第590回:Passbook とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「Passbook」(パスブック)は、iPhoneやiPod touchなどのOSである「iOS 6」で、新たに追加された機能です。「Pass」と呼ばれるポイントカードやクーポン、飛行機の搭乗券などを1カ所にまとめておけるという機能です。

 たとえば、Passbookに対応しているANA(全日空)の国内線旅客機に乗る場合であれば、iPhoneでまずANAの便を予約し、その際、画面に表示される案内に従ってPassbookに搭乗券を保存します。搭乗する当日は、iPhoneのPassbookからANAをピックアップし、空港でチェックインの際、画面に表示されているANA搭乗券のコードを受付機にかざせば、そのまま予約した便に乗れるのです。

 日本国内では、ANAのほかに、レストランやカフェなどの割引クーポンを集めたぐるなびやホットペッパーグルメ、グルーポン、札幌市の公式アプリ「札幌いんふぉ」、ドミノ・ピザ、コンビニエンスストアのローソンなどが、現在「Passbook」対応しています。

 同じPassbookにこれら対応サイトの搭乗券やクーポンなどをひとつにまとめておくことが可能です。

 米国では現在、ユナイテッド航空の航空券やスターバックスのカードなどがiPhone用に配布されています。航空券で飛行機に乗れたり、スターバックスで残りポイントを使ってコーヒーを注文したりできます。これらを使うには、これまで、各社提供のアプリを実行してからでないと使えませんでした。こうしたサービスをひとつのアプリである「Passbook」としてまとめたところに意義があると言ってもいいでしょう。

画面表示の二次元コードなどが使われる

 iPhoneでは、Passbookを実現するために、特別にハードウェアは用意していません。クーポンなどはQRコードや二次元コードを画面に表示して利用します。そのままレジで読み取ったり、店員に示したりして、これまでの携帯電話で使われていたクーポンや紙のクーポン券などとほぼ同じように利用できます。ただ通信機能などを活用する機能も用意されています。

 たとえば、あるWebサイトに掲載されているクーポンの場合、「Passbook」に保存するというボタンをタップすることで、Passbookが起動し、クーポンが表示されます。「追加」ボタンで、Passbookに新しいクーポンが追加されます。

 クーポンはiPhoneの通信機能、内蔵時計やGPSと連動していて、たとえば、クーポンがお店の割引券であれば、そのお店に近づいたときにiPhoneの待ち受け画面に「クーポンの使えるお店の近くにいる」と通知してくれたり、飛行機の搭乗時刻が近づいたらトップ画面で通知したりしてくれます。紙のクーポンやチケットであればユーザーが使える場所や時間を憶えておかなければなりませんが、クーポンの方から能動的に「今使える」ことを教えてくれるのもPassbookのメリットであるといえるでしょう。

 航空機の搭乗券であれば、飛行機の運航状況や出発時刻に変更があった場合など、Pass上で通知するようになっています。通知メッセージが届いたあとにPassにアクセスをすると、飛行機に遅れが出た場合「遅延」と変更になった部分に丸印がつきます。こういった機能も、通信できるiPhoneならではのメリットかもしれません。

 ちなみに、こうした画面通知機能を利用するかどうかは、Passbookを開いてクーポンから設定を変更できます。




(大和 哲)

2012/11/27 12:27