本日の一品

安価なペンをゴージャスに変身させる「ペンジャケット」

「ITOYA110 ペンジャケット」(最上段)は、太さも長さも微妙に異なる「プラマン」「ボールぺんてる」、「ぺんてるサインペン」の3種類のいずれかをスタイリッシュにしてくれる

 2016年秋、ぺんてる社のロングセラー筆記具3種類を、ゴージャスに着せ替えできる「ITOYA110 ペンジャケット」が伊東屋から発売された。

 対象となる筆記具は、1963年発売で、NASAにも採用された「ぺんてるサインペン」、グリーンのボディにインク色のクリップでおなじみの1972年発売「ボールぺんてる」。そして、独特の筆記感覚が病みつきになるプラスティック万年筆の「プラマン」だ。

 筆記感覚が秀逸で安価なペンを「ジャケット交換」でゴージャスに変身させる戦略は、伊東屋とぺんてる社が初めてではない。筆者は10年近く昔から、米Sharpie FINE POINT社の「シェルパ」という“着せ替え外装ケース”を長らく愛用している(※関連記事)。

シャルパは廉価な筆記具を着せ替えで豪華にトランスフォームさせるパイオニアだ

 シャルパは、SharpieのFINE POINT(油性マジック)以外に、セーラー万年筆社の万年筆型水性ペン「ink-Bar」や、独スタビロ社のライン・マーカー「ナビゲーター」などグローバルに幅広く対応する着せ替えジャケットの先人だ。

 一方、ぺんてる社と伊東屋のコラボジャケットである「ペンジャケット」は、国内企業同士の限定されたコラボではあるが、シェルパより豪華で、緻密にデザインされた外装と真鍮素材が特徴だ。

 外装の形状は一種類。カラーはブラック、ネイビー、ホワイト、レッドの4色を用意する。太さや長さが微妙に異なる「ぺんてるサインペン」「ボールぺんてる」「プラマン」の3本を同じジャケットで羽織るため、専用のサイズ調整リングを利用する。

筆者の購入したITOYA110 ペンジャケット+プラマン+サイズ調整リング(上)とぺんてるサインペン、ボールぺんてる用に使うサイズ調整リング

 購入時に3種類から使いたいペンを1つ選んで、専用サイズ調整リングとセットで購入することとなる。いずれのペンを選択しても、あわせて5000円(税抜、以下同)だ。サイズ調整リングは300円で別売されているので、別の種類のペンでも使いたいという人も安心だ。

 筆者は愛用の「プラマン」のために一番長いプラマン専用の調整リング付きで購入した。しかし、自宅には「ぺんてるサインペン」も「ボールぺんてる」も数多く持っているので、それぞれをジャケットに収納する時のために、別売の調整リングを1個ずつ購入した。

プラマンは一番長いサイズ調整リングを使用してジャケットに収納する

 取り付け交換作業はきわめて簡単だ。3種類とも、キャップを取り外した本体部分だけをリフィルとして使用する。専用のサイズ調整リングと元の口金を繋ぎ、リフィルを本体に固定するだけだ。ジャケット本体は真鍮材を使用し、高い精度で製造されている。3種類のペンを入れ替えながら使ってみても、その安定感にバラつきは無く、信頼感のある商品に仕上げられている。

 「プラマン」だけを着せ替えジャケットで使っていると、「ぺんてるサインペン」や「ボールぺんてる」にもジャケットを誂えたくなってくる。もちろんそれを見越して、ジャケット外装カラーはきちんと4色用意されている。しかし、3本にすべてにジャケットを装着すると、今度は総重量が気にかかる。

 プラマン単体なら一本の実測重量はたったの12gと軽い。しかしジャケットに入れた豪華なプラマンは実測で47gとなる。なんとジャケットに収納してしまうと、素のままのプラマンを黒・青・赤の3色揃えて持つより重くなってしまうのだ。ここで、3種類のペン全てを豪華ジャケットに入れるのには迷いが出てしまった。

プラマン単体はたったの12g(最上段)ジャケットを着たプラマンは47gとなる(2段目)

 筆記感覚については、ジャケットに収納したプラマンと素のままのプラマンでは違うというのは理解できるが、どちらが自分に最適なのかの答えはまだ出ていない。

 そして、本体カラーはバリエーションある4色の発色が素晴らしいが、口金部分のカラーは黒だけだ。本体カラーと黒の口金のコンビネーションは全くデザイン的に問題ないが、ボールぺんてるをジャケットに収納した場合は、トレードマークのグリーン軸の一部が露出してかなり違和感のあるカラーコンビネーションになってしまう。

赤いジャケット+黒い口金にプラマンのシャープな軸はよく似合う
黒い口金にグリーンのボールぺんてるは違和感がある
これは偶然、赤のジャケット+赤のサインペンなので、収まりが良かった

 「ITOYA110 ペンジャケット」は、伝統と実績があり、適価で普段使いの素晴らしい筆記具を、より上質なボディに収めることを目指した面白いプロジェクトだ。全体を見渡せば、筆記具のキャリアアップシステムを実現した画期的なプロダクトと言えるが、ボールぺんてるのように上手く噛み合わない「ナンチャッテ高級筆記具」になってしまう危険性もありそうだ……さて、読者の皆さまはどうお考えだろうか。

ところどころカラーコンビネーションで疑問もあるが、相対的にはよくできたシステムだ
製品名販売元購入価格
ITOYA110 ペンジャケット伊東屋5000円(税抜)