GALAXY TabでGoogleマップナビを使ってみた
■GALAXY TabでGoogleマップナビを使ってみた
2010年9月にリリースされたAndroid用GPSナビゲーションシステム(アプリ)ことGoogleマップナビ(ベータ版)。Android端末が急激に普及し始めている現在、アチコチから良さげな評判を聞くので拙者も試してみることに。
カーナビとして試そうと考えたのだが、事前に予想される「イマイチさ」がひとつ。ちょいと前にiPhone 4のカーナビアプリを試したが、アプリとしてはナイスであったものの、カーナビとしては画面が小さく見づらかった。恐らくGoogleマップナビも、たとえばGALAXY Sなどのフツー的画面サイズの端末だと見づらいと予想された。そこで、拙者はGALAXY Tabで試すことにした。
GALAXY Tab+Googleマップナビの見栄えは、ドでか画面カーナビって感じですな。カーナビの表示としては画面がグレア(光沢)なので写り込みが多いが、画面向きを適切に調節すれば大きな問題とはならないと感じた。画面サイズ~地図の見やすさ(大きさ)は、カーナビとしてはとてもゴージャスである。
ともあれ、以降、GALAXY Tab+Googleマップナビの使用感をレポートしてみたい。でもその前に拙者的結論をかいつまんで言っちゃうと、Googleマップナビはラクに使えるカーナビアプリとしては上デキだが、しかしカーナビ専用ハードウェアやアプリの完全なる代替えには(まだ)なりにくいという印象になった。
■種類は増えたが地雷も少なくないスマホ用スタンド
まずはお約束の車載スタンドから。結果的に拙者が使ったスタンドは「docomo Galaxy Tab SC-01C専用カースタンド(車載用)」という商品名で売られていたものだ。メーカー(!?)の製品紹介ページはこちら。
上記で「結果的に」とか言ってるのは、ほかにもいくつか試したものの、ホントにダメなスタンドだったのでアッタマ来て廃棄したとか、GALAXY Tabを保持させるのが微妙に不安だとか、そういう理由で「使えなかった」からだ。最終的にとりあえず残ったし使えたのがこのスタンドだったということですな。
拙者が使ったスタンドの外観。ダッシュボード上に吸盤でセットするタイプですな | ベースの吸盤は、平滑な部分になら強力に吸着する。安心感をもって使用できた | 関節は2つ。関節部の作りは若干チャチだが、実用上問題はない。素材はプラスチック |
ダッシュボード上に取り付けておいた平滑なプレートにスタンドの吸盤をセットすることに | 乗せて、押し下げて、さらにレバーを倒して吸着させるタイプの吸盤台座だ | 吸着させたところ。吸盤部は粘着素材ではないものの、非常に強力に吸着する |
GALAXY Tabをセットしたところ。この状態で2時間程度走り続けたが外れることはなかった | スタンドは自由に回転し、傾けられるので、縦表示もラク。地図も縦表示になる | GALAXY Tab台座とスタンドのアームの接続部が若干不安だったのでビニールテープで固定 |
このようにセットしたんだが、上の最後の写真がビミョー。作りが甘くて、GALAXY Tab台座部とスタンドのアームの接続部が緩いのだ。振動で外れる可能性があったので、ビニールテープで強固に固定した。ともあれ、要するに、いくつか試してみて唯一まあまあ使えそうなスタンドでも、こんな調子。
結局、こういうスタンドを通信販売で買っちゃう拙者がイカンと言えばそうなのだが、スマートフォン用の車載スタンドとかって作りが甘い製品が多過ぎるように思う。つまり地雷多々。やはり、高価なスマートフォンを保持させるんだから、スタンド類は実物に触れてから買わないといけませんな。
■できたり、できなかったり、の経路探索
GoogleマップナビはモバイルGoogleマップの一機能となっている。ので、最新版のモバイルGoogleマップをAndroid端末にインストールすれば、Googleマップナビも使えるようになる。ただし、Googleマップナビを起動するためのアイコンは、モバイルGoogleマップとは別になっている。また、マップ表示もモバイルGoogleマップのそれとは異なる。
