法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
UQ宅内アンテナとAndroid Oneシリーズに見る「不都合な真実」
2017年2月20日 14:03
モバイル業界に限った話ではないが、各社が提供するサービスや施策を見ていて、「おや?」と首を傾げたくなるものに出会うことがある。サービスや施策が不十分ということではなく、どこか内容に不自然さが感じられてしまうものだ。今回は各社のサービスや施策から、最近、UQコミュニケーションズとワイモバイルで気になったものについて、考えてみよう。
不都合な真実
長らく主要3社(MNO)を中心に展開されてきたモバイル業界だが、昨年あたりからMVNO各社が注目を集め、今年は各社の競争が一段と激しくなってきそうな状況だ。
そんなMNOとMVNO各社の中間的な位置にあるのがワイモバイルとUQコミュニケーションズだ。かたやワイモバイルは新規参入事業者としてスタートしたイー・モバイル、そしてPHSを展開してきたウィルコムを統合し、現在はソフトバンクの格安ブランドとして、サービスを展開している。一方のUQコミュニケーションズはKDDIが1/3を出資するBWA事業者としてスタートし、auネットワークを利用するMVNOサービスであるUQ mobileを提供してきたKDDIバリューイネーブラーを統合する形で、現在はUQ WiMAXとUQ mobileの2つのブランドで事業を展開している。それぞれの会社が統合される前の段階から、市場ではお互いにライバル関係にあり、現在でも形を変えながら、その関係を維持しつつ、激しい競争をくり広げている。その一方で、業界話になってしまうが、各社の人的なリソースには関わりが多く、実はかつて同僚だった、同じプロジェクトに関わっていたという人も少なくない。さらには、メーカー出身者がどちらかへ転職しているケースも多いという。
そんな両社のサービスや施策を見ていると、中間的な立場であるがゆえのアグレッシブな取り組みがある一方、「え? どうして、そうなるの?」「それって、何がいいわけ?」と感じられてしまうようなサービスや施策を見かけることがある。他サービスの方が便利だったり、安価だったりといった単純な比較ではなく、サービスや施策そのものの内容が中途半端というか、不自然な印象を持ってしまうようなものを指す。『不都合な真実』と表現するのは少し厳しいかもしれないが、各社の立場上、しかたなく打ち出してきたのではないかと勘ぐってしまうようなサービスや施策を見かけるというわけだ。
自宅にWiMAX 2+基地局を実現するUQ宅内アンテナだが……
UQコミュニケーションズは1月31日、ユーザー宅のWiMAX 2+の電波環境を改善する機器として、「UQ宅内アンテナ」の受付を1月30日から開始したことを発表した。UQ宅内アンテナは2016年6月に「UQフェムトセル」として発表され、先行受付が行われていたもので、正式サービス開始に伴い、「UQ宅内アンテナ」という名称に改められた。
WiMAX 2+の電波を発する超小型基地局をユーザー宅に貸し出し、ユーザー宅に引き込まれた「auひかり」「auひかりちゅら」のいずれかの光回線に接続することで、モバイルWi-FiルーターなどのWiMAX 2+対応機器を宅内で快適に利用できる。UQ宅内アンテナを契約できるのはUQコミュニケーションズか、同社から回線を借り受けたMVNO各社のWiMAX 2+サービスを利用するユーザーで、初期費用や工事費、月額利用料は無料で、最低利用期間もなく、契約解除時の違約金もかからない。設置については、WiMAX 2+の基地局という扱いになるため、指定業者がユーザー宅で工事を行い、GPSアンテナなども設置する。
さて、読者のみなさんがUQコミュニケーションズや同社系MVNOを契約しているか、auひかり/auちゅらひかりを敷設しているかどうかは別にして、仮に自分の環境に当てはめた場合、このUQ宅内アンテナをどう捉えるだろうか。おそらく、多くの読者は「別に、光回線にWi-Fi(無線LANアクセスポイント)つなげば、いいじゃん」と答えてくれるはずだ。
