SIMフリースマートフォンレビュー

「Moto X4」「Moto G5S Plus」が「狙い目」な6つの理由

モトローラのミドル〜ミドルハイ端末2機種をレビュー

国内外の様々なメーカーが参入し充実してきたSIMフリースマートフォン市場。その中にあってひときわ個性を放っているのが、携帯電話では老舗とも言えるブランド、モトローラだろう。その代表的な端末と言えば、背面に「Moto Mods」と呼ばれるモジュールをくっつけることで、カメラ、スピーカー、プロジェクターなど様々な機能を拡張できる、ハイエンドモデルの「Moto Z」シリーズ。だが、その下のミドル〜ミドルハイの機種も、モトローラブランドの魅力を存分に味わえる、狙い目の端末だと筆者は考える。今回は価格的に近しい最新端末「Moto X4」と「Moto G5S Plus」を詳しく解説していこう。

「Moto X4」(左)と「Moto G5S Plus」(右)

「Moto X4」と「Moto G5S Plus」が狙い目な6つの理由

理由1:デザイン | 老舗のアイデンティティを受け継ぐ、個性が光る外観

大画面と持ちやすさを追求した結果、最近のスマートフォンのデザインがどれも似通ってきているのはご存知の通り。モトローラも「Moto X4」では5.2インチ、「Moto G5S Plus」では5.5インチの大画面を採用。かつ薄さはいずれも8ミリ前後とスリムさ、持ちやすさを追求しているが、その上で、携帯電話時代から続くデザインアイデンティティもしっかりと受け継がれているのが、ほかとは大きく異なる点だ。

ややアールの強い上下のラインや、丸く囲まれたダブルレンズを軸とするシンメトリーな背面のデザインに、往年の携帯電話の名機「Motorola RAZR」に通じるものを感じるのは、きっと筆者だけではないはず。ちなみにブランドロゴも、当時と同じ。余計なものを削ぎ落としながらも、きちんと主張するデザインになっているのはさすがというほかない。

シンメトリーな背面の中央少し上にブランドロゴを配置。「Moto G5S Plus」はロゴの丸い部分がへこんだデザインになっている

背面の鏡面仕上げが微妙なアールを描いた曲線と合わさって美しい質感となる「Moto X4」

一方「Moto G5S Plus」は同じくアールを描く背面だが、マットな質感でだいぶ印象が異なる

理由2:ピュアAndroid | 次世代Androidへのアップデートもしっかり保証

無駄がないのはデザインだけでなく、中身も同じだ。モトローラのスマートフォンには、余計なカスタムやプリインストールアプリのない、ほぼ素のままの「ピュアAndroid」が採用されている。ピュアであるということは、それだけアップデートへの対応もしやすいということ。実際にモトローラは、アップデートの配信が早いと定評もある。また、「Moto X4」「Moto G5S Plus」とも出荷時の搭載OSはAndroid 7.1.1(Nougat)だが、Android 8(Oreo)へのアップデートがきっちり保証されているのも注目すべき点。いち早く最新のOSが利用できるのは、新機能を早く試せるだけでなく、セキュリティの観点からも重要なポイントと言える。

ブラウザはChrome、ギャラリーはGoogleフォトなど、メーカー独自アプリをほとんどプリインストールされていない、素のAndroid OSとなっている

理由3:スペック | クセがなく使いやすい、お手本のようなスペック

OSがピュアであるだけでなく、スペックもいい意味でAndroidスマートフォンのお手本のようだ。「Moto X4」はCPU、GPU性能が大きく向上した最新のSnapdragon 630、「Moto G5S Plus」は省電力性能に定評のあるSnapdragon 625を搭載。いずれもミドルレンジに位置づけられるチップセットだが、Androidに最適化されたオクタコアCPUは、少し前のハイエンドをも凌ぐ性能で、ストレスのない操作性やアプリの動作を可能にしている。メモリーはいずれも4GBで、「Moto X4」は64GB、「Moto G5S Plus」は32GBの内部ストレージに加え、microSDカードにも対応。このほか、今やスマートフォンに欠かせない機能となった指紋センサーも、もちろん搭載する。

ディスプレイ下に指紋センサーを配置。ホーム、戻る、履歴キーはディスプレイ内に表示されるが、指紋センサーを使って同様の操作をすることもできる

理由4:対応キャリア | auネットワークを含む国内3キャリアをカバー

スペックでいえばもうひとつ、対応周波数帯の広さも大きな魅力だ。国内ではドコモ、ソフトバンクだけでなく、auのネットワークにも対応。auに関してはVoLTEもサポートする。最近はauのネットワークを採用するMVNOも増えていることから見ても、選べるプランの多さは大きなアドバンテージと言えるだろう。さらに大手3キャリアが4Gに使用する、バンド1、3、8、18、19、26、28をしっかりカバーしているだけでなく、欧州で4Gに使用されているバンド7に加えて、「Moto X4」では米国で4Gに使用されているバンド2や4までカバーしている。なお両機種ともDSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)に対応し、国内でも海外でも、2つのキャリアの同時待ち受けが可能だ。

