ケータイ用語の基礎知識

第653回:MTP接続 とは

 Android 3.1以上のスマートフォンやタブレットを、WindowsパソコンにUSBケーブルで繋ぐと、初期設定では「メディアデバイスで接続」というモードで接続されます。この“メディアデバイスとしてコンピュータに接続”することは「MTP接続」と呼ばれています。

マイクロソフトが開発

 今回紹介する「MTP接続」は、パソコンとAndroidスマートフォンを繋いだ際、データをやり取りする仕様のことです。MTPとは、“メディア転送プロトコル”を意味する英語「Media Transfer Protocol」の略で、米マイクロソフトが、ポータブルなデジタル音楽プレーヤーなどとWindowsパソコンを接続するために開発した技術仕様です。

 Windows Media Player 10以降のWindows Media Playerには、MTPが標準で組み込まれ、Windows 7、Windows 8/8.1では、ポータブルなマルチメディア機器を接続する際、ドライバーソフトなどをあらためてインストールすることなく、音楽や動画、写真をやり取りできます。Macで利用したい場合は、Android File Transferというソフトをインストールする必要があります。

 パソコンに繋いだスマートフォンは「メディアデバイス」と認識され、さまざまな種類のマルチメディアのデータを転送できるようになります。

さまざまな種類のファイルを転送できる

AndroidのUSB接続設定画面。MTP接続、PTP接続を選べる

 Androidでは、USBでの接続方法として、基本的に「MTP接続」「PTP接続」の2モードに対応しています。

 このうちのひとつであるMTP接続は、先述したように、写真や動画、音楽などさまざまな種類のデータを扱える、あるいはパソコンとスマートフォンというマルチメディアデバイスのどちらもサポートする、そしてパソコン側に特殊な設定や機器ごとのドライバーソフトをインストールする必要がないといった特長があります。MTPは、2008年5月、業界団体のUSB-IF(USB Implementers Forum)によって、USBデバイスクラス(USBで利用できる仕様)のひとつとして承認されています。

 Androidで標準的にサポートされているもうひとつの規格「PTP接続」の“PTP”は、画像転送プロトコルを意味する英語「Picture Transfer Protocol」の略です。米FotoNationによって開発されたプロトコルで、AndroidスマートフォンとWindows パソコンを接続した場合、Androidデジタルカメラ関係のフォルダ、つまり「DCIM」と「pictures」のみ表示されるようになります。ちなみにMacの場合、iPhotoなどで写真を管理することができるようになります。

 MTPは、このPTPを元に開発されたプロトコルです。かつてのAndroidスマートフォンは、Windowsパソコンに繋ぐと、パソコンからは「大容量ストレージデバイス」として認識されていました。つまり、スマートフォンが、外付けハードディスクやUSBメモリと同じ扱いだったわけです。

 しかし、大容量ストレージデバイスとしてスマートフォン・タブレット内のファイルを扱うには、大きな問題がひとつあります。それは、スマートフォン自身もファイルを書いたり消したりする可能性があるので、パソコンとスマートフォン・タブレットが同じタイミングで、同一のファイルにアクセスしてしまうと、問題が発生する可能性があるのです。

 MTP接続の場合、ファイルの管理をパソコンではなく、Android側(クライアントのマルチメディアデバイス側)で行います。こうすることで、もしスマートフォン側でファイルにアクセスしているとき、パソコンがそのファイルを操作しようとしても、「デバイスがビジー状態です」と知らせて、操作の重複による破たんを防いでいるのです。

 ちなみに、接続する機器によって扱えるファイル種類を決められるのも、このMTPの特徴です。たとえば、FLV形式などAndroidで標準で対応していないファイル種類を転送しようとすると「対応してないがよろしいですか?」と聞いてきます。この際、メッセージに応じて転送を中止することも、転送を続行することも可能です。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)