第583回:グローバルモデル とは
「グローバル(Global)」とは、「地球規模」という意味の英単語です。携帯電話業界では、一部の機種を“グローバルモデル”と呼ぶことがあります。ここで言う“グローバルモデル”とは、その名の通り、各国の市場で販売されることを想定した製品のことです。
逆に、特定の地域に限定して販売されることを想定して作られた製品は“ローカルモデル”と呼ばれることがあります。そして、グローバルモデル、あるいは、たとえば欧州向けのローカルモデルを、別の地域向けに改変することを“ローカライズ”と言います。
■スマートフォンで増えてきた「グローバルモデル」
「グローバルモデル」は、特に最近のスマートフォンに関して使われることの多い言葉です。グローバルモデルは、地域によってLTE対応、CDMA対応など、通信方式の違いはありつつも、主な機能や外観のデザインは、各国共通に仕上げられています。こうしたグローバルモデルの代表格としては、iPhoneが思い浮かびます。またAndroidスマートフォンでは、NTTドコモから発売された「GALAXY NEXUS」がグローバルモデルと言えるでしょう。またソニーモバイルの「Xperia」シリーズも、グローバルモデルをラインナップしています。
かつてグローバルモデルは、たとえばノキアから2004年に日本市場で発売された「Nokia 6630 スタンダードバージョン」といったモデルを指しました。この機種は、同時期に、日本向けにボーダフォン(当時)から「702NK」としても販売されました。しかし、こうした事例は珍しく、スマートフォンが現在のような隆盛を迎える以前は、グローバルモデルが日本で発売されることはほとんどなく、仮に発売されたとしてもヒット商品とはなりませんでした。
しかし、スマートフォンの普及で、海外でも販売されていたようなモデルが、そのまま日本に登場するケースが出てきました。こうした機種では、たとえば日本市場向けの機能であるワンセグや赤外線通信、おサイフケータイに対応していなくても、ユーザーから人気を得るものがあります。これは、ユーザーの求める機能が徐々に変化してきたことが背景にあります。インターネットが普及し、利用が広がる中で、携帯電話へアプリケーションをインストールして使ったり、音楽や動画を再生するメディアプレーヤーとして使ったり、あるいはパソコン向けのサイトを見たりするなど、スマートフォンならではの使い勝手が支持されるようになってきたのです。これには、iPhoneシリーズと、Androidスマートフォンの登場が大きなきっかけを与えたと言えるかもしれません。
ただし、日本で販売されるiPhoneでは、これまでメールで絵文字を使えるようにしたり、東日本大震災以降には緊急地震速報に対応したりするなど、日本向けのローカライズは数多く施されています。また、たとえば日本の携帯電話は、赤外線通信、おサイフケータイ(FeliCa)、ワンセグといったニーズが高く、必須とされています。そのため、国内で販売される製品のうち、海外メーカー製の機種でも、最近では、これらの機能が搭載されています。また、2011年にリリースされたサムスンの「GALAXY S II」は、グローバルモデルとして、どこでも同じスペックの製品だったように思えますが、同じ米国で販売されながら、キャリアによって形状が異なるなど、違いがありました。つまり同じ商品名ながら、複数のモデルが存在したわけです。
ともあれ、携帯電話関連のニュース、話題においては、「グローバルモデル」は海外でも同等の仕様の製品が存在する機種、といった意味で捉えておくのが良いでしょう。
2012/10/10 06:00