2つのSIMスロットを搭載し、DSDSにも対応。ただし1つのスロットはmicroSDとの排他利用となる

理由5:カメラ | 背景をぼかした写真も簡単なデュアルカメラ搭載

デザインのところでも触れたように、「Moto X4」は1200万画素+800万画素、「Moto G5S Plus」は1300万画素×2のデュアルカメラを搭載する。撮影モードで「深度の有効化」を選ぶと、2つのカメラを使って被写界深度を調整した撮影が可能。背景をぼかした、いわゆる一眼レフカメラのような雰囲気のある写真が手軽に撮影できる。

同様の撮影機能は最近のハイエンドモデルでも見かけるが、編集時に保存された被写界深度情報を活かし、様々な加工を楽しめるのはモトローラならではの機能。具体的には撮影済みの写真の被写界深度をあとから変更できるほか、機能としてはまだベータ版だが一部分だけ色をモノクロにしたり、背景を消して別の背景と合成するといったことも可能。まさに遊び心溢れる、モトローラらしいカメラ機能と言える。

「Moto X4」は1200万画素(F値2.0)と、広角800万画素(F値2.2)のデュアルカメラを搭載

「Moto G5S Plus」のカメラは1300万画素×2でいずれもF値は2.0。動画は4K撮影も可能

「深度の有効化」を選んで撮影すると、編集時に「深度エディタ」が選択可能に。「深度エディタ」ではフォーカスを変えたり、特定の層だけモノクロにする、特定の層だけ切り抜くといった加工が簡単にできる

いずれもプロフェッショナルモードを搭載し、細かな設定が手動で行えるマニュアル撮影が可能

Moto X4の作例

Moto G5S Plusの作例

理由6:独自機能/一度使ったら手放せなくなるMoto アクションが便利

最後のポイントは、地味ながら普段の使い勝手を大きく向上させる、モトローラの独自機能の存在だ。画面オフ時にさりげなくメッセージなどを通知してくれる「Moto ディスプレイ」のほか、特に筆者のイチ押しなのが「Moto アクション」。文字通り簡単なアクションで操作ができるというもので、たとえばスマートフォンを持って手首を2回ひねればカメラが起動する。真っ暗で灯りが欲しいときは、2回振り下ろすとライトが点灯。ほかにも着信時に端末を持ち上げると音を振動に切り替え、画面を下にしておくと無音化できるなど、かゆいところに手が届くアクションを設定できる。慣れると他メーカーの機種では物足りなくなること間違いなしだ。

アクションはいずれも簡単に覚えられるものばかりで、使っているうちにごく自然な動作になっていく。特に手首を2回ひねるだけで瞬時にカメラが起動するのは、撮りたいシーンを逃さず便利だ

Moto X4とMoto G5S Plus、どっちをえらぶべき?

最先端のハイエンドモデルでこそないものの、最新の機能とデザイン、使いやすさに加えて、遊び心も満載と、モトローラスマホの魅力が詰まった「Moto X4」と「Moto G5S Plus」だが、どちらを選ぶべきかは悩ましい。位置づけとして後者はよりコストパフォーマンスを重視したシリーズとなり、前者はハイエンドの「Moto Z」シリーズと「Moto G」の中間となっているが、前述の通り「Moto G5S Plus」もデュアルカメラや対応周波数など十分な性能を備えていて、甲乙付けがたい。そこでここからは、両機種の違いと選ぶポイントをチェックしていこう。

好みの分かれるメタルな「G5S Plus」とガラスの「X4」

まずは見た目。両機種ともモトローラのデザインアイデンティティを受け継いでいるのは前述の通りだが、「Moto G5S Plus」がマットなフルメタルボディを採用しているのに対して、「Moto X4」は背面にすっきりとしたガラスを使用と、まったく異なる仕上がりになっている。サイズは5.5インチ FHDディスプレイの「Moto G5S Plus」の方がやや大きく、高さ約153.5×幅約76.2×厚さ約8.04mm(最薄部)で、重さは約170g。一方5.2インチFHDの「Moto X4」は、高さ約148.4×幅約73.4×厚さ約7.99mm(最薄部)で、重さは約163gだ。見やすさでは、より大画面の「Moto G5S Plus」、コンパクトさでは「Moto X4」ということになる。

