レビュー
「Pixel 6a」を徹底レビュー! 魅力的な機能を紹介
2022年8月23日 00:00
Google(グーグル)から発売された「Pixel 6a」は、Googleストア直販価格で5万3900円と最近のスマートフォンでは購入しやすい価格ながら、スペックや機能のバランスがいいと評判になっているミッドレンジモデルだ。今回はその「Pixel 6a」について、あらためてチェックしていこう。
大きさは、 約71.8×152.2×8.9mm で、最近のスマートフォンとしてはコンパクトな部類。先に発売されていた「Pixel 6/6 Pro」は背面カメラ部分がかなり厚く、本体上部のほうが重たいバランスが不評だったが、Pixel 6aでは実測で約9.7mmに抑えられており、重量バランスも良い。重量自体も約178gと樹脂ケースをつけても200gを切るので、使いやすい重量とバランスに仕上がっている。
本体素材は背面がガラスでフレームは金属と高級感がある。IP67に準拠した防じん、防水性能も有しているので、水気のある場所や雨天の屋外などでも安心して使える。
ディスプレイは6.1インチ(1080×2400ドット)の有機ELパネルを採用。エッジディスプレイなど特別な仕様はないが、ナローベゼルで今時のスマートフォンらしいのデザインとなっている。
最近のスマートフォンとしては6.1インチクラスだとコンパクトな部類になるが、そのぶん ピクセル密度は429ppiと高精細 なので、ドット感もなく綺麗な印象。リフレッシュレートは最大60Hzなので、3Dゲームなどをするユーザーには気になるかもしれないが、一般的な画面のスクロールは違和感ないので、通常の使い方なら問題ないレベルだ。
指紋認証センサーはディスプレイ内蔵タイプとなっている。筆者の利用した限りでは問題なく使えているが、登録時のタッチ回数が多く、他社製品と比べると、しっかりと指をタッチしないと認証しないケースもある。ディスプレイ保護のためガラスフィルムを貼ると、認証しにくくなるというネットでの報告も見かけるので、使用時には注意したい。
本体右側面には電源ボタンと音量ボタンを配置。ただし 一般的なスマートフォンとはレイアウトが逆 で、電源ボタンが上、音量ボタンが下となっている。指紋を登録していれば、画面タッチでスリープを解除できるため、そこまで不便さは感じないものの、ほかの他社製スマートフォンから移行してきた場合は、慣れるまで使いにくさを感じるかも。
プロセッサーはGoogle独自開発の「Google Tensor」を搭載。これも上位モデルの「Pixel 6/6 Pro」と同じだ。これまでモデル名に「a」がつくPixelシリーズは上位モデルよりも性能的には下位のプロセッサーを搭載するケースが多かったが、今回は 現行の上位モデルと同じ ということで、それだけでもおトクなモデルといえる。
メモリーは6GBで内蔵ストレージは128GB。実際に使ってみた感想としては、メモリーに関しては6GBでも十分で、動作やアプリの切り替えでもたつくようなことはない。ただしストレージに関しては、microSDには非対応のため、写真や動画を多く撮るユーザーには128GBだと長期間使うには若干心許ない。
内蔵ストレージがデータで圧迫されてきた場合、クラウドサービスや外部ストレージ、パソコンとの連携で定期的なデータ管理が必要となりそう。ただし本体底面のType-Cは「3.1 Gen 1」に対応しているので、データの高速転送に対応。Type-C接続可能なSSDやUSBメモリーなどが使えるので、そこまで管理がめんどうというわけではない。
発売時点では、Android 12を搭載している。GoogleはPixelシリーズのOSアップデート提供保証期間を3年としているので、Pixel 6aは2025年7月まで保証期間となっている。また、Pixel 6/6 Proからセキュリティ アップデートの提供保証期限も3年から5年変更している。Pixel 6aは2027年7月までがアップデートの提供保証期限となっているので、長期間使用したいユーザーも安心だ。
モバイル通信は5GのSub 6に対応。対応バンドはn1/2/3/5/7/8/12/20/25/28/30/38/40/41/48/66/71/77/78で、ドコモが採用するn79は利用できない。ドコモ回線の場合、5Gをまったく使えないというわけではないが、エリアとしてはほかのキャリアよりも制限される。