そう、このUQ宅内アンテナの前提条件であるauひかり/auちゅらひかりは光回線であり、カタログスペック上は最大1Gbpsの快適な通信環境を実現できる。地域や環境によって、若干の差があるが、おそらく多くの環境では最大数百Mbpsの速度が体感できるはずだ。この回線に最新のIEEE 802.11ac準拠の無線LANアクセスポイントを接続すれば、WiMAX 2+で接続したときと同等以上の快適なインターネット環境を実現できると推察される。つまり、UQ宅内アンテナを利用するメリットは、あまりないわけだ。
しかもUQ宅内アンテナは契約したユーザーだけが利用できるものではない。UQ宅内アンテナはUQコミュニケーションズのWiMAX 2+の超小型基地局として扱われるため、設置したユーザー自身だけでなく、近隣に住む世帯のユーザーや近くを通りかかったユーザーがUQ宅内アンテナを経由して、インターネットに接続することもできる。つまり、「我が家用」アンテナだけでなく、「ご近所用」アンテナでもあるわけだ。
この場合、トラフィックの扱いがどうなるかも気になるところだろう。数年前、ソフトバンクが契約者にFONが提供する「FONルーター」を配布し、自宅のインターネット回線に接続できるようにしたことについて、国内の多くのISPが禁じている「回線の又貸し」に当たるため、利用は認められないと指摘されたが、今回のUQ宅内アンテナもユーザーが契約する光回線とISPに相乗りする形でトラフィックが流れるため、形としては「回線の又貸し」のような運用になってしまう。しかし、この点については、auひかり/auちゅらひかりで利用する各ISPにすでに了解が取られているとのことで、規約などに触れる心配はない。
とは言え、UQ宅内アンテナを設置することで、自宅のインターネット回線に第三者のトラフィックが相乗りするわけで、そこに何人ものユーザーが接続することになれば、影響が出るリスクもある。たとえば、自宅の隣にカフェがあり、そこにUQ宅内アンテナの電波が届くような位置関係になると、カフェの営業時間帯に自宅のインターネット回線のパフォーマンスが落ちてしまうことも考えられる。ISPによってはデータ転送量を制限しているところもあり、UQ宅内アンテナを経由した利用が増えて、UQ宅内アンテナを設置したユーザーがISPから利用を制限されてしまうこともあり得る。ちなみに、ISPのデータ転送量の制限は送信時(上り方向)の1日あたりのデータ転送量が数十GBを超えたときに受けるなどのケースが多いため、実質的にはそれほど問題にならないかもしれないが、いずれにせよ、自宅のインターネット回線のパフォーマンスを落としてまで、WiMAX 2+の宅内アンテナを設置するメリットはないだろう。
では、なぜ、UQコミュニケーションズは宅内アンテナサービスを開始したのだろうか。実は、その理由は2013年7月に発表された2.5GHz帯の追加割り当ての計画にある。
2.5GHz帯は元々、UQコミュニケーションズとソフトバンクグループのWCP(Wireless City Planning)に帯域が割り当てられ、両社がサービスを提供していたが、2009年に衛星放送サービス「モバHO!」が終了したことに伴い、2013年に空いた周波数帯域の追加割り当てを募集することになり、UQコミュニケーションズとWCPが2013年6月に申請を行っている(関連記事)。約1カ月に渡る審査後、電波監理審議会はUQコミュニケーションズに追加割当が適当と答申し、UQコミュニケーションズは2013年10月からWiMAX 2+のサービスを開始している。
この追加割当の審査結果を解説した書面には、屋内のエリア充実を図るため、UQコミュニケーションズが「フェムトセル基地局を導入(平成28年度)し、90万台(うち80万台は個人宅)を設置。」(総務省「広帯域移動無線アクセスシステムの高度化のための特定基地局の開設計画の認定に係る審査結果」より引用)としているのに対し、WCPは「フェムトセル基地局の平成30年の導入について検討。」(同審査結果より引用)と言及するのみで、最終的に「『屋内エリア化の対応』の観点では、UQ社申請は、WCP社申請に比べ、屋内基地局の設置箇所に関して具体的計画を有するとともに、全新幹線のトンネル内エリア化や個人宅への多数のフェムトセル基地局設置等に関して具体的計画を有しており、より優れていると評価。」とされている。つまり、今回のUQ宅内アンテナは、追加割当の申請時に含まれていた計画を実行したものであり、総務省や電波監理審議会が評価した対策のひとつであったため、実行せざるを得なかったのだろうと推察される。もし、UQコミュニケーションズがUQ宅内アンテナの計画を実行に移していなければ、追加割当を争ったWCPとソフトバンクグループが黙っているわけもなく、UQコミュニケーションズとしては多少のマイナスが認められたとしても計画を実行に移すしかなかったというのが本音だろう。
