ニュース

クアルコム、AIカメラやロボット技術の2社と提携 IoT事業の強化図る

 クアルコムがPreferred RoboticsとAWLの2社とIoT関連事業でISV契約を結んだ。日本におけるIoT事業を強化する狙い。

左からAWL 土田安紘CTO、クアルコムジャパン 泉宏志マーケティングディレクター、クアルコム APAC SVP&President OH Kwon氏、クアルコムジャパン 中山泰方副社長、Preferred Robotics 磯部達CEO

 クアルコムのチップセットで、各社のソリューションを展開することで、商品力を強化できるとする。クアルコムによれば、今回の2社以外にも提携を結んでいる企業はあり、グローバルの状況としてはAI分野における中国での契約(ISV契約、Independent Software Developer)が多いという。

IoT分野を強化

 新たにクアルコムと提携したのは、Preferred RoboticsとAWLの2社。Preferred Robotics(プリファード ロボティクス)は、日本に拠点を置くAI開発研究のPreferred Networks(プリファード ネットワークス)のグループ企業で、ロボットやAIに関する技術開発を行っている企業。自律移動できる搬送ロボットや清掃ロボットを実用化しており、清掃ロボットについては東京駅構内で稼働しているという。

 RGBセンサーや2D LiDARセンサーなどを組み合わせた自律移動技術を独自で開発。自己位置の認識だけではなく障害物回避でも優れており、エッジで処理していることが特徴という。クアルコムとの提携で、同社のロボティクスプラットフォームで展開し事業拡大を進める。

 このほかにも、Preferred NetworksグループのPreferred Elementsと小規模言語モデル「PLaMo Lite」をエッジデバイスで活用することを目指し、協業するという。

 AWLは画像認識やネットワークカメラなどを手掛ける。同社は北海道大学から生まれたスタートアップ企業で、接続するだけで通常の監視カメラをAI化できるソリューションやデジタルサイネージの視聴効果分析・セキュリティといった用途に対応できるソリューションなどを手掛ける。

 AIエンジンの「AWLエンジン」のライセンス事業なども行う。クアルコムとの提携では、AWLエンジンを「Snapdragon」に搭載し、カメラのAI化などリテール業界向けのソリューション開発を行うという。

DNPなどとともに物流DX取り組む

 2023年に発表した「Qualcomm Aware Platform」の実証実験をDNPとマクニカとともに進める。細分化されるIoTのコアコンポーネントに対して、ハードウェアからクラウドサービスを一括で提供する。

 現時点では物流業界向けのトラッカーが用意されている。温湿度センサーや衝撃検知センサーなどを備えており装着した物体の位置を特定できるもので、Aware Platformによる導入の手軽さをアピールする。DNPらとの実証では、冷蔵・冷凍輸送における低温維持の安定化などを検証する。

 このほか、同じく2023年に立ち上げた「Embedded design Center(EDC)Program」にはサイレックス・テクノロジーとNSWの2社が参加。組込ハードウェアやドライバーソフトウェアの開発支援を強化する目的で、そのほかにも複数の企業が参加を検討しているという。