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ソフトバンク2014年度上期決算は企業統合の反動で減益
Sprintの影響で通期も下方修正、インドなど投資戦略に言及
(2014/11/4 20:51)
ソフトバンクは、2014年度第2四半期決算を発表し、2014年度上期の業績を発表した。
連結業績は、前期比58%増の4兆1044億円。EBITDAは前期比34%増の1兆1226億円、営業利益は前期比19%減の5967億円、純利益は前期比37%増の5607億円になった。減益の直接の要因は、前期の2013年度上期にガンホー、ウィルコムの子会社化に伴う一時益などとして2490億円を含んでいいたためとし、これを除いた場合は2013年度上期の営業利益が4882億円となり、当期の営業利益5967億円は前期比22%増にあたると説明している。
国内通信事業は「現金を稼ぐステージ」
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、売上高が2期連続で過去最高となり、NTTドコモを圧倒し、EBITDAも11期連続の最高益、こちらもNTTドコモやKDDIを大きく上回っている様子を示した。前期比19%減となった5967億円の営業利益も、ほかの2キャリアを上回っているとグラフで示して「No.1」とアピールした。
孫氏からはこの後、投資戦略について多くの時間が割かれた。30%の株式を保有する中国のアリババと、ヤフーやガンホー、Supercellを合計した時価総額はソフトバンクの時価総額を上回るとし、中国の市場の拡大にともなって、今後さらに成長すると見込む。また、ヤフーについても「Eコマースをアリババのようなモデルに切り替えた」と、この1年間で出店数が10倍になった様子を紹介し、取り扱い商品点数も50%増加するなど、拡大しているとした。
「これまで本業とみられている国内通信事業」(孫氏)については、ボーダフォンの買収から2014年度上期で営業利益が9倍になったと紹介し、「スマホの接続率No.1」「スマホ 通信速度No.1」「iPhone 6 通信速度No.1」「スマホ顧客満足度 No.1」といったスライドで好調ぶりをアピール。国内では「ピークを越えて、設備投資がおさまっていく」と改めて設備投資額を減らしていく方針。また、EBITDAが順調に拡大していることなどから、「年間で数千億円を稼ぐことができる。現金を稼ぐステージにきた」と説明し、国内通信事業でフリーキャッシュフローを創出していく段階になっていることを示した。
投資段階のSprint事業、海外投資戦略はインドにターゲット
一方、「まだ投資のステージ」という米国のSprint事業については、CEOを交代した「マルセロ新体制」で、純減から反転の兆しが出てきたとし、ユーザー獲得にコストをかけるなど、これまでとは逆のに舵を切る方針も。「業績は中長期で反転できるだろう。目先の利益を追い求めるより、中長期で良い顧客をとる。一時的に利益が減っても、そのほうがベター」などとして、業績が予想より回復しないSprint事業は中長期的に取り組んでいくと訴えた。質疑応答の時間にも「簡単に、1年~2年で極端に良くなることはない。よい兆しはあり、一歩一歩改善していく」と説明している。
孫氏は、このSprint事業の見通しの悪さから、Sprintの業績予想を下方修正すると発表。これにより、ソフトバンクの2014年度通期の業績予想においても、営業利益は1兆円から9000億円に下方修正された。孫氏は、「Sprint以外は、年初の読み通り推移している」としている。
孫氏からはこの後、中国のアリババに先行投資して成功した例のほか、今後はインドに1兆円規模の投資を行う構えがあり、インドネシアにも大規模な投資を行っていく方針という、投資戦略が明らかにされた。
孫氏からはこれまでのソフトバンクの投資実績も紹介された。累計で3877億円の投資は、アリババのニューヨーク証券取引所への上場などもあって、累計回収額は11兆6699億円にまで拡大したとし、「約10年間で年平均45%のリターンを得るベンチャーキャピタルがあるのか。しかもこれはソフトバンク自身のお金で、リターンはすべて株主のものになった」とアピール。
また、イソップ童話で金の卵を生むガチョウの話を例に出し、「私は、(金の卵ではなく)金の卵を生むガチョウに価値があると思う。金の卵を生むガチョウになりたい。ソフトバンクの資産、ひとつひとつが金の卵。さらにインドやインドネシで新たに投資し、金の卵を仕込んでいるところ。ソフトバンクはまだ実績が少ないのでプレミアム(の評価)が乗っていない。“孫正義のディスカウント”が働いている。それはそれで正しいが(笑)、時代とともに評価が高まれば、ディスカウントはプレミアムに変わる」と自信の程を語った。
NTT東西の光回線「NTTを利することになるのは、やや悲しい気はする」
質疑応答の時間には、ソフトバンクモバイルのCTOで技術総合統括を勤めてきた宮川潤一氏が11月1日付けで米Sprintの技術担当役員に就任した理由が聞かれた。孫氏からは、「国内では接続率ナンバー1が1年以上続いており、むしろSprintの対策が急務となった。マルセロからもせひ応援してほしいといわれ、緊急応援体制に入っている。Sprintの(インフラの)改善は重要なテーマ」と説明された。
SIMロック解除の義務化について問われると、「iPhoneが一番売れているスマートフォンだが、SIMロックフリーはアップルストアで売っていても、たいして売れていない。発売してもほとんど買うユーザーがいなかったのが実態。大手3社が獲得費用として補填して売ったのが実態。7万円、10万円を出してわざわざ買うユーザーがほとんどいなかったのが実態。でも、我々は総務省の言うことには従う。抵抗勢力としてやるつもりはない」と、従来通り、総務省のガイドラインに従っていく方針を示している。
NTT東西が光回線の卸売を開始し、NTTのドコモが「ドコモ光」を発表した件については、「優位的立場を利用し、アンフェアな形で、いわゆる民業の競争を妨げるのは良くない。KDDIも強く反発しているが、注意深く見守って、脱法行為が行われていないか、行われようとしていないか、監視しながら、管理していくべきだろう」との見方を示した。
一方、NTT東西の光回線の卸提供を受けてセット割のサービスの提供を表明したことについては「NTTを利することになるのは、やや悲しい気はする」と複雑な様子で、「ユーザーのためには提供していく」とした。
Xperia Z3がソフトバンクからも販売される件については、なぜこのタイミングなのかと問われた。孫氏は「2年ぐらい前から話し合いをし、1年ぐらい前に合意した。だいたい2年ぐらいの準備期間がかかる。そういうこと」と簡潔に解説された。