赤い丸で示したのがGoogleマップナビのアイコン。モバイルGoogleマップのアイコンは右上にあるもの。別アプリ感覚で使うのだ | Googleマップナビを起動すると目的地選択画面となる。いくつかの方法で目的地を設定できる。認識率がチョー高い音声入力にも対応 | ちょっとしたオプション設定も可能。有料道路を使わずに高速道路は使う、という設定にできちゃうあたりが「ベータ版」なのかも!? |
Googleマップナビの地図表示例。これはヘディングアップ(前方が地図の上となる表示)にしたところ。ちょいと3D風になるのだ | Googleマップナビでノースアップ(北が地図の上となる表示)にしたところ。カーナビに必要な情報以外は少なく、スッキリしている | おなじみモバイルGoogleマップの表示例。Googleマップナビと比べると地図に現れる情報やその見せ方などが異なることがわかる |
カーナビとして使い始めるには、目的地を設定する必要がある。Googleマップナビでは目的地名などを入力して検索できたり、モバイルGoogleマップなどで登録したスター付きの場所を目的地にしたり、あるいは連絡先データ内の住所を目的地にすることができる。で、拙者的にちょっと感動しちゃったのが、音声で目的地を指定できる機能だ。
「目的地を音声入力」を選ぶと、端末側は音声入力待ち状態になる | 目的地住所や名称を言うだけで、こんなふうにバッチリ認識される | 次いで現在位置からその目的地までのナビが自動的に開始される |
すっげぇ!! と一瞬思ったんだが、Android端末ならどれでも使えるGoogleの音声検索と同じですな。にしてもGoogleのこの音声認識、物凄い的中率っていうか精度っていうか、毎度驚かされる。
目的地検索自体の精度や利便は、Googleでの検索と同じ。GPS搭載スマートフォンなどでGoogleマップを使っていて、たとえば「コーヒー」などと検索すれば現在位置付近のコーヒーショップを探せたりするが、そのような利便まで含めて実用的な検索性能だ。
Googleマップナビで「目的地を入力」で検索をするところ | 現在位置周辺のホームセンターがリストアップされた | 過去に検索したキーワードの履歴なども利用できる |
モバイルGoogleマップで特定地点をスター付きにするところ | この住所をスター付きの場所としてみた | スター付きの場所は、Googleマップナビの目的地に指定できる |
てな感じで、ガシガシ検索できる。毎日のように新たな情報を収集しまくりのGoogleなので、一般のカーナビ専用機とは違って常に新しい情報を対象として検索をかけられるのは大きな魅力だ。
しかし、目的地検索自体は良いものの、目的地までの経路探索が不能だったりするケースが少なくない。たとえば「東京都千代田区三番町20」と目的地を指定すると、「目的地への経路が見つかりませんでした」とか言ってGoogleマップナビを終了させるしなくなったりすることも。
「東京都千代田区三番町20」と音声入力して検索をしているところ | 検索自体は行えたが、その場所までの経路探索が不能であった | その状態だとGoogleマップナビ終了以外できずホーム画面に戻る |
しかし「東京都千代田区三番町」だと経路探索まで行えた | てかその「三番町」でどこいらへん? イマイチよくわからない | ここだそうだ。「三番町20」とは道一本外れていた |
てなわけで、ドアtoドアのナビゲーションは期待できにくい。まさにその番地までビシッと経路探索できるケースも多いが、そうでないケースも多い。「そうでないケースが多い」のは、今時的カーナビとして考えるとけっこー致命的かもしれない。だから「ベータ版」なのかもしれない。致命的ついでに言えば、Googleマップナビには交通情報表示機能もあるが、日本国内の交通情報は表示できないあたりも、今時的カーナビとしては……。だから「ベータ版」な(以下略)。
■経路探索さえできればけっこー快適
経路探索不能なことが少なくなくて、VICSのような交通情報も出せないとなると、カーナビとしてはイキナリのイマイチ感が漂ったりするが、実際はそーでもない。経路探索ができれば、もしくは経路探索できなかった場合でも目的地付近までのナビでよければ、わりと快適に使えるGoogleマップナビであった。
以下、実際にGoogleマップナビを使って走行しているときの使用感や利便などを、Googleマップナビのスクリーンショットとともに見ていこう。
