レビュー
「Xperia 10 II」レビュー
トレンドを押さえXperiaらしさも盛り込んだスタンダードモデル
2020年8月11日 06:00
ソニーモバイルコミュニケーションズから発売になったAndroidスマートフォン「Xperia 10 II(マークツー)」。
国内では、NTTドコモ、au、ワイモバイル(Y!mobile)から提供されており、価格は会社ごとに違うものの4万円~5万円台となっている。
最近では10万円を超える機種も珍しくない中、安価ながらも上位モデルに瓜二つのデザインや機能で注目を集める最新モデルをお借りすることができたのでレビューをお送りする。
手への収まりのいい本体
Xperia 10 IIは、その名の通り、2019年モデルとして海外で発売されていたXperia 10の後継機種にあたる。
国内向けではXperia 10をベースとした「Xperia 8」が2019年末に発売されているため、その後継機種と考えてもいいだろう。
基本スペックとしてミドルレンジのチップセットのクアルコム製「Snapdragon 665」、4GBのメインメモリー(RAM)、64GBの内蔵ストレージ(ROM)を搭載し、おサイフケータイや防水機能にも対応している。
エントリーモデルでは物足りない、かといって10万円前後のフラッグシップモデルほどの性能までは求めない、といった人にちょうどいい1台だ。
Xperia 10 IIでまず目を引くのがディスプレイ。
2019年モデルの「Xperia 1」を皮切りに、ソニーモバイル製のスマートフォンで積極的に採用されてきた、縦に長い21:9のアスペクト比のディスプレイを「Xperia 10 II」でも搭載。約6.0インチで、発色が鮮やかな有機ELディスプレイだ。
約6.0インチと聞くと本体が大型に感じてしまうが、本体サイズは約69(W)×157(H)×8.2(D)mmで、幅が70mmを下回りスリムなため実際に手に持った際の収まりはいい。
ボディカラーは今回紹介するミント以外にブルー、ブラック、ホワイトの4色がラインアップされている。
背面はコーニング(Corning)社のゴリラガラス(Gorilla Glass)6を採用したガラスパネルで光沢感のある仕上がりで、どのカラーを選んでも透明感や高級感がある。
側面は樹脂製でマットな仕上げになっており、背面との質感の違いを楽しめるほか、さらっとした手触りは本体幅とあわせグリップ感の向上に寄与している。
本体右側面に設けられた電源ボタンは指紋認証センサーと一体型で、本体を握った際に自然に触れる指を設定しておくことでスムーズにロック解除が行える。
本体下部に設けられた外部接続端子はUSB Type-Cで、USB PowerDelivery(USB PD)での急速充電にも対応している。
また本体上部には3.5mmのイヤホンマイク端子が設けられている。
Bluetooth接続のイヤホンの価格は以前に比べ安く、またフルワイヤレスイヤホンもここ数年で選択肢は大きく広がってはいるが、Xperia 10 IIの比較的、手頃な本体価格まで含めて考えると、機種の買い替えはともかく「周辺機器の買い替えはできるだけ抑えたい」と考えているユーザーにとって、これまで使っていた有線のイヤホンマイクを引き続き使えるのは魅力的だ。
トレンド機能を押さえたトリプルカメラ
Xperia 10 IIのカメラは「超広角(約800万画素/16mm/F2.2)」「標準(約1200万画素/26mm/F2.0)」「望遠(800万画素/52mm/F2.4)」で構成されるトリプルカメラ。
特に超広角カメラで撮影できるダイナミックな写真はSNSでの人気も高く、望遠ズームと違い「超広角カメラでないと撮れない写真」は新しいスマートフォンを選んだ際の体験としての満足度が高い。
さっそくだが、以下にXperia 10 IIで撮影した作例を紹介していく。
まずは日中の作例から。晴天下など光量が十分な中での撮影は申し分なし。
松の葉のような細かい被写体のディテールも潰れることなく捉えられおり解像感も高い。
ただ、超広角の作例の空のように被写体の中で極端に明るすぎるものは白飛びしてしまう場合もあるため、屋外での撮影では撮影後に一度撮影した写真を確認してみるとミスショットを減らせるだろう。
続いて夜景の作例。オートモードでの撮影でも十分に夜景の雰囲気を捉えることはできている。
