レビュー

薄さ10.6mm、フォルダブルスマホの未来が見える一台「Galaxy Z Fold Special Edition」レビュー by 山根康宏

「Galaxy Z Fold Special Edition」

 サムスンは本体の厚さを薄くした折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold Special Edition」を2024年10月に韓国で発表した。

 本モデルは韓国のみの発売であり、グローバル市場への投入は予定されていない。すでに各国で販売されている折りたたみ(フォルダブル)モデル「Galaxy Z Fold6」とはどのように違うのか、本レビューでは両モデルの比較も行った。

現行モデルを大幅に薄くした「Galaxy Z Fold Special Edition」

「Galaxy Z Fold Special Edition」は、チップセットにクアルコムのSnapdragon 8 Gen 3を搭載するハイエンドモデルだ。本体を横向きに折りたたむモデルであり、閉じればスマートフォンサイズ、開けば小型タブレットとして使用できる。メモリーは16GB、ストレージは512GBでバッテリー容量は4400mAhだ。なお韓国での価格は278万9600ウォン(約31万円)となっている。

 閉じたときのディスプレイサイズは6.5インチ、解像度は1080×2520ピクセルでアスペクト比は21:9となる。閉じた状態でもスマートフォンとして使いやすい。

 また、背面のカメラは広角レンズに2億画素センサーを搭載し、フラッグシップモデルとなる「Galaxy S24 Ultra」と揃えてきた。超広角カメラは1200万画素、3倍望遠・カメラは1000万画素で、これはGalaxy Z Fold6と同等だ。

閉じると6.5インチのディスプレイが使える
背面には2億画素カメラを搭載
本体は横向きに開くことができる
USB Type-C端子が本体ギリギリに納まっている

 閉じたときの本体サイズは157.9×72.8×10.6mm。Galaxy Z Fold6は153.5×68.1×12.1mmであり、厚さは1.5mm薄くなった。

 側面の周囲には、縦に長いスリットが複数入っており滑り止めにもなっている。一方、ヒンジ側はGalaxy Z Fold6と同等の表面仕上げだ。

 重量は236gで、Galaxy Z Fold6の239gより3g軽くなった。

閉じると10.6mmと薄い
ヒンジ側の処理はGalaxy Z Fold6と同等

 本体を開くと8インチ、1968×2184ピクセルのディスプレイが現れる。Galaxy Z Fold6までは7.6インチだったので明らかに大きくなったことを実感できる。

本体を開くと8インチディスプレイとなる

 なお、メインディスプレイのフロントカメラはこれまでディスプレイ下に埋め込まれて見えないUDC(アンダーディスプレイカメラ)を採用していたが、「Galaxy Z Fold Special Edition」は一般的なパンチホール型になっている。解像度は同じ400万画素と性能は低めだ。

メインディスプレイのカメラはパンチホール型だ

 本体を開いたときの大きさは、157.9×142.6×4.9mm。Galaxy Z Fold6の153.5×132.6×5.6mmと比べると0.7mm薄くなっている。実際に手に持ってみると本体全体のサイズが一回り大きくなったこともあり、より薄さを実感できる。

開いた状態の裏側
開いたときの厚さは4.9mm

Sペンには非対応、ディスプレイの「折り目」は目立たない

 メインディスプレイの大型化と本体の薄型軽量化を実現した「Galaxy Z Fold Special Edition」であるが、ディスプレイを見るとヒンジ部分のいわゆる折り目があまり目立たないことがわかる。

 折りたたみスマートフォンを使い始めると、実際は気になるものではないが、暗い画面の時なども折り目が見えにくいため、より1枚のディスプレイを使っているという気持ちにさせてくれる。

メインディスプレイのヒンジの折り目はより目立たなくなった

 一方で、これまでの機種から性能を落とした部分がある。

 それは、スタイラス「Sペン」の対応だ。Sペンによる手書き入力ができなくなったため、メモを取ったりイラストを描くといった用途には向かない製品となっている。

Sペンには非対応、手書き入力はできない

 さて、本体が薄くなったことでヒンジの強度はやや硬くなった印象で、開閉する際には今までよりも若干力を加える必要があるように感じられた。

 とはいえ動きはスムーズであり、ヒンジを自由な角度で止められる「フレックスモード」もかなり広い角度で固定できる。特に写真を撮るときは三脚が不要になるし、ビジネス用途では急なビデオ会議でも机の上に本体を置いて画面をL字に開けば事足りる。フレックスモードは便利な機能だ。

ヒンジの開閉はやや硬くなった
フレックスモードなら三脚不要でカメラが使える
ここまで閉じた状態でも固定できる
大きく開くとカメラの重さで倒れてしまうため、これくらいが実用的な角度だ

 大きくなったディスプレイを使ってみると、2つのアプリをメインディスプレイに同時に表示してもどちらも十分な幅があり、マルチウィンドウがより使いやすくなった。Galaxy ZシリーズのマルチウィンドウUIは使いやすいとの評判をよく聞くが、より大きなディスプレイになったことでユーザー体験は大きく向上している。そして本体を閉じたままでもディスプレイが細すぎることなく使いやすい。

2つのアプリも違和感なく表示できる
閉じれば普通のスマートフォンと変わらない感覚で使える

Galaxy Z Fold6とサイズを比較

 それでは、Galaxy Z Fold6とサイズを比較してみよう。

 以下の写真は、どれも左側がGalaxy Z Fold6、右側が「Galaxy Z Fold Special Edition」だ。

 まずは閉じた状態の比較。「Galaxy Z Fold Special Edition」が一回り大きいことがわかる。

「Galaxy Z Fold Special Edition」(左)が大きい

 厚さを比べると写真ではあまりわからないかもしれないが、実際に持ってみると「Galaxy Z Fold Special Edition」の薄さを手のひらの上で感じることができる。

厚さの比較。「Galaxy Z Fold Special Edition」(左)が薄い

 開いたときの大きさはどれくらい違うだろうか。「Galaxy Z Fold Special Edition」の上にGalaxy Z Fold6をおいてみると、ディスプレイの大きさの差がそのまま本体サイズの差になっていることがわかるだろう。

「Galaxy Z Fold Special Edition」の上にGalaxy Z Fold6を置いてみた
2台を左右に並べて比較

 開いたときの厚みの差も同様に写真で見る以上に実際に手に持ってみると薄型化が図られたことを実感できる。特にディスプレイの開閉操作を行うときや、USB Type-C端子にケーブルを挿すときなどに、薄さの違いがよくわかる。

開いたときの厚みの差。写真以上に薄く感じる
USB Type-C端子を使うとき厚みの差がよくわかる

 「Galaxy Z Fold Special Edition」の海外展開は無いものの、来年以降のGalaxy Zシリーズにこの薄型技術が採用されることは間違いないだろう。折りたたみスマートフォンは厚くて重いもの、という概念を崩してくれる新型Galaxy Z Foldの登場に期待したい。

折りたたみスマートフォンも薄型軽量化の時代がやってきた