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さらに高速化したモバイルルーター「MR05LN」はネトゲでもそこそこ使える

 NECプラットフォームズのモバイルWi-Fiルーター「MR05LN」は、3つの周波数帯を束ねるキャリアアグリゲーション(CA)に対応し、NTTドコモのネットワークでは下り最大337.5Mbpsの通信が可能となっている。

MR05LN

 前モデルの「MR04LN」では2波CAの下り最大225Mbpsまでだったので、それに比べるとちょうど1.5倍だ。アプリからの設定やスリープ解除など、スマホとの相性の良さはそのままに、通信速度が大きく向上している。

 これらは規格上の最大速度なので、実際にこの速度が出ることはほぼないが、それでも新しい規格に対応していることに越したことはない。とくにキャリアアグリゲーションは、空いている帯域を活用しやすく、掴める帯域が多いほど、速度低下やパケ詰まりに強い印象だ。

 試しに、スタートしたばかりでバックボーン回線が空いていそうなLINEモバイル(データ専用契約)で通信速度を計測したところ、MR05LNでは下り36Mbps程度、iPhone 6sで27Mbps程度となった。通信速度は時間や場所に左右されるものなので、3波CAの効果とは断定できないが、しかしなかなかの速度が出ている。

MR05LN経由での通信速度(5GHz帯の無線LANを使用)
iPhone 6s(ドコモ網で下り最大262.5Mbps)の通信速度

 MR04LNから買い換える必要があるかというと微妙だが、そのさらに前モデルのMR03LNなど、CA非対応のモバイルWi-Fiルーターを使っていたり、あるいはSIMフリーのルーターを初購入というのであれば、MR05LNを選択肢に入れない手はないだろう。

 AtermのモバイルWi-Fiルーターシリーズは、別売りオプションとして専用クレードルが用意されている。このクレードル、充電だけでなく、有線LAN接続が可能で、自宅などのブロードバンド回線代わりにも利用できる。

4インチスマホくらいのサイズ感で重さは115g
クレードル背面には有線LANポートがある

 もちろん、いくら3波CA対応のLTEとはいえ、光ファイバーの固定ブロードバンド回線には遠く及ばない。通信速度、通信量制限、通信遅延いずれも、固定回線の方が優秀だ。しかし動画視聴などヘビーな使い方をせず、通信量を自分でコントロールできるというのであれば、固定回線代わりにMR05LNと格安SIMを使うのも手だろう。

 個人的にちょっと意外だったが、一部のネットゲームでも、MR05LNと格安SIMのコンビネーションがけっこう使えた。試しにデスクトップパソコンを有線LANでMR05LNに接続し、スクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」にログインしてみたが、そこそこ普通にプレイできてしまった。

 ネットゲームというと、通信速度よりも通信遅延(レイテンシ)が重要だ。10ms前後の固定ブロードバンド回線には遠く及ばないが、LTEも100msは切るので、致命的なほど遅延があるわけではない。FPS/TPSなどドンパチ系のゲームは楽しめないかも知れないが、MMORPGのノーマルなプレイであればナントカなるレベルだ。

 たとえば人数制限解除ソロによる「真イフリート討滅戦」では、9分ほどの戦闘中、「光輝の炎柱」はほぼ避けられたし、「エラプション」の直撃も食らわず、何回かはスタンで止めることもできた。

 いや、ファイナルファンタジーXIVをプレイしていない人にはわからないネタだが、要するにそこそこのリアルタイムアクションが必要なネットゲームでも、そこそこプレイできてしまうということだ。

クレードル給電中は画面が横表示になり、通信量も確認できる

 通信量も意外と少ない。同ゲームで24人参加ダンジョンの「ヴォイドアーク」にトライしたところ、クリアするまでの30分ほどで、MR05LNの通信量表示は16MBほどしか増えなかった。1日に100MBを消費するには、けっこうなプレイ時間が必要そうだ。

 MVNOの多くは、通信速度を200kbps程度に制限してデータ量カウントを止める制限モードを用意している。この制限モードでも、ある程度はプレイできたが、何度かゲームが停止してしまった。強制切断されることもあるので、あまりオススメできないやり方のようだ。

 ネットゲームの通信量は、ゲームによってかなり異なる。ファイナルファンタジーXIVはかなり少ない部類だが、たとえば任天堂の「スプラトゥーン」は動画ストリーミング並に通信量が多いという報告もあるので、LTEでのプレイは避けた方が良いだろう。また、プレイ中の通信量が少なくても、ゲームのアップデートは数百MBに及ぶことも珍しくないので、LTEだと通信制限に引っかかる可能性もある。

nanoSIMカードスロットが2つ。前モデルはmicroSIMカードだったので、スマホと共用しやすくなった

 さすがに日常的に自宅でネットゲームを楽しむというのであれば、固定ブロードバンド回線を引くべきだと思う。ネットゲームでは、「遅延で敵の攻撃は食らうのに自分の攻撃が当たらない」、「通信が不安定で仲間に迷惑をかける」なんていうのはよくある話だ。アクション性のあるネットゲームは、遅延が1msでも小さい方がより楽しめる。

 しかし最近のLTE回線は、簡易的なブロードバンド環境としては十分な性能を持っている。もちろん移動環境においても便利だが、固定ブロードバンド回線の敷設が困難な共有施設、仮宿舎、屋外、車内などでネット環境が必要なとき、MR05LNと格安SIMは、非常に良い選択肢になってくれそうだ。

製品名販売元参考価格
Aterm MR05LNNECプラットフォームズ2万5381円