レビュー
腕時計型で使える「キッズケータイ コンパクト SK-41D」を試した
2024年7月26日 00:01
NTTドコモが2024年7月に発売した「キッズケータイコンパクト SK-41D」(セイコーソリューションズ製)を短期間、借り受けて試す機会を得たので、その使い勝手を紹介します。
「キッズケータイコンパクト SK-41D」は、単体で4G LTE通信に対応し、音声通話やメッセージ送受信が行える端末で、従来の「キッズケータイ」というよりは、見た目はスマートウォッチに近く、小学校低学年~高学年向けの“キッズスマートウォッチ”と言えるでしょう。
子ども向けの見守り機能を備える携帯端末は、いわゆる“GPS端末”と呼ばれるような、音声通話/メッセージ送信などには非対応の位置情報のみを通知するデバイスや、NTTドコモも販売する通話とメッセージ機能を備えた「キッズケータイ」など、いくつか種類があります。その中で「キッズケータイ コンパクト SK-41D」は、GPS系デバイスとキッズケータイの中間的な位置づけのデバイスです。
本体のボタンは電源ボタンとSOSボタンのみで、操作は基本的にタッチパネルを触って操作します。ホーム画面には、あらかじめ設定した連絡先を最大3つまで、連絡先のショートカットとして登録できます。
本体カラーはブルーとラベンダー。今回お借りしたのはラベンダーで、本体とバンドのカラーは統一されています。
バンド部の素材はナイロンで、手触りが良い仕上げです。また、バンドは面ファスナーで、小学校低学年でも簡単に付け外しができます。今回借り受けた物品には含まれませんが、専用ケースと組み合わせて首掛けスタイルで使ったり、ランドセルなどにつけて使うこともできます。
公園で遊んでいる小学生ぐらいの子どもが、音声通話に対応するキッズケータイなどの端末を持ちこんでいるシーンを見かけます。しかし、走り回ったり遊具で元気に遊ぶ年齢の子どもは、キッズケータイを木に吊して置いておいたり、椅子やベンチに置いたまま遊んでいることも少なくありません。
キッズケータイはスマートフォンと比べると本体代が抑えられていますが、遊びに夢中になっていると、ケータイにメールや着信があっても気付かないことも多いでしょう。
その点、腕時計型の「キッズケータイコンパクト SK-41D」は、装着してさえいれば、着信やメールを見落とす心配はほぼありません。
ドコモオンラインショップでの価格は2万8930円、キッズケータイ向けの「キッズケータイプラン」を契約すると基本料金は月額550円で、国内通話は30秒あたり22円、同一ファミリー割引グループ内の音声通話は無料、国内宛のSMSは送受信無料です。
項目 | 内容 |
価格 | 2万8930円 |
キッズケータイプラン利用料 | 月額550円 |
国内通話量 | 30秒あたり22円 同一ファミリー割引グループ内の通話は無料 |
国内宛SMS | 送受信無料 |
SMSは、+メッセージを使ったメッセージ送受信が可能ですが、もともとカメラを搭載していないため、本機から写真、動画などを送ることはできません。
カメラ非搭載など、もともとハードウェア的に機能が限定されている上に、やりとりできる相手も、あらかじめ連絡先に登録した相手のみに限られます。
登録されていない電話番号からの発信は本機側に着信履歴としても残りませんので、子どもが誤って、または興味を持って折り返しで電話をかけてしまう心配も不要です。
また、連絡先への登録も保護者のアプリを使うことが基本です。適切に設定をしない限り、音声通話やメッセージだけでなくビデオ通話をかけることもできてしまうスマートフォンとの違いで、見守りが必要な年齢の子どもに安心して渡せる仕様です。
+メッセージを使ったやりとりは、文字を入力してメッセージを送信するほかに、音声を吹き込みしてボイスチャット的なやりとりもできます。
「あいうえお」がわかっていない場合でも、会話ができる年齢であれば、電話をしなくてもコミュニケーション可能です。
関連して、本体のメニュー表示は漢字/ひらがなから選べるため、「ひらがな」に設定すれば、漢字がわからない年齢でもある程度メニューを理解できるでしょう。
もう一つ、独自の充電端子は本体にマグネットで吸着する仕様ですが、マグネットの大人向けのスマートウォッチと比べてかなり強くなっているので、「充電したつもりが充電されていなかった」とか、雑に扱ったことで充電ケーブルが外れてしまうという心配はほぼ無いでしょう。
ケーブルが汎用的な仕様ではないため、外出先で急に充電が必要になる場合には対応が難しいのですが、そもそもそういったトラブルが起きにくく設計されています。
本体サイドにある「SOS」ボタンを押すと、あらかじめ指定した緊急連絡先が応答するまで繰り返し発信し、緊急連絡先が応答すると「緊急通話です、緊急通話です、緊急通話です」と、合成音声による緊迫感のあるガイダンスが流れ、緊急事態であることを伝えます。
このとき、イマドコサーチの契約者(探す側)に現在地を通知することができ、「どこで」緊急事態が発生したのかをあわせて通知できます。
緊急地震速報や大津波警報などの命に関わる緊急情報を配信するエリアメールにも対応しています。保護者の目を離れて移動中に自然災害などに遭遇してしまう場合でも、その情報をいちはやく入手できます。
ちょうど、試している期間中に(誤報ですが)東京都港区より発出された避難所開設情報のエリアメールを受信しました。
一方で、一定間隔で現在地を取得する「ちょい前かくにん」がデフォルトではオフになっています。
筆者は、子どもの習い事で定期的にドコモのネットワークが圏外になる場所を訪問しますが、ネットワーク経由で現在地を取得する「イマドコサーチ」では、探す方(=保護者など)が探す瞬間に、探される端末がネットワーク圏内にいる必要があるため、「ちょい前かくにん」なを有効にするなど別の手段を用意していないと、現在地に関する情報が得られなくなってしまいます。
もっとも、筆者の生活圏内でドコモが圏外になるのはその1カ所のみなので、子どもに「キッズケータイコンパクト SK-41D」を持たせた状態でイマドコサーチがエラーになる場合、「圏外になる場所にいる」可能性が高いと推測できる側面もあります。
「ちょい前かくにん」が標準でオフになっている理由は、バッテリー消費への影響を考慮してのことかもしれません。
そもそもドコモのネットワークが圏外になるエリアは限られることや、連続動作時間が重要である、という考え方なのでしょう。ドコモの4G LTEネットワーク圏外となるエリアを訪問する機会が多い場合には注意が必要です。
「家に帰ったよ」を通知するための機能として、あらかじめ設定したWi-Fiネットワークを検知すると、保護者向けの管理アプリ「ツナキッズ」に通知することが可能です。
この機能は「帰宅通知」とあるように、基本的には帰宅を通知するための機能ですが、Wi-Fiはあくまでも特定のネットワークを検知したことがトリガーとなり通知されるため、設定を工夫すれば自宅への帰宅以外にも特定の場所を通過したことを、保護者のスマートフォンに通知できます。
この機能を実現するために、「キッズケータイコンパクト SK-41D」はハードウェア的にはWi-Fiが搭載されていますが、スマートフォンのようにWebブラウザを搭載して好きなサイトを閲覧したりすることはできません。