本日の一品

スマホ&モバイルバッテリーホルダー「自転車でGO!」をバイクナビ用にカスタムしてみた

 自転車やバイクに乗っていて、ナビを使いたくなるシーンは多い。以前、J-Forceからリリースされた低価格なバイクヘルメット用インカムを紹介したが、今回はスマートフォンホルダーをどうしようかという話題だ。その名も「自転車でGO!」。某アプリにあやかっただろうことは容易に想像が付くこの製品は、iPhone 7s Plusにも対応する大きさ、防滴・防塵対応、そしてモバイルバッテリーを搭載できるところが特徴だ。

実売価格は3,000円前後。自転車が主眼だが、ハンドル固定なのでバイクでも問題なし

 「自転車でGO!」は某アプリゲームを自転車やバイクとともに楽しもう、というコンセプトだ。さすがに一時期のブームは過ぎたものの、なんだかんだで筆者もまだ楽しんでいる。ただし、自転車もバイクも、運転中にスマートフォンを操作することは違法なので要注意だ。その上で、画面の確認と、輸送中にバッテリーを充電してしまおうというのが本製品の機能だ。

 製品パッケージの中には、スマートフォンホルダー本体と、ハンドルに装着するためのクランプ式のベースが入っている。本体とベースとは4つのツメで、スライドロックする。この4つのツメの固定プレートは、独ヘルベルト・リヒターのリヒター・アダプター・システム「HR-1642」互換となっている。

本体のほか同梱品はベースのみ。ベースの固定部は水平方向の回転に対応している
本体とベースの固定部分は4つのツメを用いる

 ファスナー式の本体を開くと、なかには3枚のスポンジが入っている。薄いもの2枚が調節用で、厚みのあるものはそれぞれiPhone 7 Plus/6s Plus/6 Plus用、iPhone 7/6s/6用、iPhone SE/5s/5用にカットされており、これを手持ちのiPhoneに合わせて組み合わせる。その下にはモバイルバッテリーを収納するためのメッシュの袋が縫い付けてある。

本体内部に3枚のスポンジスペーサーが収納されている
スポンジは、厚みのあるものが1枚、薄いものが2枚
厚みのあるほうのスポンジはカット済みで、各iPhoneに合わせて着脱できる
iPhone 5sを装着するとこのような形に。iPhone 7 Plusまで対応する製品なのでかなり大きい
薄いほうのスポンジで厚みを調節すれば、本体の中でグラつくこともない
底の部分のメッシュの袋にモバイルバッテリーを収納する。スポンジはモバイルバッテリーに合わせて枚数を換え、厚みを調節するためだ

 窓の部分は透明のフィルムが用いられている。なお、筆者の手持ちiPhoneでは故障中のため試せないが、iPhoneのTouchID、3D Touch機能が反応しないという報告も見られる。もっとも、バイクに乗る際はグローブを装着することになるため、そもそもあまり影響はないかもしれない。

 ファスナーは、止水仕様となっている。ただし、防水ではなく防滴レベルなので大雨の日の使用は避けたい。小雨の日や、あるいは途中で雨が降ってきた際、バッグにしまうまでの時間稼ぎに活用できる。

ファスナーは止水仕様だが、あくまで防滴レベル。写真からも分かるように、完全密閉できるわけではないので、大雨の日の使用は避けたい

このあたり防水性について少し説明しておこう。バイクや自転車用のスマートフォンホルダーには、大きく分けて三つのタイプがある。裸のスマートフォンをツメやフックで固定するオープン型、本製品のようなソフトバッグ型、そして樹脂や金属製外装のハード型だ。

 オープン型は当然だがスマートフォン自身の防水性に依存するか、一部シリコンカバーを組み合わせる製品もあるがこれも簡易防水止まりだ。ソフトバッグ型はせいぜい防滴まで、本格的な防水性能を備えたものはまれだ。また、収納時にスマートフォンの側面ボタンを押せない点がウィークポイントである。ハード型は比較的高い防水性を備えるものが揃っているが、多くが対応するスマートフォンが限られる専用設計で、素材や製造の手間の分高価である。こうした三者三様の特徴がある。

スマートフォンホルダーの収納方法によるメリット・デメリット
タイプ着脱しやすさ固定の確実性防水・防塵など操作のしやすさ
オープン型××
ソフトバッグ型防滴程度
ハード型×防水もあり○(専用設計の場合)

スポンジのスペーサーを自作すればさまざまな機種に対応可能

 ここからは、本来の使い方から少し脱線した話をしよう。自転車でGO!はバッグ型の本体形状であるため、スペーサーとなるスポンジ部分を自作し、カットすれば、収納可能なサイズの範囲でさまざまなスマートフォンに対応できる。何もiPhone専用というわけではない。

