レビュー

「TCL PLEX」クイックインプレッション

こだわりのディスプレイなど「コスパ」以外の魅力にも注目

 おそらく国内では2019年最後の新機種となる、SIMロックフリーのAndroidスマートフォン「TCL PLEX」が12月28日に発売された。

TCL PLEX

 TCLは中国の総合家電メーカーで、日本にも5万円以下の4Kテレビなどインパクトのある価格の商品が上陸している。このTCL PLEXも、2万9800円(税込)という価格ながら、ミッドハイレンジのプロセッサー「Snapdragon 675」や6GBメモリ、約4800万画素の高画素カメラを柱に据えたトリプルカメラを搭載し、月並みな表現をすれば「コストパフォーマンスが良い」と評価されるであろう機種だ。

「自動」モードで夜景を撮影

 まずはカメラを試してみる。約4800万画素のメインカメラと約1600万画素の超広角カメラで2つの画角を使い分けて撮影でき、そして3つ目のカメラは暗所での動画撮影に特化している。

 暗所用のカメラは約200万画素と画素数は控えめだが、その分、画素ピッチが2.9μmと広く、1ピクセルあたりの受光面積が大きいためノイズを抑えやすい。ある程度の明かりがある夜景であればメインカメラでもきれいに撮影できるので、キャンプなどのアウトドアが主な使い所になりそうだ。

 撮影できる写真には直結しない機能だが、カメラアプリの隅に表示される「○○○」のアイコンをタップすると3つのカメラすべてを同時に起動してリアルタイムで写り方を見比べられるのが面白い。画角の違いや暗所用カメラの性能を理解するには便利な機能だ。

3つのカメラの写り方を見比べられる

 カメラと並ぶもうひとつのアピールポイントはディスプレイ。先述の通りTCLにはテレビメーカーとしての実績があり、「NXTVISION」という映像処理技術をスマートフォンにも持ち込んだ。実際の色とディスプレイ上の色の差をデルタEという単位で表すと、他社のフラッグシップモデルが2前後のところ、PLEXは1未満というテストデータも公開し、色再現性の高さをうたう。

 また、HDR10コンテンツの表示にも対応しており、SDRコンテンツのアップコンバート機能も備える。惜しむらくは、出荷時から貼られている画面保護フィルムはあまり透明度が高くない。PLEXを購入したら、ぜひ一度フィルムを剥がして素の状態のディスプレイの実力を見てほしい。3万円クラスの機種でカタログスペックには出にくい「解像度以外の画面の美しさ」に力を注いでいる機種はなかなか無いだろう。特に動画鑑賞には適している。

「NXTVISION」の設定画面

 一方で、TCLにとってPLEXは単なるミドルレンジ機のひとつではなく、これまでAlcatelやBlackBerryのブランドを借りて展開してきたところ、これから自社ブランドの端末に力を入れていくというターニングポイントとなる機種でもある。

 実質的にはじめて触るブランドの機種ということで隅々までメニューを見渡してみると、細かな独自機能がなかなか凝っている。

ホーム画面

 ホーム画面は一見普通だが、アプリ一覧を開くとカテゴリーごとに整理しやすくなっている。フォルダを作って入れ子にするわけではなく、カテゴリー分けをしてもワンタップで目当てのアプリを起動でき使いやすい。

スマートキー

 側面には、電源キーや音量キーとは別に任意の機能を割り当てられる「スマートキー」が搭載されている。このようなカスタムキーを搭載する端末は時々登場するが、PLEXは割り当てられる機能が豊富。自分の連絡先情報をすぐにQRコードで見せたり、スリープ状態からボタン操作だけで録音を開始したりと便利な使い方ができる。

 このほかにも、解像度やマイク音声の有無、タップ操作の記録などを設定できるスクリーンレコーダー機能や「縮小時の画面サイズ」を指定できる片手モードなど、一見ありがちな機能にも一歩踏み込んだ設定項目が隠れている。自分の使い方に合ったカスタマイズを楽しむことができ、遊びがいがある機種だ。