実際に両機種を並べて見ると数字ほどの大きさの違いは感じられない。このほか「Moto X4」はコネクタがUSB Type-Cでヘッドフォンの端子が下、「Moto G5S Plus」はコネクタがmicroUSBでヘッドフォンの端子が上、という違いもある

豊富な撮影モード&スマートカメラを搭載する「X4」

いずれもデュアルカメラを搭載し、被写界深度を使った様々な加工が楽しめる両機種だが、実はデュアルカメラの中身はまったく別モノ。「Moto G5S Plus」はカラー&モノクロ、「Moto X4」は標準&広角という構成で、撮影時にワンタッチでワイドへの切り替えができるようになっている。一部分だけ色を残したモノクロ写真が撮れる「スポットカラー」、被写体の顔を認識して加工を加えられる「顔フィルタ」など、より遊び心のある撮影モードが選べるのも「Moto X4」の特長。

カメラの機能面では、QRコードを読み取ったり、2次元バーコードを読み取って商品の情報を検索したりすることは両機種で可能だが、製品やランドマークなどの被写体を認識して「それが何であるか」の情報を表示する「スマートカメラ」機能は「Moto X4」のみに搭載されている。

「Moto X4」では1200万画素の標準カメラ、800万画素の広角カメラをワンタップで切り替え可能。写真の構図をがらりと変えられる

「Moto X4」搭載の「スポットカラー」では、タップした一部分だけ色を残した、おもしろいモノクロ写真が手軽に楽しめる

撮影時に専用ボタンをタップすると、「スマートカメラ」が被写体を認識。製品を認識してオンラインショップから購入できたり、名刺から情報を読み込んでアドレス帳に登録するといった使い方ができる

「Moto G5S Plus」は広角800万画素、「Moto X4」1600万画素のフロントカメラを搭載。両機種共通のビューティーモードやパノラマセルフィーに加え、「Moto X4」では「顔フィルタ」を使ったおもしろいセルフィーも撮影できる

クラウド活用で大容量が不要なら「G5S Plus」で十分

メモリーはどちらも4GBだが、前述のように内蔵ストレージは「Moto X4」が64GB、「Moto G5S Plus」が32GBとなっている。

2つのSIMが収納できるSIMスロットの片方はmicroSDと排他構造のため、microSDを使用せずにDSDSを活用するなら、より大容量な「Moto X4」を選んだ方がいいだろう。またmicroSDを使用する場合も、「Moto G5S Plus」が最大128 GBまでのmicroSDに対応しているのに対し、 「Moto X4」は最大2TBまでのmicroSDが使用可能となっている。こちらもより大容量のデータを保存したいなら「Moto X4」ということになるが、最近は適時クラウドストレージへアップロードし、端末にはデータを貯め込まない使い方も広がっている。その場合は「Moto G5S Plus」のストレージでも十分間に合うはずだ。

防水スマホが欲しいなら、IP68相当の「X4」一択

最後に両機種の最大の違いとも言えるのが、耐水性能。「Moto X4」はスマートフォンとしては最高レベルの、IP68相当の防塵、防水に対応している。このIP68という数字が示すのは、水の中でも使えるくらいの防水性能を備えているということ。雨の日も安心して使えるスマートフォンが欲しいなら防水対応の「Moto X4」がおすすめだ。

さらに「Moto X4」には、「Moto G5S Plus」はない「Moto Key」という機能も。「Moto X4」の指紋認証を使って、PCのログインができるようになるというもので、専用ソフトウェアのインストールなどの事前準備は必要なものの、生体認証機能のないPCにも素早いログインが可能になる

結論:機能の「X4」とコスパの「G5S Plus」、どっちを選んでも間違いなし!

このほか「Moto X4」は、同時に4台までのBluetoothヘッドフォンと接続でき、スマホのサウンドを友人とシェアすることも可能。このように機能にフォーカスすれば、「Moto X4」の方がより多機能なのは明らかだ。一方で同じくデュアルカメラを搭載しながら、コストパフォーマンスに優れるのは「Moto G5S Plus」。防水をはじめ、求める機能がそちらにしかないのであれば「Moto X4」、そうでなければよりコスパの高い「Moto G5S Plus」というのが、順当な選び方になるだろう。いずれにしても間違いないのは、両機種とも老舗のこわだりと遊び心が詰め込まれた、モトローラクオリティのスマートフォンだということ。「Moto X4」と「Moto G5S Plus」のどちらを選んでも、後悔するようなことはないはずだ。