しかし照明など、もともと明るいものは白飛びしてしまうため、Xperia 10 IIでの夜景撮影には搭載された「ナイトモード」を使っての撮影がオススメだ。
見比べてみるとわかるが、オートで撮影した際に白飛びしていた箇所がハッキリと写せている。もし夜景撮影を行う場合はぜひ試して欲しい撮影機能だ。
またスマートフォンのカメラの出番として多い食事の撮影。
屋内かつ低照度の場所や、暖色の照明下での撮影になることが多くスマートフォンのカメラが苦手とするシチュエーションのひとつだ。こちらもオートで撮影したが、極端に黄色くなったり青くなったりすることもなく、美味しそうに撮影することができた。
Xperia 10 IIのカメラはナイトモード以外にも多数の撮影機能・モードを備えている。
こちらは背景ぼかしモードでの作例で、狙ったピントを合わせた場所以外を被写界深度の浅いレンズで撮影したかのように撮影することができる。
「Xperia 1 II」のPhotography Proのような本格的な撮影機能こそ持ち合わせていないものの、新たに搭載された超広角カメラや多彩な撮影機能を利用することで、実用的にも十分、そして遊べるカメラをXperia 10 IIは搭載している。
マルチウインドウを当たり前に使いたくなる21:9のディスプレイ
Xperia 10 IIの外観の特徴にもなっているアスペクト比21:9の縦長なディスプレイはマルチウインドウの利用にも最適だ。
マルチウインドウ自体はAndroidの機能として以前から存在し、縦長なディスプレイを搭載する機種が増えてきた数年前から売りとしているメーカーも多い機能だが、実際に使ってみるとテキスト入力時にキーボードが画面の多くを占めてしまうなど、メインで操作しているアプリの操作性に難があり、一度使った後は全く使っていないという人も多いだろう。
しかしXperia 10 IIほど縦に長いディスプレイであれば、マルチウインドウの真価を発揮できる。
筆者の場合、最近はオンラインでの発表会が増えているためスマートフォンでの動画視聴を行うことは珍しくなくなっている。
この際、動画を視聴しながらSNSの反応をチェックしたり、Webサイトに新たに掲載された情報を並行してチェックするような用途に21:9の縦長のディスプレイとマルチウインドウの組み合わせは最適だ。
ほかにも人と待ち合わせる際に地図を表示しつつ、メールやLINEといった現在進行形のやりとりを行いながら使うといった用途なども実際に使ってみるとマルチウインドウとXperia 10 IIの縦長ディスプレイがベストマッチであることに気づけるだろう。
有線でも無線でも高音質を楽しめるオーディオ機能
スマートフォンでよく利用される機能としてカメラやSNS以外だと音楽視聴を挙げる人も多いだろう。
Xperia 10 IIは3.5mmのステレオマイクが利用できるため、今まで使っていたイヤホンや音質にこだわったイヤホン、ヘッドホンとの組み合わせで音楽を楽しむことができる。
さらに音質を重視する場合、ソニー独自の高音質化機能である「DSEE HX」を有効化して利用することも可能だ。
DSEE HXは有線接続されたイヤホンやヘッドホンでしか効果を発揮しない弱点もあるが、ハイレゾ音源の高音質もワイヤレスで転送できるLDACにも対応している。
利用するにはLDACに対応したワイヤレスイヤホン・ヘッドホンと組み合わせる必要があるが、音楽視聴において音質を重視するユーザーであれば、Xperia 10 IIは有線無線問わず高音質で楽しめる仕様になっているのは見逃せない仕様・機能といえる。
2020年のスタンダードをソニーらしくまとめた1台
国内のスマートフォン市場を牽引してきたXperiaのブランドは強く、指名買いで選ぶユーザーや迷った際にスタッフにオススメされることも多い。
本体価格が安価であっても、壊れるまで使う、機能に不満が出ない限りは使い続けるユーザーも増えている現在の国内市場において、トレンドのトリプルカメラや超広角カメラ、有機ELディスプレイを搭載しているのも安心して使える、期待して使える1台として十分な仕様といえる。
加えては21:9の縦長なディスプレイはスマートフォンのより便利な使い方を体験できたり、オーディオ機能が充実している点も他のメーカーにはないXperiaらしさ、強みも感じられる。
Xperia 10 IIはこれからスマートフォンの買い替えを予定している人であれば、一度は手に取って欲しい、他の機種と比較する際のベンチマークとしても参考にすべきまとまりのいい1台だ。