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KDDI第1四半期決算は増収増益、営業利益は2310億円で過去最高に

タブレットが伸長、総合ARPA収入が拡大

 KDDIは、2015年度第1四半期(4~6月期)の決算を発表した。KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏が決算説明会に登壇し、概要を解説した。

 説明会では冒頭に、7月12日に発生したEメールを受信できない通信障害について説明があり、「一部で過去のメールが読めないという障害が残り、修復に8月3日までかかった。影響は796万回線と案内していたが、影響を受けた可能性まで含めると、1000万規模になる見込み」と明らかにし、「多数のユーザーにご迷惑をお掛けし、お詫び申し上げる」と謝罪した。

KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

 第1四半期の決算のポイントは、営業利益が前年同期比で19.3%増の2310億円になった点、「3M戦略」の推進で総合ARPAが拡大した点、ミャンマーやデータセンターなど国内外の取り組みで利益が拡大した点の3つが挙げられた。

 連結決算は、売上高は前年同期比7.1%増の1兆466億円、営業利益は前年同期比19.3%増の2310億円、2015年度から採用する会計基準のIFRSで表示する「親会社の所有者に帰属する四半期利益」は前年同期比29.2%増の1439億円になった。四半期として、営業利益、純利益のいずれもが過去最高を記録した。

 営業利益の増減要因は、総合ARPA収入の増収が牽引したとする。「au通信ARPA」と「付加価値ARPA」を合計した総合ARPA収入は、前年同期比で4%増、179億円の増加となり、増収の大きな要因になった。田中社長は、タブレットの販売の拡大により、一人のユーザーが持つ端末数が増加傾向にあることが影響していると回答している。

 純増数は前年同期比41%増の52万件。法人分野を入れると約60万件の純増とした。MNPについては非開示だが、転入超過数の連続ナンバー1が続いているとの認識を示している。

 端末販売数もタブレットが牽引する形で増加しており、タブレットの累計契約数は前年同期比で2.3倍になったとした。またこの影響で、一人あたりのモバイルデバイス数も増加し、第1四半期では1.38台にまで拡大していることを示した。

 付加価値領域ではARPA収入の拡大と同時に、auスマートパスが前年同期比23%増の1319万件、au WALLETの申込数は1290万件と、顧客基盤が拡大していることも解説し、決済サービスでは流通総額の拡大を目指す方針。

 ミャンマーで手がけている通信事業では、MPTの契約数が1年間で2倍以上となる1400万件超と大幅に拡大しており、エリアも今年度末に人口カバー率で70%を目指すとしている。

“2年縛り”には自主的な取り組みを推進

 質疑応答では、総務省開催の有識者会合で、いわゆる「2年縛り」をやめるようキャリアに働きかける意見がまとめられた件について問われ、田中社長は「自主的な取り組みとして、改善に向かって取り組んでいる。定期契約プランにおけるメール通知や、無料更新期間の案内をメールで配信する。定期契約が切れる段階で(自動更新などを)どうするかについては、検討している」と回答。2年などの定期契約に対して、通知や、“自主的な取り組み”で改善を図っていく方針を示している。

UQは「もう少しうまくコミュニケーションを」

 会見後の囲み取材では、子会社のUQコミュニケーションズが、広告表示などに関連してユーザーから抗議活動を受けている件について聞かれ、ヘビーユーザーの通信速度の制限はリソースの有効活用という面で現実的に必要であるという認識を示し、「現時点でも(規制下で)YouTubeの高画質版を見られる速度があり、実質上はそれほど問題はないのではないか」とする一方、「表現が誤解を招くところがあった。もう少しうまく、(ユーザーと)コミュニケーションしなければいけないと思う」と、宣伝体制には注文を付けた。

太田 亮三