みんなのケータイ

Microsoftから登場した最後のノキア端末は「ソーシャルケータイ」

 市場の噂ではMicrosoftはすでにWindows 10 Mobile端末「Lumia」シリーズの開発は止めており、来年にも「Surface Phone」が出てくると噂されている。また、Nokiaブランドのまま残っていたフィーチャーフォン部門も売却し、Microsoftはモバイル端末に関しては2in1 PCのようにハイスペック端末のみにフォーカスしていくのだろう。そしてNokiaの方は新しい体制で2017年にもスマートフォンから市場に再参入する予定のようだ。

Microsoftから最後のNokiaブランド携帯電話となりそうな「Nokia 216」

 もはやMicrosoftとNokiaの関係は完全に断ち切れたものと思いきや、この9月に突如フィーチャーフォン「Nokia 216」を発表した。フィーチャーフォンということはNokiaブランドの製品であり、まさかこの時期になって再びNokiaの名前のついた新製品にお目にかかることができるとは、Nokiaファンの筆者も予想はしていなかった。

 最後のフィーチャーフォンだし、今さらながらではあるものの少しはスペックを整えた製品で出てくると思いきや、「Nokia 216」の型番からわかるように、エントリー系のやや上位クラスのモデルだった。3G対応もせずに、GSMのみ。標準でデュアルSIM対応なのが唯一の救いか。ちなみに一番下のエントリークラス「Nokia 100」シリーズは、カメラすら無い通話とSMSに特化したケータイである。

 Nokia 216の本体カラーはブラック、ホワイトに加えてミントブルーの3色。ここ数年のNokia端末のイメージは原色系のイエローやブルーなどが多かったが、最後にやや落ち着いた色合いのミントを加えてきた。これもNokiaブランドへの決別の意味が込められているのだろうか? まあ単純に今のトレンドは原色では無い、ということなのかもしれないが……。

Facebookアプリなども入っているが、Javaのため起動はやや遅く画面も表示も狭い

 OSはJava系のNokia Series 30。ホーム画面にはFacebookなどのアイコンが並ぶが、240×320ピクセルのディスプレイではとりあえず使える、というレベルか。それでも新興国などでは友人たちとのやりとりにこの端末から参加できるわけだ。今では新興国向けのスマートフォンも数千円で買えるものもあるので、SNSを使いたい人はそちらを買い、通話メインのユーザーがNokia 216のようなエントリーフィーチャーフォンで「たまにFacebookを使う」ということなのだろう。

 最後になるであろうNokiaブランドフィーチャーフォンの割には、これといって大した機能が無いように見えるNokia 216だが、実は意外なところが大きく進化していたのだ。まずカメラはフロント側にもあり、メイン側と同じVGA画質のものを搭載している。せめて背面は2メガピクセルくらい欲しかったところだが、Nokia 200シリーズでフロントカメラの搭載は実はこれが初めてなのだ。どちらもVGAになったのは、総コストを下げるためなのかもしれない。

 しかもフロント側にはLEDフラッシュも内蔵。これはハイエンドスマートフォンでも非搭載のものも多いだけに、数千円で買えるLumia 216に搭載して来たということは、セルフィーの撮影を意識したものなのだろう。VGAクラスのカメラでセルフィーなんてと思うだろうが、表示するディスプレイの解像度がQVGAならば十分だ。またVGAレベルではちょっと暗い室内では、顔をはっきりと写すことはできない。しかしフラッシュがあればそれなりに明るい顔写真を撮ることができるというわけだ。

 内蔵メモリも倍増させ、電話帳は2000件まで保存可能になった。SMSで多くの人とコミュニケーションを取っている消費者にはうれしい仕様だ。

3G対応なら先進国でも通話端末として使いやすいのだが、そこまでを求めてはいけないか
まさかのフロントフラッシュ搭載。VGAカメラでもセルフィーが楽しく撮れる

 先進国のユーザーから見ると「ただのストレート型ケータイ」にしか見えないNokia 216だが、意外にも人と人のコミュニケーションを繋ぐ、「Connected People」な製品に仕上がっている。Microsoftも最後の最後になって、旧Nokiaのキャッチコピーの意思を引き継いだ製品を出してくるとはちょっとうれしい気がする。なんて考えるのはNokiaマニアだけかもしれないが、このNokia 216は記念に購入して、海外での通話端末として使ってみようと思う。