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ダイワボウと日本マイクロソフト、Windows Phone拡大で協業

中小企業・教育向けに3年間で200万台目指す

 ダイワボウ情報システム(DIS)と日本マイクロソフトは、中堅・中小企業と教育市場をターゲットにした、「Windowsモバイルビジネスセンター」をDIS内に設立した。

日本マイクロソフトの平野社長(中央左)とダイワボウ代表取締役専務の安永氏(中央右)

 両社では2011年、すでにWindows搭載タブレットを推進する組織を設立。今回の「Windowsモバイルビジネスセンター」は、スマートフォンを含む、Windows搭載モバイルデバイスの導入を支援する専任組織となる。潜在的なターゲットとして、約2800万人規模の中堅。中小規模、教育市場が挙げられている。

 ダイワボウでは、専用相談窓口を28日に付けで設置。レンタルパッケージの提供や、全国でのセミナーやワークショップの開催などを行う。年度内には、Office 365などクラウドサービスの提供などを行う。一方、日本マイクロソフトは、Windows搭載スマートフォンに関する技術情報の提供、営業支援などを行う。

提供するスマホは発表済の物、MS平野社長は……

 ダイワボウを通じて提供されるWindowsスマホは、マウスコンピューターの「MADOSMA」や今後発売されるフリーテル製のもので、まずはWindows 8.1搭載のスマートフォンが供給される。日本マイクロソフトの平野拓也代表取締役社長は、Windows 10の登場後、企業からの注目度が高い、と説明。スマホについても、Windows 10 Mobileを待つ企業が多いのではないか、と推測する。

 質疑応答に入る前には、「本日は具体的なデバイスの発表はない」とされたが、プレゼンテーションで平野氏からは「日本市場ではWindowsスマホへの関心が高い。メーカーも注目しており、話が具体的に進んでいる」「法人では管理運用などが課題。ユニバーサルプラットフォームのWindows 10により、パソコン、タブレットに続いて、今度はフォンとしっかり対応していきたい」「今日は具体的にスマホの機種やタイミングはコメントしないが、メーカーからの問い合わせや計画が具体的になる中で、DISと今回発表できたのは心強い」と述べ、詳細は避けつつも、期待感を煽るコメントをいくつもちりばめた。

3年間で200万台、新規市場に向けて

 「Windowsモバイルビジネスセンター」では、今後3年間で200万台の導入を目指す。ターゲット市場の1つである教育分野については、小中学校で1人1台程度の普及が図られること、企業のほとんどでWindowsが活用されていることから、Windowsタブレットを推進していき、年平均で120~130%程度の成長を見込む。

 一方、Windowsスマホは「チャレンジ」と位置付けられ、事務所で働くいわゆるホワイトカラーでの置き換えだけではなく、外で活躍するフィールドワーカー市場を新規市場として、新たなアプリケーションやソリューションとともに成長していく考え。

 日本マイクロソフトでは、法人向けタブレット市場ではNTTドコモとの協業体制を継続中。今回の取り組みは、中小企業と教育市場にターゲットを絞った形となる。

 DISの代表取締役専務である安永達哉氏は、「ダイワボウのMVNOサービスは、驚かれるくらいのシェアが実はある。でもそれもほとんどがコンシューマーで法人は白紙」と述べ、伸びしろの大きさをアピールする。法人でスマートフォンを導入する際には、通信回線の契約を総務系の部署が、端末を情報システム関連の部署が担当することが多い中、「まずはMDM(モバイル端末マネージメント)」と管理系のソリューションが必要と指摘する。

 3年で200万台という見通しについても、企業の多くでWindowsが利用される中、Windows 10 Mobileではディスプレイとキーボードに繋げばパソコンのように利用できる機能が新たに搭載され、さらにはセキュリティの仕組み、はたまた企業内で構築されたサーバーなどとの連携もスムーズに進められる、と指摘し「特に日本では、これでやっと企業はWindowsスマホを業務に活かせる」と安永氏は述べ、導入が進む環境が整ったとする。

平野社長一問一答

 会見後、日本マイクロソフトの平野社長が報道陣の囲み取材に応じた。主な内容は以下の通り。

――今回の取り組みは、Windows 10 Mobileからが本番と考えているのか?

平野氏
 Windows 10が出てから関心がさらに高まっている。8.1でも導入されるところはあるだろうが、やはり10 Mobileからが現実的かと思う。

――Lumiaを日本の法人市場へ投入しないのか。

平野氏
 現状では考えていない。マイクロソフトとしては、グローバルでの戦略もある。ノキアのバックグラウンドが強いエリアからまず展開しよう、ということで、日本では発表できるものはない。

――Windows 10 Mobileの実機に触れられる場所は用意するのか。

平野氏
 しかるべきタイミングが来れば、これまで以上、というか、これまではそうした場がゼロだったので(何か取り組みをすれば)当然今まで以上になるが、見える形で進めていきたい。

――まだ具体的には言えないと。

平野氏
 質疑に入る際、「具体的なデバイスはない」とご案内したら、みなさん(報道陣)の顔が「なぁんだ~」と(笑)がっかりさせちゃったなとは思ったが、そもそもこういった形で発表することが日本マイクロソフト単独でも、パートナーにもなかった。今回はパートナーシップとしても市場へのメッセージとしても意義あることだと思う。具体的なものは、きちんと体系だって、わかりやすいメッセージを出せるタイミングでお話できればいいと思う。

――Windows 10 Mobileデバイスの登場にあわせてか。

平野氏
 米国本社のサティア社長も述べているが、モビリティとクラウドの世界となっている。スマートフォン云々というよりも、その世界のなかでスマートフォンをどう位置付けるかが重要だ。

――法人向けではドコモと協業体制にあるのは、今も変わらないのか。

広報担当者
 タブレット市場についてはそうだ。

――フォンはまた別立てか。

平野氏
 デバイスメーカーさんとキャリアさんとそれぞれしっかりやっていかないといけない。

関口 聖