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腕時計に「ママに電話!」、auからキッズ向けの「mamorino Watch」
(2016/2/4 10:00)
KDDIと沖縄セルラーは、子供向けの新たな製品として、通話もできる腕時計型デバイス「mamorino Watch(マモリーノ ウォッチ)」を3月下旬に発売する。時計や防犯ブザーなどのほか、音声認識で電話をかけることもできる。料金プランは専用のものが用意される。
「mamorino Watch」は、通信機能を備えた、ZTE製の子供向け腕時計デバイス。約1.4インチ、320×320ドットのTFT液晶ディスプレイを備えて、タッチパネルで操作できる。タッチパネルに加えて、音声での操作もサポート。ダブルタップすると画面上にキャラクターが表示されて音声での操作を受け付けるモードにになる。たとえば「ママに電話」と話しかければ、あらかじめ「ママ」として登録した相手に電話をかける。よびかける言葉は、事前に設定したものに限られる。
他社にも子供向けの腕時計型端末がラインアップされるなか、後発となったauが重視した機能は通話とキャラクター。特に通話は、他社の類似品にはない機能。4日に開催された説明会で、商品企画を担当したKDDIの山下明子氏(プロダクト企画1部グループリーダー)は、「開発中、先に(ドコモから)出された。しかし通話できない、親子のコミュニケーションができないのはニーズを満たしていないのではないか」と述べ、通話でやり取りできる重要性をアピールする。
もうひとつのキャラクター機能は、子供が楽しく使えるよう用意されたもので、本体をダブルタップして呼び出せる。山下氏は、徐々に愛着のようなものが育まれていく、とする。
歩きスマホならぬ“歩きウォッチ”にならないよう、歩きながら使おうとすれば、画面に警告が出る機能も搭載される。ディスプレイは、一定時間が経てば消灯するよう設定できる。ボタンを押せば画面が点灯するようになっており、一般的なスマートウォッチのように加速度センサーを使った仕組みは用意されない。またスマートウォッチと違って、ペアリングするスマートフォンへ何らかの通知が届いても、mamorino Watchでは表示されない。
防犯ブザー機能では、鳴動時に音声通話をかけると同時に現在をメールで通知できる。設定によって鳴動や居場所通知、音声通話と各機能のON/OFFを切り替えられる。
保護者側の回線で「安心ナビ」(auスマートパスに付帯)に加入していると、いつでも保護者の携帯電話から「mamorino Watch」の現在地を確認できる。また、専用のスマートフォンアプリをインストールして、保護者のスマートフォンとペアリングしておけば混雑する場所ではぐれたとしても、「はなれたらアラーム」で通知できる。
SIMロック解除には非対応で、スマートフォン側に専用アプリがなければ、Bluetooth Low Energyでペアリングできない。専用アプリはauユーザーだけに提供される。
防水(IPX5/7)、防塵(IP5X)に加えて耐衝撃性能までサポート。バッテリーは410mAh。連続待受時間は約130時間、連続通話時間は約170分。大きさは約51×16.7mm(最厚部17.4mm)で、重さは約68g。1.1GHz駆動のクアッドコアCPUを搭載し、LTE(下り25Mbps/上り25Mbps)に対応する。SIMカードはau Nano IC Card(Ver.4)。WiMAX、3G、おサイフケータイ、Wi-Fiなどは非対応となる。
【お詫びと訂正 2016/2/4 16:30】
連続通話時間について、約75分と記載しておりましたが、正しくは約170分です。お詫びして訂正いたします。
mamorino Watchプラン
mamorino Watch専用の料金プラン「mamorino Watchプラン」もあわせて提供される。利用料は月額998円(2年契約の誰でも割適用時)。家族間であれば国内通話やSMSが24時間、追加料金なしで利用できるほか、auの携帯電話宛てであれば、1時~21時、無料で通話できる。LTE NETの利用料はかからない。データ通信は最大128kbpsのプランとなる。
このプランには「アップデートプログラム(ジュニア)」が無料特典として用意される。18カ月以上、mamorino Watchを利用すれば、その後機種変更する際、mamorino Watchの割賦代金の残りが無料となる。ただしアップデートプログラムが適用されるのは36回払いを選んだ場合。
「ウェアラブルと子供は相性がいい」
2010年、他社に先駆けて子供向けの携帯電話をリリースしたau。現行機種は、2013年春モデルのmamorino 3だが、「携帯電話という形は、親からすると、紛失のリスクを懸念したり、鞄に入れっぱなしになっていざというときに電話をかけても繋がらないのではと思ったりするなど、購入をためらう理由があった」と山下氏は語る。
2000年頃から共働きの世帯が増え続けており、親世代にとっては「子供と離れる時間は増える一方、いつでも子供と繋がっていたいというニーズは高まっているのではないか」(KDDIの小林昌宏プロダクト企画本部長)とのことで、ニーズ自体はあるものの、もっと多くの家庭で利用されるためには何が必要か――そこでKDDIでは、子供を持つ女性社員によるチームで、検討し始めた。
先述した紛失のリスクなどのほか、「ブラブラさせていると、どこかにぶつけて壊れるのではないか」「公園で遊んでいるときには使えない」「何かにひっかかかって首を絞めるのではないか」といった、子供向けの携帯電話ならでは懸念に対して、導き出された回答が腕時計というかたち。山下氏は「腕時計型にすることで、安心安全に使える。ウェアラブルこそ、子供と相性がいいのではないか」と指摘する。