スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

マントル不要のガス式ランタン3製品

明るさはイマイチだけど雰囲気がイイっ!

手軽に使える「味のある灯り」

 キャンプなどアウトドア活動でおなじみの「ランタン」。夜のアウトドアでは必須となる屋外用ポータブル照明器具ですな。最近ではLEDランタンが主流になりつつありますが、ガス式もホワイトガソリン式もまだまだ健在です。

 ただ、ある側面にて、一般的なランタンがイマイチ好きになれません。かなり個人的な観点ではありますが、LEDランタンも、ガス式やホワイトガソリン式の「マントルを使うランタン」も、明るくて実用的なのはいいんですが、アウトドアの夜を楽しむときの灯りとしては素っ気なく、イマイチ味がないと感じがちなんですな。

 ちなみに、マントルというのは燃焼する燃料を光に変える触媒です。あらかじめランタンに装着して焼いて灰のような状態にするんですが、触ったり振動を与えたりすると壊れがち。慣れないと扱いにくいんですな。まあ、明るさがあってイイんですけどネ。

 ロウソク式ランタンというのもあり、これはコレで味があってイイ感じです。が、意外と「ロウがこぼれる」ことが。不意に傾けちゃったり、トンとぶつかったりすると、タラリ。グローブ(発光部周辺のガラスの覆い)やランタン下部に固着したロウを取るのはちょっと面倒です。

 もっと手軽に使えて、灯りとしての味があるランタンってないのかな? と思って探して行き着いたのが、今回紹介する「マントル不要のガス式ランタン」です。

左から、コールマンの「ルミエールランタン」、スノーピークの「リトルランプ ノクターン」、新富士バーナーの「プラチナランタン SOD-250」です。どれもアウトドア用ガス(OD缶)が燃料になり、ロウソクの炎のような色の光を放ちます。

 これら3機種に共通するのは、燃料が扱いやすいアウトドア用のガス缶(OD缶)であること。灯りの質がロウソクのように「明るすぎず雰囲気がある」ということ。マントルの消耗とかロウソクのこぼれとか、そういう「扱う上での手間」が少ないこと、です。

 こういったタイプのランタンを改めて調べましたが、現行品で手に入れられるものはこれら3つだけしかないようです。生産完了品は、たまにオークションなどで見かけますが、このジャンルの製品はLEDランタンやガスランタンに完全に圧倒されてしまっている感じですな。

入手性良好な定番品「ルミエールランタン」

 まずはコールマンの「ルミエールランタン」。メーカー製品情報ページはコチラ。直販価格は税込5162円です。

 ロウソクのような炎が出るガスランタンで、同社の230g OD缶を使ったときの燃焼時間は約28~38時間となっています。炎の大きさは微少~大きめまで可変可能。デザインもちょっとレトロなので、雰囲気たっぷりの灯りを楽しめます。

イグナイター(着火装置)はなく、グローブを外して着火するか、火力調節レバーの隙間からマッチなどを入れて着火します。ガス量を多くすればある程度大きな炎を出せますが、あまり大きくするとグローブに煤が付いたり割れたりするのでほどほどに。
炎の大きさはガス量調節ツマミや火力調節レバーで調節します。ノズルの先からガスが出て炎になるだけの機構なので、とくに消耗品はありません。グローブとOD缶(下部のカバー付きのもの)の間にある機構部分の素材は、樹脂および金属です。
本体はOD缶から外し、付属の樹脂ケースに収めて携行できます。ただし、写真の状態では、ケース内でランタンが微妙にガタつきます。グローブの周囲をティッシュや薄い布で保護して収納すれば、より安定的かつ安全に携行できます。

 炎は、ロウソクのような小さい状態から、ガスライターでガス噴出量を最大にしたくらいの「吹き出すような大きめの状態」まで、わりと幅広く調節できます。ただし、大きくし過ぎるとグローブに悪影響を与えるように思います。この点を気遣ってやや抑えめの炎としても、手元はわりと明るめに照らせます。机上で簡単な作業をする程度なら、照明器具として成り立つと思います。

 シンプルさもイイですな。ランタン本体が壊れなければ、消耗品はガスだけ。内部には煤が付いてきたりもしますので、たまに掃除してやれば「ずっと使える道具」であるあたりが魅力的です。

 ただ、グローブが割れやすいかもしれません。グローブを留める内部のバネ機構が強すぎるのと、グローブ形状からちょっとした衝撃がグローブ破損につながりやすい感じです。

 とくに、グローブを脱着するときに、バネ先端がグローブを「コン」と叩くことがあります。これが原因で一発で割れちゃうこともあるようなので、グローブ脱着時は「バネを指先で押さえるなどしてバネの跳ねを意識しつつ、必要以上にゆっくりと脱着する」ことが重要です。

 あと、必要時以外はグローブに触れないようにすることも大切かも。たとえばOD缶への脱着時、グローブ下部のツマミ部分だけを持つようにするとかですな。ちなみに、交換用グローブは直販価格税込2592円で別売されています。

 余談ですが、ワタクシはバネ機構部分をペンチで曲げ、若干緩くしています。グローブが不意に抜けないギリギリの緩さにしておくと、より安全にグローブを脱着できると思います。