しかし、だからと言って、今回のUQ宅内アンテナはやや工夫が足りない印象は否めない。たとえば、料金面での手法として、UQ宅内アンテナを設置すれば、auひかり/auちゅらひかりの月額使用料を割り引くなどの施策も考えられたはずだ。もっと高度な活用を考えれば、単純にauひかり/auちゅらひかりのインターネット接続に相乗りするのではなく、フレッツ光ネクストで提供されている「フレッツ・テレビ」のように、1本の光ファイバーで信号を多重化し、インターネット接続とUQ宅内アンテナの信号を別々に送受信することで、契約ユーザーのインターネット接続に影響が出ないような仕組みも開発できたはずだ。ちなみに、フレッツ光ネクストでは1本の光ファイバーで、インターネット接続用の信号とフレッツ・テレビ用の信号を異なる波長の光信号でやり取りしているため、テレビを視聴してもインターネット接続のパフォーマンスには影響がない。
UQコミュニケーションズは2016年12月、WiMAX 2+の速度制限を3日間で10GBに緩和し、制限の時間帯を18時~翌2時の混雑時間帯に限定することを発表した。WiMAX 2+の440Mbps対応エリアも2017年2月から全国に拡大し、今夏にはLTEオプションの無料化の方針を打ち出すなど、WiMAX 2+のサービスをさらに拡充する構えだ。今回のUQ宅内アンテナは明確にメリットを享受できるユーザーがどれだけいるのかはわからないが、今後は本当にユーザーの利用環境が向上する魅力的な施策が打ち出されることを期待したい。
第二弾が発表されたAndroid Oneだが……
国内のスマートフォン市場はiPhoneが強いとされているが、昨年は「実質0円」の販売が制限される一方、SIMフリー端末にも注目モデルが増え、各携帯電話会社が販売する主力モデルと共に、市場をにぎわせてくれた印象だ。
そんな各社の激しい販売競争がくり広げられる国内市場において、昨年、意外と言っては失礼だが、予想を上回るヒットを記録したモデルがある。ワイモバイルが販売する「Android One 507SH」だ。その型番からもわかるように、製造メーカーはシャープだが、グーグルが新興国などで展開してきた「Android One」をはじめて日本で展開したモデルになる。「Android One」はグーグルがインドなどの新興国において、各国のメーカーと共同で開発するAndroid端末のシリーズで、発売後18カ月間で最低1回のメジャーアップデート、発売から2年間は毎月セキュリティアップデートが提供されるという保証が付く。これまでグーグルが展開してきた「Nexus」シリーズがAndroidプラットフォームのリファレンス的な位置付けだったのに対し、Android Oneは各地域のメーカーとの協業によって、各地域のニーズに応えられる仕様の『バージョンアップのお墨付きAndroid端末』ということになる。
こうした位置付けの端末がワイモバイルから登場したのは、当然のことながら、これまで積極的にNexusシリーズを取り扱い、自ら「世界でもっともNexus 5を販売した携帯電話事業者のひとつ」と豪語するほどの実績を持つことに関係する。ところが、明確なアナウンスこそなかったものの、昨年、グーグルは同社のオンラインショップからNexusシリーズをすべて削除。「Made by Google」をうたうスマートフォン「Pixel」シリーズ(日本未発売)の販売をスタートさせており、Nexusシリーズは事実上の終了を迎えている。
この動きをいち早く察知していたのか、あるいはグーグルからのオファーがあったのかは定かではないが、ワイモバイルでは日本初の「Android One」となる「Android One 507SH」を開発し、2016年7月5日に発表、7月29日に販売を開始している。かつてのNexusシリーズと違い、国内ではほとんど知られていなかった「Android One」シリーズだったが、発売後は順調に売れ行きを伸ばし、各所で公開されている販売ランキングにも顔を見せるほど好調な売れ行きを見せた。そして、その余勢を駆ってか、今年1月には第2弾となる「Android One S1」(シャープ製)と「Android One S2」(京セラ製)という2機種を発表し、いよいよ2月から販売が開始される予定となっている。
