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スマホのWi-Fi「自宅でON、外ではOFF」、KDDIの新技術
スマホのWi-Fi「自宅でON、外ではOFF」、KDDIの新技術
(2013/2/28 16:14)
自宅にいるときはON、外出するとOFFになり、職場ではまたONになる――KDDIは、auのAndroidスマートフォン向けに、Wi-Fiの自動ON/OFF切り替え機能を提供する。まずは3G対応のAndroidスマートフォン向けに提供される。
今回用意される機能は、auのアプリ「au Wi-Fi接続ツール」に組み込まれるほか、auのスマートパスで展開するアプリ「超節電」(ソースネクスト製)にも、3月上旬より搭載される予定。「au Wi-Fi」接続ツール」では「おまかせWi-Fiモード(β)」、「超節電」では「スマートWi-Fi」と呼ばれる機能となる。
たとえば「超節電」は、インストール後、あるいはバージョンアップ後の初回起動時、「スマートWi-Fi」を利用するかどうかユーザーの許諾を求める画面が表示され、OKすれば利用できるようになる。また設定メニュー内にある「Wi-Fi」の項目で、「Wi-Fi ON」「Wi-Fi OFF」「スマートWi-Fi(Auto)」のうち、スマートWi-Fiを選べば利用できる。
選択した後は、特にユーザー側で操作することなく、自宅に帰ればWi-FiをONにし、外へ出ればOFFにする。
当初はauの3G方式に対応したAndroidスマートフォン(IS01除く)向けに提供される。LTEスマートフォン向けは今後の検討とのこと。なお、海外渡航時には動作しない。
基地局情報を利用
今回の新機能の肝は、場所によってWi-FiをON/OFFする仕組みだ。その具体的な手法は開示されていないが、KDDIプロダクト開発部の高木豊典氏によれば、基地局情報が用いられているのだという。そしてGPSでの位置測定、あるいはauユーザーの契約者情報にある住所と基地局情報を結びつけたり、ユーザーの通信を監視したりする、といった手法でもない。アプリ側では、ある程度学習することで、「ユーザーは自宅/職場にいる」と推定し、Wi-FiをONにするという流れとのことだ。
このためユーザー自身がWi-FiをONにするのを忘れている、あるいはONにしたことがない、といった状態でも、「スマートWi-Fi/おまかせWi-Fiモード」は学習結果に従って、スマートフォンのWi-FiをONにして、宅内にあるアクセスポイントへ接続しようとする。もしスマートフォンにアクセスポイントの接続情報が設定されていなければ、Wi-FiはOFFになる。またアクセスポイントを設置した部屋から、ユーザーが離れた別の部屋にいる、といった状況でWi-Fiの電波が弱い場合も、Wi-Fi機能はOFFになる。状況に応じて、ON/OFFを自動的に切り替えてくれる。
Wi-Fi機能のユーザー、6割が「手動でON/OFF」
「スマートWi-Fi/おまかせWi-Fiモード」のプロジェクトは、昨夏、KDDI社内に創設され、通信量の分散(オフロード)を目指す「TFオフロード推進室」が牽引する形で進められてきた。
Wi-FiをONにする=電力を消費する、と思われがちだが、2012年夏以降のauのスマートフォンについては、Wi-Fiの常時ONとOFFを比べ、バッテリー消費に大きな違いはないレベルにまで改善が図られている。こうしたこともあって、KDDIでは、基本的にWi-Fiは常時ONを推奨する考えだ。また、TFオフロード推進室課長補佐の倉谷智弘氏は、室内のWi-Fiアクセスポイントに繋がっている状態は、離れた場所にある携帯電話の基地局と通信するよりも電力消費は少なくなると説明する。
しかしユーザーの実態はどうか。KDDIの調査によれば、スマートフォンのWi-Fi機能を利用するユーザーのうち、常時ONにしているのは40%、残り60%が手動でON/OFFを切り替えている、いう結果が明らかになった。この背景には、スマートフォンのバッテリーの持ちへの不満がある。
そのため、「auスマートパス」でも省電力関連のアプリは人気で、特に今回、スマートWi-Fiが組み込まれる「超節電」は、auスマートパスで「常にトップ5に入る」(KDDI新規ビジネス推進本部の長井栄子氏)ほど。バッテリーの消耗を気にして省電力アプリを利用する、ということであれば、Wi-Fiの利便性を高める「スマートWi-Fi」とは親和性が高い……そうした考えから、今回「超節電」に「スマートWi-Fi」が搭載されることになった。「超節電」は、シンプルな機能・操作画面で、「スマートWi-Fi」もON/OFFだけで、複雑な操作は必要ない形だ。
また、ユーザーが意識せずにWi-FiがON/OFFされる、という機能は、利便性が高まるものの「気持ち悪く思う方はいるだろう」(倉谷氏)として、初回起動時の案内だけは行われるものの、無理にユーザーへ利用を強制することはないとのこと。たとえば通知バーでの案内を行うなど、積極的な誘導手法は当面、用いられない。まずは、「スマートWi-Fi」に関心を示し、使いたいユーザーのみ、といった形で展開していく方針。リリース後は、ユーザーからの批評も得たいとのことで、そうした声を得て、さらなる改善を図るという。