ちょっとした便利機能もある。たとえば地図上にさまざまな情報をレイヤとして重畳表示させられる。情報は常に新しいものを参照できる | 駐車場やガソリンスタンドの位置などを地図上に表示できる。航空写真を表示させる場合も「レイヤ」から。レイヤのリセットは「地図をクリア」で | コンビニとレストランとガソリンスタンドを表示させたところ。周囲にある各種施設を一望できる。また、各施設の細かな情報を参照することも可能 |
アイコンにタッチすると、このように施設名称が表示される。さらにその施設名称にタッチすると、その施設の詳細情報が表示される | 施設の詳細情報を表示させたところ。受話器マークで通話、人のマークでその施設付近のストリートビューを表示することもできる | レビューされた施設はクチコミ情報なども得られる。矢印マークにタッチすればその施設までのナビを開始することができる |
てな感じで、なかなか快適。GALAXY Tab+Googleマップナビの場合、見やすさは十分で、操作感(タッチしやすさなど)も快適。全体的な動作速度も軽快なので、非常に快適に扱える。
それと、得られる情報がGoogle検索そのものなので、スタンドアロンのカーナビと比べると「アテになる情報」が多く得られて非常に有り難い。航空写真やストリートビュー、あるいは周辺スポット情報閲覧といった機能は、既存カーナビの情報量とは比較にならない。物凄く強力ですな。これでプローブ・カー系の機能とかあったら一種の一大事でありある種の大打撃とも言えよう。
Googleマップナビがカーナビとしてどんどんブラッシュアップされ、前述の「今時のカーナビとして考えると致命的な箇所」が直っちゃったりすると、今度は情報端末という強みから、既存カーナビを次々と容赦なく駆逐してしまいそうで恐ろしいですな。
もうひとつ、GALAXY Tab+Googleマップナビを使っていて気になったことが。それは「ヤケに電池の消耗が激しい」ということだ。充電しながらナビを使っているのに電池が減るほど。てか減ることのほうが多く、増えることが希、みたいな。内蔵電池駆動じゃ1時間保たないような気がする。
ただ、これはGALAXY Tab+Googleマップナビだからなのかも!? まずGALAXY Tabは画面が大きく高画素であるぶん、消費電力が大きいであろうことが考えられる。また、GALAXY Tabって、付属のACアダプタ以外から充電すると、付属品ACアダプタで充電したときの倍近い時間がかかる。つまり僅かずつしか充電できないのにどんどん負荷がかかるから、充電しつつナビ使用中なのに電池が減っていくんだと思われる。
ナビ開始直後、充電中なのに少し電池残量が減った(画面右上) | 約45分後。どんどん電池残量が減ってしまうのであった | その後もほとんど電池残量が増えてくれない |
これが純正の付属ACアダプタで充電中のアイコン | 付属ACアダプタ以外だとこんな表示になり、僅かずつしか充電されない | 車内で充電用に使ったのは「iPad iPhone対応シガーソケットアダプタ」 |
ということで、GALAXY Tab+Googleマップナビを使う場合は、電源の確保でちょっと悩んだり、何かしらグッズを使ったりする必要がありそうですな。
あ。あともうひとつ。使い方によってはけっこーシッカリとカーナビになってくれるGoogleマップナビではあるものの、Googleマップがベースになっているアプリゆえの弱点がある───逐一ネットから地図を読み込んでいるので、データ通信エリア外になると止まってしまう。
通信圏外やトンネル内など、データ通信エリア外に入るとこんな画面になって止まっちゃうんであった。リルートや地図の更新なども行われない |
走るときはいつも必ずカーナビを、てな人には向かない仕様のひとつですな。ただ、カーナビがときどき動かなくてもどうにか走れるヨ的な人ならオッケーかもしれない。
しかしまあ、よく考えてみるとGoogleマップナビ、Google検索やGoogleマップと同様に無料なんスよね。Googleマップナビは既存カーナビと比べたらカーナビとしてまだ足りない部分が少なくないものの、無償アプリなのにここまでデキるって驚愕。驚愕ってよりアレかも旧来からの価値感をまたひとつ変えざるを得なくてショック、みたいな。便利とか愉快とかと同時に、時代の変化がチラリと見えたりするアプリなので、Android端末使ってる人はゼヒ!!
2011/4/11 06:00