 また、手持ちのスマートフォンで一番大きい、Xperia Z Ultra(6.4型ディスプレイ)を合わせてみたところ、スペーサーなしでピッタリ入るサイズだった。ファブレットを使用しているけれどよいホルダーがない、といった方はチャレンジしてみよう。

Xperia Z Ultraを合わせたところスペーサーなしでちょうどピッタリ
Xperia Z Ultraを収納し、Googleマップを表示したところ。ちょっとキツいが、薄型の専用充電アダプターやL字形のmicroUSBアダプターを用いて充電しながらの使用できた

 では実際にバイクに搭載してみよう。バイクの場合は自転車と違い、スイッチ類やETCなどの装備によって意外とアクセサリを装着できるスペースは意外と少ない。そのような場合にはブレースバーやアクセサリバーで22.2mm径なり25.4mm径なりのパイプを増設しよう。

 自転車でGO!のベースはクランプ式を採用している。その点、やや幅広なスペースを要するが、装着の手順はカンタンだ。まずベースのネジをあらかじめ緩めておき、次にハンドルパイプにクランプをはめる。その後はネジを締めていくのだが、締め上げはレバーで行なうため、ネジ側は最後まで締めた状態から1、2回転ほど戻しておくとよい。最後にレバーを倒せば完了だ。

クランプ式でネジとレバーの2段階で締め上げる。装着後はレバーだけで微調整できる設計だ

 ベースを装着したら次は本体側を組み合わせる。ベース側にある四つのツメと、本体裏側の四つの穴の位置を合わせて挿し込んだら、スライドさせていけば、最後にカチッと感触がしたところで固定される。なお、本体裏の固定具の横に小さなDカンが付いているので、ここにヒモやチェーンを通し、ハンドルに引っかけておけばより安心だ。中途半端な固定では、道路の凹凸を超えるショックで脱落してしまうので、ここは慎重に行なってほしい。

ベース部分を自分仕様にカスタムできる

 装着後の微妙な位置調整は、レバーを緩める(必要に応じてネジも緩める)ことで垂直方向の調節が可能だ。加えてベースの首の部分は水平回転するので、こちらでも調節できる。ただし、実際に装着してみると周囲のものに干渉することもある。ちょうど筆者がそうした状態だったので、ここではその回避策を紹介しよう。

 筆者のバイクは、ハンドルバーの幅が短めなので、元からアクセサリーを装着するスペースが少ない。その上でアンテナ一体型ETCと別のスマートフォンホルダー、さらに電飾用のスイッチを搭載しているため、ブレースバーを増設して対応している。このような状況の場合、装着が難しいだけでなく、新たに機器を追加する際に干渉が生じやすい。

 まずはブレースバーに装着してみたが、サイズが大きいためETCのアンテナ部分を覆い隠してしまった。続いてハンドルの左側、クラッチホルダーのミラーの部分にアクセサリバーを増設し装着してみたが、今度は左集合スイッチを覆い隠してしまった。安全を犠牲にしてまでムリに装着することはキケンだ。しかし購入した以上、諦めきれないだろう。そうした方は次の方法を試していただきたい。

自転車でGO!本体はかなり大きいため、ブレースバーに装着した場合はETCアンテナを、アクセサリバーに装着した場合は集合スイッチを覆ってしまった

 周辺の機器と干渉してしまった以上、移設を検討しなければならない。コストメリットは相殺されてしまうが、より便利にすることは可能だ。「自転車でGO!」の本体とベースの固定部分は前述のとおりHR-1642互換である。そしてHR-1642に対応するカスタムパーツは国内でも入手できる。ここに目を付けた。

 筆者が導入したのはキジマの「ZZZ-0236 ヘルベルト・リヒター(HR1642)4ピンベース」だ。これはベースプレート。四隅にネジ穴があり、ここにRAMマウントの「RAM-B-347U 2x1.7ベース AMPSホールパターン」を組み合わせた。これでRAMマウントの1インチボールへと変換でき、この部分の先、アームやハンドルなどへの固定用ベースには、入手が容易で製品も豊富なRAMマウント規格のものを組み合わせることが可能になる。

左が「ヘルベルト・リヒター(HR1642)4ピンベース」、右が「RAM-B-347U 2x1.7ベース」。この組み合わせでRAMマウントのシンボルである1インチボールに変換できる
RAMマウント対応のアームとクランプ式のベースを組み合わせるとこのような形に。二つの自由関節によって位置調節の自由度が格段に向上する
とりあえず手前に持ってくることでETCアンテナとの干渉を回避した。実際にこの状態で高速道路を使ってみたが、ETCは問題なく動作した

