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「東北イノベーターズプログラム」成果発表会

中高生がアプリで地域の課題を解決を目指す

「東北イノベーターズプログラム」成果発表会

 KDDIとライフイズテック(Life is Tech!)は2月22日、昨年8月にスタートした「東北イノベーターズプログラム」の成果発表会を仙台市内のKDDI東北支社で開催した。

 同プログラムは、東日本大震災の復興に向け、東北地方の中高生を対象にIT教育支援を行う目的で実施された。8月に東北大学内で開催された「KDDIキャンプ」でスタートした同プログラムだが、その後、オンライン講座の形で参加者がリモートで協力しながら「地域の課題解決」というテーマに沿ったアプリやサービスのモックアップの制作が続けられた。

 22日に開催された成果発表会には、4組のチームが参加。KDDI東北総支社長の菅野養一氏をはじめとするKDDI関係者や参加者の家族が見守る中でプレゼンテーションが行われた。各チームともに緊張した面持ちで自分たちのアイデアを披露。審査員からの厳しい質問にも堂々と受け答えする姿が印象的だった。

 地域貢献賞、アイデア賞、デザイン賞、チームワーク賞が各チームに授与されたほか、最優秀賞も選出された。最優秀賞に選ばれたアイデアは、現在地を知りたい相手にその旨をリクエストし、簡単な操作でそれに応答できるというアプリ。災害発生時には、パケット通信で登録した相手に位置情報を自動送信する機能も提示された。

最優秀賞、チームワーク賞に選ばれた「Where? Here!」
アイデア賞に選ばれた「COY」。応援を復興の力にしようという内容
デザイン賞に選ばれた「Volunteens」。高校生の力で高齢者を助けようという内容
地域貢献賞に選ばれた「Share Sheet」。相乗りを促進することで渋滞を減らそうという内容

 どのアイデアも荒削りで、実際にサービスとして実現するとなると、運用コストなどの面で課題が山積みなのも確か。しかし、そうした部分を無視した自由な発想こそ中高生のような若い世代に求められる力とも言える。

 審査員の一人として出席した東松島市 副市長の古山守夫氏は、「こういったアプリを作ることに関心を持ってもらうという動機づけと、考える力を養ってもらうという2つの狙いで今回のプログラムに取り組んできた。私の27歳になる息子も東京でアプリを作る会社を一人で立ち上げているが、結婚、出産を機に東松島に帰ってくることになった。アプリを作るのは、都会だけでなく、地方でもできる仕事ということ」と、参加者への期待を表していた。

東松島市 副市長の古山守夫氏
KDDI東北総支社長の菅野養一氏

 なお、ライフイズテックは、中高の先生を対象にiPhoneアプリ開発やWebデザインに関する授業支援プログラム「TECH for TEACHERS」の提供を3月14日より開始する。同プログラムでは、全60講座が無料で提供される。

湯野 康隆