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Windowsスマホ「VAIO Phone Biz」発表会、“ビジネス向け”の理由は?
法人向け販売ではドコモも協力
2016年2月4日 18:10
VAIOは、Windows 10 Mobile搭載のスマートフォン「VAIO Phone Biz」(VPB0511S)を4月に発売する。4日には都内で記者向けに発表会が開催され、開発コンセプトや今後の方針が解説された。端末については別記事を参照していただきたい。
「VAIO Phone Biz」は、法人の利用をコンセプトの中心に据えて開発されたスマートフォン。法人への販売は、NTTドコモの法人部門またはダイワボウを通じて提供される。個人向けには、VAIO STOREのほか、ビックローブ、楽天モバイルなどのMVNO、一部の家電量販店で取り扱われる。個人・法人ともにSIMロックフリー。LTEはNTTドコモの4バンドに対応し、ドコモ網のキャリアアグリゲーションに対応。ドコモ網での相互接続試験(IOT:インターオペラビリティテスト)が現在実施されている。
ディスプレイは5.5インチでフルHD。チップセットにSnapdragon 617を搭載したことで、無線接続のみながら「Continuum」をサポートする。ボディはアルミ削り出しで、外観はノートパソコンのVAIOシリーズと共通のコンセプトでデザインされている。
VAIOはノートパソコンにおいて、LTE対応でオリジナル料金プランのSIMカードをセットで提供しているが、「VAIO Phone Biz」で同様のSIMカードを提供するかどうかは検討中としている。
VAIOの強み、パソコン以外の新規領域に適用
4日に開催された発表会で登壇したVAIO 代表取締役社長の大田義実氏は、VAIOが持つ「設計・技術」「人材」「ブランド」の3つの特徴を、パソコン以外の新規領域に適用したり、スタートアップ企業に対して開発や量産化を支援したりする取り組みを拡大している様子が紹介された。同社の持つ設計・製造・量産のノウハウで、ほかの企業の製造技術を支援していく事業は、同社の事業の大きな柱にしたいという意気込みも示されている。
パソコンにおいては、常時接続を念頭にLTE対応モデルにオリジナルのSIMカードを提供したことに触れ、同社が主なターゲットとしている「VAIOのファン」とビジネスユーザーに対し、プラスアルファの価値を提供しているとする。その上で、「無視できないのがスマートフォン。初代のVAIOからWindowsを搭載してきており、Windows 10 Mobileの可能性を信じて開発を進めてきた」と振り返り、「VAIO Phone Biz」提供の経緯を語った。
“Windowsで統一”が現実的に、MS平野社長「いよいよこの時代がきた」
発表会ではここで、日本マイクロソフト 取締役 代表執行役 社長の平野拓也氏が登壇し、「Windows 10」の現状や「VAIO Phone Biz」への期待が語られた。平野氏は、企業からWindows 10 Mobile搭載の端末に対する要望を多くもらっているとし、「いよいよこの時代がきた」と、駒が揃った様子を語る。
クラウドサービスとの連携、デバイスをWindowsに統一することによる管理・開発面でのメリット、Continuumをはじめとする機能でワークスタイルが変革されるとし、「いいタイミングで、強く推している。愛されるWindowsを目指して取り組んでく」と意気込みが語られた。
ドコモ高木氏、IOTの実施とCA対応で「自信を持ってオススメしていきたい」
NTTドコモ 取締役常務執行役員 法人ビジネス本部長の高木一裕氏も登壇し、ドコモからみた「VAIO Phone Biz」への期待が語られた。
高木氏は、ドコモとマイクロソフトが2012年に協業し、WindowsタブレットとLTEという組み合わせで法人に提供してきたことに触れ、この取り組みで35万契約を突破、8割が新規の顧客になっていることを紹介した。
高木氏は、こうした従来の取り組みに加えて、Windows 10 Mobile搭載の端末をラインナップすることで、法人での利用が促進されるとし、「いち早く市場をリードしていきたい」と意気込む。ドコモの4バンドをサポートしキャリアアグリゲーションを利用できる点にも触れ、「ドコモのネットワークと非常に親和性が高い。自信を持っておすすめしていきたい」とした。
VAIO岩井氏「日本メーカーが、日本市場のために開発」
VAIO 商品企画部 商品企画担当の岩井剛氏からは、「VAIO Phone Biz」の具体的なスペックやコンセプトが解説された。岩井氏は、Windows 10 Mobileは企業との親和性が高いとし、使い勝手やアプリケーション、そのデータが共通化できるメリットを紹介する。
「注目されているのはContinuum」として、簡単なデモンストレーションが披露されたほか、Continuumをサポートする条件となるチップセットとしてSnapdragon 617を選択したことや、フルHDのディスプレイ、3GBのメモリ、11acの無線LANなどのスペックも、ビジネスシーンで快適に利用できることを目指したものであることが解説された。
SIMロックフリーで、NTTドコモのLTEの4バンドに対応することも触れられ、「日本メーカーが、日本市場のために開発したスマートフォン」と、国内で快適に利用できることが語られた。
アルミ削り出しボディ、日本で全数検査の「安曇野FINISH」
デザインや品質の面では、「VAIO Z Canvasのデザインテーマを持ち込んだ。強化ガラスやアルミ合金による世界観を、スマートフォンでも感じていただける。製造工程にもこだわり、ボディはアルミ合金のブロックからの削り出しで、二十数工程を経ている」と、質感やデザインにもこだわっている様子が紹介されている。
同端末は海外の協力工場で生産されるとのことだが、完成品はすべて長野県安曇野市の安曇野工場に運ばれ、技術者が全数検査を行う「安曇野FINISH」が実施される。「パソコンと同じ工程で検査しており、ハードウェアに関しても安心してもらえる」(岩井氏)と自信を見せている。
日本通信の「VAIO Phone」は? 「カニバリは発生しない」
なお、「VAIO Phone」という名称のスマートフォンは、日本通信からAndroidスマートフォンとして法人を中心に提供されているが、発表会の質疑応答の時間にはこれとの競合について聞かれた。VAIO 執行役員の堀泰士氏は、日本通信の「VAIO Phone」は、日本通信がメーカーとして、ファームウェアで独自のセキュリティ・ソリューション(※関連記事)を提供している点に付加価値があるとし、「カニバリ(共食い)が発生することはない」との見方を示している。