まったくの新シリーズでありながら、早くも第2弾が2機種も発表されるところに、ワイモバイルとグーグルがAndroid Oneの好調ぶりに気をよくし、積極的に展開しようとしている姿勢がうかがえるが、その内容をチェックすると、やや不思議というか、不自然な印象も受ける。
Android Oneは第1弾の「Android One 507SH」、第2弾の「Android One S1」と「Android S2」のいずれもかつてのNexusシリーズのように、インストールされているアプリはグーグルがAndroidプラットフォームに提供する基本アプリが中心だ。バージョンアップなどに備え、メーカー製アプリやワイモバイル製アプリは、極力、最小限に抑えられている。国内で販売されてきた多くのAndroidスマートフォンがなかなかバージョンアップできない背景に、各携帯電話会社のサービスに対応するアプリやメーカー製アプリがすぐに最新バージョンに対応できないうえ、各携帯電話会社やメーカーが動作を検証するだけの時間的な余裕がなく、コスト負担も重くのしかかっていることがあるとされている。その点を考慮すれば、Android Oneシリーズのシンプルな構成は自然な方向性とも言えるのだが、冷静に考えてみると、そこにはいくつかの疑問が残る。
まず、根本的な話しとして、Androidプラットフォームの最新バージョンを必要としているユーザーはどれくらいいるのだろうか。本誌読者のように、最先端を追うことを楽しみにしているユーザーにとっては、最新バージョンにアップデートされることがひとつの魅力と言えるだろう。ただ、ワイモバイルが狙うユーザー層には、これからスマートフォンに移行するフィーチャーフォンユーザー、月々の利用料金などのコストを重視するユーザーも多いとされており、そういったユーザー層が最新バージョンを求めているのかというと、必ずしもそうとは言えないだろう。
また、Android Oneシリーズの場合、グーグルが提供する基本アプリを中心としているが、実は各社が開発したハードウェアをコントロールするためのソフトウェアなどもバージョンアップの足かせになるとして実装されていない。たとえば、シャープ製スマートフォンのカメラには、撮影シーンに合わせて最適な設定が選べる撮影モード、写真の構図などをアドバイスするフレーミングアドバイザーといった人気機能が数多く搭載されているが、これらの機能はシャープのカメラアプリによって実現されている。ところが、Android Oneシリーズではグーグルのカメラアプリが採用されるため、こうした機能は使うことができない。撮影した画像の仕上がりも若干、違うような印象を受ける。京セラ製の「Android S2」ではフィーチャーフォンから移行するユーザーを意識して、赤外線通信が搭載されたが、これも従来の京セラ製Androidスマートフォンなどで採用されてきたソフトウェアではなく、バージョンアップ時に影響を受けないように、個別に作り込む必要があったという。この他にも各メーカーが独自に開発してきた省電力機能なども将来的なバージョンアップを考慮し、実装が見送られたケースがあるそうだ。
さらに、メーカーが実装する機能だけでなく、ワイモバイルが提供する一部のサービスも非対応となっている。たとえば、「紛失ケータイ捜索サービス」「位置ナビ(被検索機種の場合)」「安心遠隔ロック」「緊急速報メール」などに対応しておらず、これらのサービスの一部を含む「スマートフォン基本パック-S」の対応機種からも外れている。もちろん、紛失時の端末の位置情報検索はグーグルのサービスでも利用できるが、そういったことが十分にユーザーに周知されて、販売されているのだろうか。「素のAndroid」には良いところもあるが、逆にリスクとなり得る部分もあることをきちんとユーザーに伝えているのだろうか。
