みんなのケータイ

三脚にカメラとスマホを載せたオレ流取材システム

【iPhone 7】

オレ流取材システム。総重量は約1kgとノートパソコン程度

 この写真は、筆者が最近、取材時に使っている三脚セットである。主に「テキスト入力」と「音声録音」、「撮影」を同時に行う必要がある、発表会や説明会でのプレゼン取材時に利用している。やや珍妙に見えるかも知れないが、実用性を追求した結果に行き着いた、現時点で最強のオレ流取材システムだ。

 具体的な構成としては、ベルボン製の「CUBE」という軽量三脚に、プレートとスマホホルダでコンパクトデジカメとiPhoneを載せたものとなっている。筆者はこの三脚セットにBluetoothキーボードを加え、「プレゼン内容のテキストメモの入力」、「プレゼン音声の録音」、「スクリーンに映されたプレゼン資料の撮影」の3つの作業をこなしている。

 まずテキストメモの入力は、iPhoneとBluetoothキーボードを使っている。何度かこの本コーナーでも紹介しているが、アプリは「ATOK Pad」、キーボードはREUDO製「RBK-3200BTi」を愛用している。慣れた組み合わせなので、ノートパソコンと遜色のない速度でテキストを入力できる。

 音声の録音には、iPhoneにLightning接続のマイク「ZOOM iQ7」を付けて、標準アプリの「ボイスメモ」を使っている。iQ7は指向性やレベルを調整できるので、いろいろなシチュエーションに対応しやすく、Lightning接続なのでイヤホンマイク端子のないiPhone 7でも利用できる。「ボイスメモ」アプリはバックグラウンドでも音声を録音でき、「ATOK Pad」は天地逆表示にも対応するので、1台のiPhoneでテキストメモを入力しながら音声を録音可能だ。

Bluetoothキーボード「RBK-3200BTi」は折りたたみ式なので、収納時はけっこう軽量・コンパクト。展開したとき、中央に折りたたみの分割線がないのも重要ポイント
外付けマイク「iQ7」。マイク部分はいろいろな方向に向けられる。指向性は90度と120度から選択可能(専用アプリ録音時は無段階調整できる)

 「プレゼンスクリーンの撮影」には、ソニー製のコンパクトデジカメ「DSC-RX100M2」を使っている。このデジカメ、1インチセンサーによる高画質と3倍ズーム、有線リモコンや外付けストロボ対応など、取材時に有利なスペックが300gを切るボディにミッシリ詰まっている。

「DSC-RX100M2」とリモコン(非純正品)。リモコンならカメラ本体を触らないので、構図がズレにくいメリットもある

 プレゼンの資料が映し出されるスクリーンは位置が動くことがないので、三脚で構図を固定し、ついでに露出とフォーカスをマニュアルにして、スライドが変わるたびにリモコンをポチポチ押して撮影している。いちいちカメラをかまえる必要もなく、リモコンをキーボード近くに置いておけば、ホームポジションから最小の移動で撮影できる。構図も露出も固定なら、あとで一括で手動補正できてラクチンだ。

 ベルボン製三脚の「CUBE」は、それ自体が390gと軽量なのだが、推奨耐加重も0.4gまでとなっている。レンズ交換カメラだと1台でも危ういが、「DSC-RX100M2」ならばスマホと一緒に載せても(やや推奨耐加重を超えてしまうものの)、そこそこ安定してくれる。

「CUBE」は脚を1段だけ伸ばして立てると、脚のあいだにキーボードがスッポリ収まり、テーブル上に資料を広げるスペースを確保しやすくなる

 取材時にはこのiPhoneとデジカメが載った三脚を、脚を1段だけ伸ばした状態(全高約37cm)でテーブルの上、あるいはすべて伸ばした状態(全高約94cm)で地面に設置する。発表会や説明会は、会場の都合でテーブルがあったりなかったりするが、この三脚セットはどちらのケースでも対応できる。会場に行かないとテーブルの有無がわからないことが多いので、これはけっこう重要なポイントだったりする。

 いずれの場合も、iPhoneはやや高い位置に固定されるが、これはiPhoneやノートパソコンを卓上や膝上に置くときより、画面とプレゼンスクリーンで視線を往復させる距離が短くなって都合が良い。また、Bluetoothキーボードと離れて配置されるので、自分のタイピング音が録音時の雑音として入りにくいメリットもある。

 しかしこの三脚セット、弱点もある。

 まず当然だが、三脚を立てるスペースがないといけない。テーブルがあれば問題ないのだが、テーブルがない取材会場で、椅子の前や左右に通路やスペースがないときは、ほぼお手上げだ。また、前の人が邪魔となってスライドが撮影できないこともある。メモ程度の撮影ならば、前の人の後頭部が多少かぶっていても良いが、記事掲載に使う予定があるときは、カメラを三脚から外し、都度、高くかまえる必要がある。

 テキストメモの入力に使っているアプリ「ATOK Pad」にも問題が出てきた。このアプリ、最終アップデートは2014年12月と、2年以上アップデートされておらず、iOSの「設定」アプリ内の「App互換性」では、「Appがアップデートされなければ将来のiOSのバージョンで動かない可能性があります。」と言われてしまっている。今のところ大きな問題はないが、今後どうなるかわからない。かといって後継アプリや代替になりそうなアプリもなく、Androidへの移行も視野にいれないといけない状態だ。

先日の「Unpacked 2017」(Galaxy S8の発表会)はシアターでの開催だったが、通路席で三脚を立てられた(このときはテキスト入力はノートパソコンを使用)
「App互換性」の画面。こうして見ると、アップデートが止まっているアプリがけっこうある

 こうした弱点は次の進化への燃料である。Palmに始まり、SigmarionやW-ZERO3、Nokia E61などさまざまな変遷を経てきたオレ流取材システムの探求の道は、まだまだこれからのようだ。