第507回:災害用伝言板サービス とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 災害用伝言板サービスは、震度6弱以上の地震などの大きな災害が発生したときに、携帯電話で利用できる掲示板サービスです。

 大規模な災害が発生した時には、携帯電話が繋がりにくい状況になり、安否を確認したい人にかけたくても連絡がとりにくくなります。そのような時、自分自身の状況を災害用伝言板サービスに登録しておくことで、他の人がそのユーザーの安否を手軽に確認できるようになります。

 2011年現在、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、ウィルコムといった携帯電話・PHS各社の携帯電話から災害用掲示板サービスを使えるようになっています。

 災害用伝言板サービスにアクセスすると、「無事です。」「被害があります。」「自宅に居ます。」「避難所に居ます。」から自分の状況にあわせた選択肢を選びます。au、ウィルコムの場合はこれに加えて「コメント見て」という選択肢も用意されています。さらに100文字程度のコメントも添えられるようになっており、登録すると、あらかじめ指定しておいた他のユーザーのメールアドレスへ、メールが送信されるようになっています。

 被災者の登録した内容・コメントは、最新の10件までを表示させることが可能です。

 先述した通り、事前に伝えたいメールアドレスを登録しておくと、災害用伝言板サービスでは、安否情報登録時に、登録者の携帯電話番号や安否情報、伝言板へアクセスするためのURLを記載したメールが送信されます。

掲示板に自分の安否情報を登録すると、あらかじめ登録したメールアドレスへ自動的にそれを送信する。写真はドコモのiモード用の場合

 基本的にはフィーチャーフォン向けの機能ですが、事業者によってはスマートフォンへの対応が始まっています。

 2011年現在、災害用伝言板サービスは、基本的にはどの携帯電話事業者もほぼ共通の仕様となっており、同じように使うことができます。ユーザーは以下のようにして掲示板にアクセスし、各種機能を使うことができます。

NTTドコモ

 2011年3月15日現在、iモード端末から情報登録ができます。スマートフォンは閲覧のみ可能で、3月下旬にはspモード契約のドコモのスマートフォンと、BlackBerry Bold 9700やBlackBerry Curve 9300にも対応する予定であると発表されています。iモードからの場合、トップページから自分の安否の登録、あるいは電話番号を入力して、友人・知人の安否情報を検索することもできます。事前登録したメールアドレス宛に自動発信することもできます。ファミリー割引を適用していと、事前登録なしでも、同じ割引グループ内に向けてメールを発信できます。

au(KDDI)

 EZweb対応携帯電話の場合、内容・100文字以内のコメント、それに安否情報登録利用地域情報が登録できることが特徴です。スマートフォンからは登録できませんが、確認はできます。お知らせメール機能(事前に登録しておくことで掲示内容を登録したときに同時にメールを発信させる機能)では5件までのメールアドレスが事前に登録可能です。

ソフトバンクモバイル

 Yahoo!ケータイの「災害用伝言板」メニューまたはMy SoftBankからアクセスすることができます。ソフトバンク携帯電話の場合、Yahoo!ケータイ対応機種(SoftBank 3G)だけでなくスマートフォンでも利用可能です。登録内容、登録可能件数などはドコモと同様で、自動Eメール送信の設定あて先件数は3件まで。ただし、「S!電話帳バックアップ」利用時には最大13件まで設定可能です。

イー・モバイル

 Webのメニューで「ブックマーク(お気に入り)」→「EMnetサービス」→「災害用伝言板」から利用できます。登録内容、登録可能件数などはドコモと同様ですが、保存期間が登録から最大72時間に設定されています(他社は、1災害における災害用伝言板終了時まで)。掲示登録を知らせるお知らせメールの送信先はあらかじめ10件まで登録可能です。

ウィルコム

 提供時には公式サイト/H"LINKのトップに常時表示され、そこからアクセスできます。またWebアクセスで直接URL(http://dengon.clubh.ne.jp)を指定してもできます。auと同様に、5つのパターンからメッセージを選択でき、100文字までのコメント登録できます。あらかじめ10件までのメールアドレスを登録しておき、掲示登録と同時にメール発信ができるのもauと同様です。ウィルコムの場合、お知らせメールを受け取った方が、安否情報を登録した方へ返信を行うことができる機能もあり、これを使うと100文字までコメントを返信可能です。

他社の携帯電話やスマートフォン、パソコンから確認できる

スマートフォンでも、パソコン用の掲示板で災害用伝言板の閲覧できる。横断検索も可能で、たとえば写真のようにイー・モバイルの掲示板で探して、相手がドコモだった場合、ドコモの該当のページへのリンクが表示される

 2010年3月1日(月)から、これら5社の掲示板は「全社一括検索機能」と呼ばれる機能が利用できるようになりました。自動的に事業者を横断して検索されるようになりました。たとえば、au携帯電話の掲示板でドコモの番号を使って検索した場合、


該当するお客様の安否情報は以下の災害用伝言板に登録がありました。

NTTドコモ災害用伝言板へ


と表示され、リンクをクリックするとドコモの掲示板の登録情報が表示されるようになっています。探したい相手がどの会社の携帯電話を使っていても、安否を確認することができるわけです。

 災害用伝言板サービスは、パソコンからの登録はできませんが検索・確認はできます。Webブラウザで、以下のURLにアクセスして、安否を知りたいユーザーの電話番号を入力します。災害用伝言板サービスに対応していないスマートフォンでもアクセスが可能です。

ドコモ
http://dengon.docomo.ne.jp/top.cgi
au
http://dengon.ezweb.ne.jp/
ソフトバンク
http://dengon.softbank.ne.jp/J
イーモバイル
http://dengon.emnet.ne.jp/
ウィルコム
http://dengon.willcom-inc.com

 これらの災害用伝言板の情報確認サービスも「全社一括検索機能」の対象となっていますので、たとえば、auやソフトバンクのサイトで、ドコモの番号を検索すると、ドコモの安否確認情報の該当ページへのリンクが表示され、安否情報を確認できます。

平常時に体験サービスを使ってみるには

 災害時などに非常に有用なこの機能ですが、安否を尋ねられる側、尋ねたい人両方が事前にこの機能の使い方を知っているとよりスムーズに連絡が取れるようになるでしょう。

 事業者によっては、この災害用伝言板機能は、災害時以外に体験サービスが利用して、掲示の登録・確認・削除を利用してみることができるようになっているので、災害が発生していないエリアの人も、事前に使ってみて機能を把握しておくと良いでしょう。

 多くの事業者で毎月1日と15日、防災週間(8月30日~9月5日)、防災とボランティア週間(1月15日~21日)には体験サービスを利用できます。事業者によってはこれに加えて正月三が日も利用可能な場合もあります。また、体験サービス期間外でも、いわゆる「お知らせメール」などのアドレスは登録できるので、気がついたときには登録しておくべきでしょう。

 



(大和 哲)

2011/3/15 11:52