これらの点について、1月に行われた発表会後の囲み取材で、ソフトバンク Y!mobile事業推進本部 執行役員本部長の寺尾洋幸氏に質問したところ、「デバイスとしての差別化はレギュレーションの範囲内で行われると思う。必ずしも昔のケータイのように、(Android Oneとしての)かっちりとした仕様が決められているわけではなく、最終的なユーザー体験をグーグルが求めているものに合わせていく」という答えが返ってきた。つまり、ワイモバイルとしては、まず、グーグルが考えるユーザー体験をひとつの指針と捉え、メーカーが独自に提供するような便利機能は二の次と考えているようだ。最新バージョンを望むユーザーにとっては魅力的な答えかも知れないが、幅広いユーザー層が利用することを考えたとき、本当にそれがいいことなのかは、かなり疑問が残る。
そして、こうした仕様を決め、機能を制限することで得られるアドバンテージがどれほどのものなのかも少し気になるところだ。
昨年7月に発売された「Android One 507SH」は、昨年8月と9月にソフトウェア更新を提供し、発売後に見つかった不具合が修正されると同時に、セキュリティのアップデートも行われた。昨年10月にはいち早くAndroid 7.0 Nougatの提供が開始され、その後、12月と1月にもソフトウェア更新が提供されている。おそらく、国内で販売されるAndroidスマートフォンがバージョンアップしたものとしては、Nexusシリーズ以外でもっとも早くAndroid 7.0 Nougatが提供されたことになる。
しかし、実際には、NTTドコモのシャープ製「AQUOS ZETA SH-04H」が12月15日にAndroid 7.0 Nougatへのバージョンアップを提供したのを皮切りに、1月12日にはNTTドコモのソニーモバイル製「Xperia XZ SO-01J」と「Xperia X Performance SO-04H」、1月13日にはauのソニーモバイル製「Xperia XZ SOV34」と「Xperia X Performance SOV33」、1月19日には楽天モバイルが扱うファーウェイ製SIMフリー端末「honor 8」、1月31日にはモトローラ製SIMフリー端末「Moto Z」、2月13日にはファーウェイ製のSIMフリー端末「Huawei P9」というように、続々とバージョンアップが開始されている。国内で販売されているAndroidスマートフォン全体から見ればまだ数は少ないが、それでもわずか1~3カ月の違いで、のべ10機種近くが追いついてきたことになる。
今回のAndroid 7.0 NougatはAndroid 6.xと違い、画面分割(マルチウィンドウ)などの新機能が利用できることがメリットとされている。確かに、ある程度、画面サイズが大きく、高解像度のディスプレイを搭載する端末であれば、新機能を活かすことができるが、Android Oneシリーズの3機種はいずれも5.0インチのディスプレイを搭載し、3機種中2機種は1280×720ドット表示のHD対応というエントリーモデル向けの解像度であるため、Android 7.0 Nougatの画面分割を快適に活かせる環境とは言いにくい。
これらのことを鑑みると、本当にAndroid Oneシリーズが市場にフィットして、販売を伸ばしてきたのか、今回の新機種も同様に好調な売れ行きを記録できるのかは、やや「?」マークを付けざるを得ないというのが率直な感想だ。ただ、誤解をして欲しくないのは、Android Oneシリーズによって提供される最新のAndroidプラットフォームをいち早く体験できるというメリットや、グーグルの基本アプリによるシンプルな構成の利用環境を求めているユーザーは確実に存在し、そこをサポートする意味でもAndroid Oneシリーズの存在意義があることは否定しない。
ただ、最新バージョンを担保することによるデメリットがいくつかあるにも関わらず、それをきちんと周知せず、「最新バージョンのAndroidが使える!」ということばかりをアピールする手法は、本当に適切なのかどうかはユーザーとしても十分に考えておきたいということだ。おそらく、Android Oneシリーズに興味を持つユーザーには、「最新バージョンが使えること=長く使えること」と捉えているユーザーが多いと推察されるが、その期待にしっかりと応えていけるだけの体制をワイモバイルと各端末メーカーが整えているのかも気になるところだ。