 今回、1インチボールの先は無難にクランプ式のRAMマウントベースを利用した。しかしRAMマウント規格の製品は多数市販されており、製品の中にはハンドルバーに限定されない固定を可能とするものがある。たとえばマスターシリンダーの上やクラッチホルダーの固定ネジ部分など。さらにはM8やM6規格のネジ穴があればそこに1インチボールを増設できるものなどが販売されている。

 こうなるとタンクやミラー用のネジ穴、アッパーカウルのちょっとしたネジ穴にも装着できるようになる。各所にベースを装着しておけば、用途に応じてポジションを変更することも可能だ。これなら、自転車でGO!のように大型のホルダーもなんら問題なく装着できるようになる。

降り始めの数分なら持つが、ザーッときたらすぐ対処をしよう

 最後に防滴性能を確認してみた。とはいえ、非防水のスマートフォンをいきなり実戦投入するのはリスクが高い。そこでスマートフォン(今回はXperia Z Ultra)に合わせたダミーを作成して試してみた。

ダンボール紙と、水に濡れると色が変わる習字練習用紙でダミーを作成した

 テストの前に、いくつか注意点を挙げておこう。まずはチャックの位置。先にも指摘したが、合わせ口は完全に閉まるわけではないので、下を向けたほうがよい。次に、スペーサーの厚み。止水ファスナーは上下のフィルムで合わせ口をカバーする程度なので、中身がパンパンの状態では隙間が空く。スペーサーの厚みはパンパンにならない程度がよい。

 実際のテスト結果を紹介しよう。本製品は防滴ということもあり、まずは小雨を想定して、スプレーから水を吹きかけてみた。こちらは、全面に水がかからない程度までであれば浸水はなかった。ただし、表面に水滴がたまってしまうと、止水ファスナーのわずかな隙間から浸水が始まる。

スプレーを用いた小雨を想定したテスト
この程度であれば浸水はほとんど確認されなかった

 続いて、洗面所のシャワー水栓を試してみた。水圧がかなり高いので、本降りに相当するだろう。こちらは、何度試しても浸水した。やはり本製品は触れ込みどおり防滴止まりと考えておこう。

シャワー水栓を用いた本降りを想定したテスト
止水ファスナーの合わせ目などから浸水した

 なお、実際に自然界で利用する場合、水圧のほかに風圧でも浸水が助長されることが想定される。一方、「自転車でGO!」本来のサポート機器であるiPhoneなどであれば、スペーサーが多少食い止めてくれることも考えられる。

 いずれにせよ過信は禁物だ。雨が降ってきた時点で停車し、ほかの防水バッグへとスマートフォンを移すのが安心だ。降り始めて数分であれば、濡れから守ってくれる。そもそもの製品の用途どおりであれば大丈夫と言えるだろう。

汎用性の高さは◎、防滴性は過信せず使うのがベター

 このような具合で、「自転車でGO!」の防滴機能が有効なのは、雨天時の使用については降り始めや小雨程度までだ。本降りになったらほかの防水バッグに移して対応しよう。

 モバイルバッテリーを搭載できる点は便利だ。自転車であれば、負担が増えるダイナモを積まずに済み、バイクでもめんどうなチャージャー増設をせずにすむ。目的地に到着した際、フル充電状態でスマートフォンを使用できるのは快適だ。

 その上で、ファブレットにも対応できるサイズはまず第一の魅力。次に、比較的容易にカスタムできる点も、バイク乗り視点では魅力と言える。

 導入から1カ月が過ぎ、現在も「自転車でGO!」を活用中だ。メインとしてではなくサブ用途だが、自転車でGO!にはXperia Z Ultraを装着し、広域地図やアメッシュ、渋滞情報の表示に役立て、一方でもう1台別のスマートフォンホルダーを用意し、そちらでナビを表示させている。これにより、ツーリング中に周辺のスポットを探したり、降雨状況の確認をしたり、あるいは渋滞を回避するためのルート探したりといったことが可能になり、ツーリングがより快適になった。

 特にバイクツーリングでは、目的地への到着を優先してしまいがちだが、自転車でGO!導入後は、途中のスポットに立ち寄ることが多くなった。このような具合で、使い方によってはより充実したツーリングを楽しむことができるアイテムに化けるので、ご興味を持った方はぜひ試してみてほしい。

製品名販売元購入価格
自転車でGO!J-Force(フォースメディア)3151円