シンプルでコンパクトな「リトルランプ ノクターン」

 続いて、スノーピークの「リトルランプ ノクターン」。メーカー製品情報ページはコチラ。メーカー直販税込価格は3780円です。

 これもロウソクのような炎が出るガスランタンで、燃料は1時間に7グラム消費するそうです。同社の最小サイズガス「ギガパワーガス 110プロイソ」で15時間使えます。現代的な外観とコンパクトさが特徴的で、2015年末の発売以来、品薄が続くほど人気があるようです。

イグナイターはなく、ガス量調節ツマミ反対側の隙間からライターの炎などを入れて着火します。ガス量を多くすれば大きめの炎も出せますが、光量はさほど求めることができないガスランタンです。グローブは小さく、割れにくいように思われる材質と形状です。
炎の大きさはガス量調節ツマミと、火力調節機構で調節できます。火力調節機構はグローブごと回転させるスタイル。銀色の部分はアルミなどの金属です。
まさに手のひらサイズ。付属ケース内には保護用のスポンジが入っていますので、このままでもわりと安定的に携行できます。さらに緩衝材を入れれば、携行中に壊れることはまずないと思います。

 炎はロウソクのような大きさです。ある程度大きな炎も出せますが、グローブから炎が飛び出さないように使うなら、「ちょっと大きめのロウソクの炎」くらいまでが限度です。なので、用途的には「雰囲気作りのための灯り」「緊急時に心を落ち着かせるための灯り」といった範囲になりがちです。ただ、どの灯りもそうですが、一見では心細いような明るさでも、真っ暗闇だと「これでも十分イケる」と感じられる光源になってくれたりします。

 それと、外見も作りも、非常に現代的なガスランタンという印象です。ワタクシも発売時に見た瞬間「あらカッコイイ!」と惹かれて購入しました。使い勝手も良く、消耗品もなく、破損しにくい感じで、夜のアウトドアの楽しさを増してくれる存在です。かなりの優等生。こういった新機軸のガスランタンがもっと増えてくれればと思います。

 ただ、このガスランタン、前述のとおり人気があるようで、市場では品薄が続いています。メーカー直販税込価格は3780円の製品で、注文を受け付けているまっとうなショップで次回入荷の予約注文をすれば、ある程度待つ必要はありますが、1万円などのプレミア価格ではなく、マトモな価格で購入できると思います。

 2016年の7月中旬には流通量が増えたのか、たとえば「ヤフオク!」での出品数が増えつつ、設定価格も下がりつつあるようです。ので、「今スグどうしても!」というのでないのなら、安定した入荷までしばらく静観するのがいいかもしれません。

マントル不要の「プラチナランタン SOD-250」

 最後に、ちょっと実用的なほうに振っているガスランタンを。新富士バーナーの「プラチナランタン SOD-250」です。メーカー製品情報ページはコチラ。メーカー直販価格は税込1万3608円です。ちなみにこれはOD缶用ですが、CB缶(カセットガスボンベ)用の「G-メタルランプ STG-00」(メーカー製品情報ページはコチラ)もあり、直販価格は税込1万5120円です。

 特徴的なのは、マントル不要であり、かつグローブも不要という点。タンタンにおいて、マントルは消耗品で、グローブは最も破損しやすい部品です。これらを廃し、ラフに携行しても壊れないという方向性のガスランタンというわけです。オートバイでツーリングする人たちの間では、定番ランタンのひとつになっていたりします。

 灯りは、本体の「プラチナ発光体」が触媒となり、ロウソク色~白色で光ります。同社の最小OD缶「SOD-710T」を燃料とした場合、連続約2時間使えます。連続使用時間は短めですが、明るさは120luxあり、反射板もありますので、手元で細かい作業をするにも十分な光量です。発光部を直接見ると残像が十数分残る程度、明るいです。ちなみに、プラチナ発光体は消耗品で、総発光時間が100~200時間が交換の目安だそうです。

イグナイター付きで手軽に使えます。光量の調節に一手間かかりますが、弱い灯りから強い灯りまで、かなりの幅で光量を調節できます。
ガス量調節ツマミと空気調節レバーで炎の状態を調節します。ガス量と空気量のバランス調節にコツが必要。光量調節には少々の慣れが必要かもしれません。
折り畳むと手のひらサイズ。付属ケースへピッタリと収まります。ケースはセミハードなので、携行時の安定感・安心感も高いです。

 この「プラチナランタン SOD-250」、実際に使ってみると、かなり実用的なランタンだと感じられます。じつは前出の2種の「ロウソク的炎のランタン」は、風にあまり強くなく、炎を小さめにした状態で瞬間的に強めの風が吹いたりすると火が消えちゃったりします。ですが、「プラチナランタン SOD-250」の場合、意外なほど風に強い感じ。

 また、光量を落とすと、ほんのり赤みがかりつつ若干揺れる静かな光となります。同時に、僅かにガスが出る「シュー」という静かな音も相まって、夜のアウトドア独特の雰囲気を高めてくれます。そんな感じで総合的に考えると、この「プラチナランタン SOD-250」は実用性も演出性も兼ね備えたバランスの良いランナンなのかも、とか思ったり。

 てな感じの「マントル不要のガス式ランタン」×3機種。最後の「プラチナランタン SOD-250」はわりと明るめではありますが、3機種とも「アウトドアで使う灯りとしては暗い部類」と言えます。光量だけ求めれば、もっと明るいランタンが多々あるわけですな。でもこういう、必要以上に明るくなく、手軽に使える小さな灯り、ひとつ持っていけばきっと「アウトドアの夜をさらに楽しめる」と思いますので、ゼヒ♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。