は、シリコンラバーに塵や埃が付着すると、もっとも目立つ為に、誰もが最も嫌う色だ。今回は敢えてその色を選んでみた。

 開封して最初に感じることは、今まで知ってるシリコンラバーとはかなり違う手触りだということ。意外とサラサラなのだ。早速、正反対のピカピカツルツルのAirPodsケースの外側をカバーするように装着してみた。

 ご存知のようにAirPodsは、何もかもがツルツルで、ケースの蓋を開けてデスク上においても普通は勝手に閉じてしまう。今回、シリコンラバーのケースを付けることによって、背面のヒンジ部分の膨らみで、蓋は開いたまま止まってくれる。普通の人には何のメリットも無いが、蓋が開いたまま写真撮影できることは多少メリットのある人もいそうだ。

外側も中側も何もかもが白くてツルツルの特徴あるアップルデザインのAirPods
シリコンラバーケースに入れてみると、やはり安心感はある

 塵や埃の付着率は従来のシリコンラバーより遥かに改善されているが、意外とツルツルのAirPodsケース表面にはタイトに張り付くため、蓋を開ける時にキャップ側のシリコンラバーだけがめくれ上がったりする不都合も皆無だ。ケース下部にあるライトニングの充電ポートも開放されているのでシリコンケースを装着したまま充電も出来る。

 さて今回のAirPodsケースには、別途、AirPodsイヤフォンの単体脱落・紛失防止の為の長さ50cmほどのシリコン紐がオマケに付属する。愛溢れるアップル教ユーザーは、AirPodsを”耳からうどん”と言われる極めて的を得た表現にかなりの抵抗があるようだが、このオマケのシリコン紐はその嫌なイメージも払拭してくれそうだ。

 完全に左右に分離したAirPodsも、Apple Pencil同様、アップル教のユーザーは絶対に落ちないと確信しているようだ。しかし、筆者も筆者の友人のうちの何人かも「落ちそうで怖い」という印象や、実際に落下させたという苦い体験をしている。

確かにそのままにしておきたいビューティフルな思い切ったデザインだが、貧乏庶民的には、見栄を張って落として傷を付けたくはない気持ちもある
見栄えのビューティフルさは大きく減退し、落としても大丈夫的な安心感は少し加速する

 一般的なプロダクトデザインの原点から見れば、“ユーザーに不安を与える”のはある面、デザインの至らないところだと言えるが、そこも完璧に許されてしまうのがアップルデザインの凄くて素晴らしいところなのかもしれない。

 AirPodsのように、本来、技術的に“トゥルーワイアレス”(完全ワイヤレス)環境を実現している左右のイヤフォンを再び紐で繋いでしまうのは、筆者も含め、もったいなくて、強い抵抗感のあるユーザーも多いだろう。しかし高価なAirPodsを落として紛失してしまうよりはマシかもしれない。ここも意見の別れるところだろう。

 このシリコン紐も、AirPodsケースと同様、塵も埃も多くを寄せ付けない同じ素材を使って作られている。塵や埃を吸いにくいAirPodsケースとイヤフォン紐、何れも落下時の保護や紛失を回避するには極めて有効なアイテムかも知れないが、絶対落ちない落とさないと確信している方々にはもちろん無用の長物だと思われる。

充電のための底面にあるライトニングポート部分はシリコンラバーが丸くえぐられているので充電に不便はない……デザイン的には明らかにマイナスだ
オマケのお陰で”耳からうどん”には見えないが、さて、本当にこれで良かったのかは意見が別れるだろう
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AirPodsケースAmazon.co.jp1500円