SIMスロットはピンで押し出すトレー式で本体左側面に配置。シングルスロットで、microSDも装着できない。eSIMにも対応しているので、物理SIMとeSIMのデュアル運用も可能だ。
そのほかFeliCaにも対応しているので おサイフケータイも利用できる ため、これまでモバイルSuicaなどを使っているユーザーも問題なく移行できる。
カメラ
カメラは、背面が広角カメラ(12.2メガピクセル、F/1.7、77度) と、超広角カメラ(12メガピクセル、F/2.2、114度)の組み合わせで、望遠カメラは搭載していない。上位モデルのPixel 6/6 Proとくらべて、画素数もセンサーサイズ小さくなってはいるものの、Googleが得意とするコンピュテーショナルフォトグラフィーのおかげで、夜景なども含めて十分きれいな写真が撮影できる。
カメラアプリの機能も、定番のポートレートや夜景モードを搭載。また設定から「RAW+JPEG」での撮影にも対応。RAWは1ファイルで10MB以上になるため、ストレージを圧迫するものの、あとから現像アプリで細かく調整したいというユーザーにはうれしい機能だ。
また、RAWファイルは、Googleフォトへの自動同期対象外のフォルダーに保存される(設定で対象に変更可能)ので、Googleフォトの容量を圧迫する心配はない。
以下はPixel 6aで撮影した作例。いずれもレンズを向けたらそのまま撮影して、明るさやピントは調節していない。それでも 発色が良く精細感 もある。こだわれば切りがないが、普段使いのスマートフォンカメラとしては申し分ないレベルだ。
また動画は4K/60fpsまで撮影可能。手ぶれ補正が弱く、若干かくつきは気になるが、普段使いなら問題ないレベルだ。
文字起こし、翻訳機能
Pixelシリーズの人気を後押ししているポイントとして、 AI機能を使った音声の文字起こしや自動翻訳 がある。Pixel 6aももちろん対応しており、レコーダーアプリでは、日本語の自動文字起こしがオフラインの状態でも使用できる。
ちなみに本体マイクの数が2個と、Pixel 6/6 Proと比べて1つ減っているが、レコーダーアプリを使っている限りでは、そこまで性能差は感じられない。
この自動文字起こしや翻訳機能は、レコーダーアプリ以外でも利用可能。基本的にはPixel 6aのスピーカーから出力される音声なら、たいていのアプリで対応する。音量ボタンを押すと、音量レベルの下に字幕表示用のボタンがあるので、それをタップすればオーケー。
YouTubeはもちろん通話アプリでも利用可能。例えば相手が英語で話している通話の場合、文字起こしと翻訳機能をオンにすれば、 ディスプレイに相手の音声が日本語に翻訳されたテキスト が表示される。この文字起こし・翻訳機能だけでも職種によっては重宝する機能なので、それが無料で使えるのはうれしい。
写真編集機能
また、写真に写り込んだ人物などをAIが判定して消せる消しゴムマジックなど、写真の編集機能も利用可能だ。Pixel 6aの登場に合わせてあらたに 「カモフラージュ」という処理 も追加。選択した被写体を消すのではなく、背景になじむような色に変えるという処理になっている。
これらの機能はどこまで独自のプロセッサー「Google Tensor」によるものかは不明。オフラインでの文字起こしは旧モデルのPixel 5などクアルコム製のプロセッサーでも対応している。ちなみにGoogleにも確認しており、文字起こしの機能はGoogle Tensorによるものではなく、Google Tensorによってより効率良く処理できるようになっていると回答を得ている。
GoogleはAndroidというソフトウェアプラットフォームを提供している会社でもあるので、「Google Tensor」を搭載していないモデルでも利用可能であれば、他社製のスマートフォンにもこれらの機能を解放して欲しいところだが、現状ではPixelシリーズのみとなっている。そのため、現状では低価格なPixel 6aでこれらの機能が利用できるのは魅力のひとつと言える。
「Pixel 6a」は、上位モデルと同じプロセッサーを搭載し、基本スペックもカメラ性能も普段使いには問題なく、しかも長期間安心して利用できる。「普通のスマホ」としては全方向で優等生的な仕上がりになっているモデルだ。